新しいスイッチ ~6~
「とんでもキス事件」からこっちは、確かに怖かったかもしれない。けれどその前は、優しく優しく過ごしてきたつもりでいたハルトだった。
なので、本当にわからなくて首を傾げると、
「俺、ハルトと「キス」すると、なんや、壊れそうになるん」
ユウリは神妙な面持ちで、自分に問いかけるみたいに話している。
「あんな、身体のあっちこっちに、ちっちゃい火がついたみたいにチリチリして、頭がぼーっとしてくんねん。やから、こんなん続けてたら、俺、ショートしてまう思って」
そこまで聞いて、ハルトはハッとする。
そうだ、そういえば、ユウリは少し前に「ショートしそうや」と、そう言ったのだ。その言い方がなんとも色っぽいものだったから、ハルトは単純に喜んでしまって、ユウリに「なんで笑うんよ!」と怒られたのだった。
「やから、他の人としても、同じなんかな思って、試したん」
また、チラッとハルトを見る。
「やけど、……トオルとは全然、そんな風に、ならんかった。ほならやっぱり、ハルトがなんかしてるんや思うて、……もう、俺のこと、壊そうとしとるんやなぁ……思うて。やから、今日の朝、俺、覚悟決めてたんよ」
「なんの?」
「やからぁ、壊してもらおう、思うとったんよ!」
なおもわからないという表情をするハルトに、ユウリが半ばキレ気味に続ける。
「やから! 今度、キスしたら、俺、絶対壊れる思うとったんに、ハルト、俺が「起きた」ゆうても、キスしてくれへんかったやんか!」
「あぁ」と思い当たってユウリを見ると、ユウリがむくっと身体を起こして、ずいっとハルトに顔を近付けてくる。
「何べん「起きた」ゆうても、キスしてくれへんし、したら俺、ほっとするよりも、寂しいなってしまって……、壊れなくてすんだのに、キスしてもらえへんことが、寂しくなってしまって、もう、わけわからんようになってしまったんよ」
「……ユウリ……」
「だから、座り込んで一生懸命考えとったんやけど、わからんくて。そしたらハルトが「行ってまえ」言うから、あぁ、やっぱりって、思うてん。やっぱりハルトは、俺にいなくなってほしいんだって、そう思うたんよ!」
「ユウリ」
「なぁ、俺、もうハルトのこと、よぉわからんのやけど。俺、どないしたらええん?」
もう呆然としてしまって何も言えないハルトに焦れて、ユウリの瞳がみるみる潤んでいく。
「なぁ、ハルトは俺のこといらんのやろ? やったらもう、俺のことは壊してぇや!」
泣きながら「壊してくれ」と懇願するユウリに、たまらない気持があふれだす。ハルトが立ち上がって、ユウリをぎゅっと抱きしめる。




