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恋ってなぁに? ~1~

 ユウリが起動不能になってしまってから三日。

 メンテナンスを終えてマンションに戻って来たユウリは、玄関を開けるなりハルトに飛びついて来た。


「ちょっ! なんや? おまえっ」

 決して重くないユウリだけれど、さすがに全体重を預けられるとキツイ。身体がグラリと傾いで、ハルトはそのままへたりと玄関先に座り込んでしまう。

 オートロックのドアがパタンと閉じて、外の音が聞こえなくなる。ぎゅっとしがみつくユウリはなんとも必死な感じで、ハルトは肩口に乗っかったユウリの頭をよしよしと撫でる。


「ユウリ? どないしたん?」

 顔をあげようとしないユウリに問いかけるとなおさらぎゅっと腕に力を入れてくるから、ハルトはそのままユウリのしたいようにさせながら背中をさすってやる。

 するとユウリが「ほう」っと安堵したようにため息をついて、胡坐(あぐら)をかいて座っているハルトの胸元にコテンともたれかかってくる。猫のように丸くなっているユウリの表情は長めの前髪に隠れて見えないけれど、何かを考え込んでいるようでハルトはじっとユウリの言葉を待ってみた。


「ハルト、この部屋、誰か来た?」

「誰かって?」

「俺の、……知らん人」


 唐突な問いかけに「ん?」と思いながらも、ハルトはこの数カ月の行動を思い返してみる。

 通信制の学校は挨拶するぐらいの知り合いしかいなくて、中学時代の友人たちも新しい生活に夢中らしく卒業後の連絡はとれていない。そのうえユウリが来てからはハルトの頭のなかはユウリでいっぱいで、誰かと遊びに行きたいとかどこそこに出掛けたいとか、考える余裕すらない毎日だった。唯一会っていたトオルも「とんでもキス事件」以来、とんとごぶさた状態だ。


「誰も来とらんよ」

 ハルトが応えると、ユウリが胸元からチロリと視線をよこす。

 その不安そうな瞳ににっこりと笑ってやると、どうしたことかユウリは途端に辛そうな表情をする。


「ユウリ?」

 呼びかけるハルトに何も応えないまますっくと立ち上がると、そのままリビングに向かって歩き出す。

「ユウリ? どないしたん?」

「なんでもあらへん」

 追いかけるハルトを振り返りもしないで、ぽつんと呟くように言う。


 怒っているわけではなさそうだけれど上機嫌でももちろんなく、ハルトは首を傾げたままユウリの後を追った。

 とことこと肩を落として歩くユウリは、リビングのソファに見向きもしないで、まっすぐに部屋の隅に向かって角のところに座り込んでしまう。

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