チャイムの失態
「あっ!ヤベぇ。今日体育祭の朝練じゃね?」
「えっ!ほんと?マズいじゃん!
しかもマサキ、リレーは!?」
「あっ!!!忘れてた!!!」
・・・唖然。
決めたの、昨日じゃん・・・。
もう、忘れた、の・・・?
すると彼はあたしの手を取り、ものすごいスピードで学校へ向かって行った。
速いー。
なにしろ彼は50m6秒。
それに比べあたしは・・・。
11秒。
あぁ・・・。
なんと悲しいコトでしょう・・・。
速くなりたーいっ。
その願いもつかの間。
今。
現在あたしたちは・・・、校舎の前にいるのです。
チャイムの音とともに。
「あぁ・・・。遅刻決定だぁ。
ごめんね。
マサキ。
あたしのせいで・・・。」
「いや、マリは悪くない。
悪いのは、このチャイムだ!」
なんですと!?
チャイムが悪い?
なんじゃそりゃ・・・!?
「いやいや。チャイムは悪くないでしょ?」
そう言うと、彼は黙って時計を指差した。
む?
むむむ?
8:7?
あれ?
チャイムが鳴るのって、
8:10
じゃなかった?
まさか・・・!?
放送間違いぃぃぃぃ!?
なんじゃそりゃぁ。
あたしの顔を見るなり、彼はあたしの手を引き・・・。
教室へ、大ダッシュ。
ガラガラガラガラ
教室のドアを開ける。
するとそこには、驚いた顔のクラスメイトたち。
あぁ・・・。
遅刻は免れたものの・・・、みんなの痛い視線がぁ・・・。
あれ?
でも、みんなの視線の先には・・・、あたしたちの姿はなく、代わりにこちらに向かって
ほほえむ。
見覚えのある、彼の姿があった。




