第8小路 湯面波紋
◇◇◇
ミドーガルド村の攻防は
電工月下 第32〜34回路にてご覧くださいm(_ _)m
https://ncode.syosetu.com/n7336ks/32
◇◇◇
【ミドーガルド村】
黒いマントを全身まとったイロハニールが
ハティの攻防その一部始終を見届けた
「奢れるものは久しからず…か」
シュイーーン
シュイーーン
【ビライド城・謁見の間】
「今戻ったよーマーニ様さま」
男は玉座に右足を立ててルービックキューブをしている
傍にはサティスディーナがいる
「うむ、戻ったか、イロハニール」
イロハひ頭から被っていた黒いマントを脱いだ
「お腹すいたーなんか食べさせてーー」
「報告が先だ!イロハニール!」
「はいはい、固いな、サティス姉さんは」
「固いも何も当然のことだ!」
「結果は惨敗。獣は全滅、ハティもやられたよ。
アイツ、だいぶ侮ってた。相手もなかなかやるよ」
「わかった、少し暇つぶしになること探さないとな。
イロハニール、下がって良いぞ。サティス、何か食べるものを用意してやれ」
「かしこまりました」
2人とも頭を深く下げて出ていった
「暇つぶしか…」
ルービックキューブも2面は揃うがそれ以上が進まないらしい
曇っているガラスが気になると自分で拭こうとするが
周りのメイドが止めに入る
「旅行にでも行くか」
マーニは暇を持て余し、突然そんなことを言い出した
「美味しいもの…いっぱい…」
イロハニールはヨダレを垂らしている
「我々もよろしいでしょうか?」
ドラキュラとサキュバスの一行も行く気満々だ
「私は…少し仕事が残っておりますゆえ、後ほど合流いたします」
「竜車を用意してくれ」
「かしこまりました」
メイドが返事をしてすぐに準備に動いた
さぞご立派な竜車だろうと
皆は期待したが
見事に裏切られた
普通の…なんなら少し安めかと思えるようなオンボロ竜車
「マーニ様さまー…これー、大丈夫ですか?」
イロハニールはマーニに確認した
「何がだ?」
「ボロボロじゃないですか!」
「そうだ、これこそ醍醐味じゃないか!」
「申し訳ございません、マーニ様。我々は転移魔法で先に向かいます」
「もちろん、強制ではないから問題ない。私は時間をかけて到着までの時間、風景を楽しみたいのだ」
「じゃ、あたしも竜車に付き合ってあげるよ」
口では憎まれ口を叩くが
マーニと2人になれることを心から喜んだ
振動が多い山岳地帯を抜けてようやく道らしい道になった
ビライド城が遠くなっていく
心地よい風と緑の景色、草原地帯を抜けていく
イロハニールは車窓から風景を楽しむマーニの横顔を見つめながら慈しみが胸を締め付けた
抑えきれない感情がマーニの右手を捕まえて離さない
マーニはイロハニールを見つめた
何も言わず軽く口づけた
見つめ合う2人
今度は女の方からキス
はにかんだ笑顔
それを確認した男から唇を重ねる
次は女から…
何度つづいただろうか
女は男の膝を跨ぎ
2人は口の中を求め合う
「…マーニ様…」
顔を赤らめたまま男の太腿の間を弄る
男は女の下着を優しく剥ぎ取る
「ぁん、ぅぐ…」
御者に気づかれないように
声が出せないように唇を合わせる
声を出せない背徳感が
2人をより一層駆り立てる
「ぁぅぐっ…はぁはぁ…」
「少し休憩しましょうか?」
急に前方から声がした
「あ、あぁ、そうだな」
マーニは答えた
予想だにしない出来事に
「あっはははっ!」
2人の世界から現実に引き戻され
照れ、苛立ち、心残り色んな感情
最後に訪れたのがおかしさだった
硫黄の香り漂う温泉街
2人は終始手を繋いで
露天で団子、煎餅など食べ歩いた
「イロハーー!」
怒りに満ちた声が後ろから駆け寄ってくる
2人は振り向くと憤怒の形相サティスディーナがいた
マーニの顔を見て
「マーニ様…」
涙を浮かべる
「どうした、どうした、一緒に楽しもうではないか!」
「そうですね!」
切り替えが早くて助かる
3人で射的などを楽しみ
旅館に着いた
当然この国の王が来たのだから
至れり尽くせりだ
この街のお偉方が次々とマーニに挨拶にくる
酒に肴を楽しみながら
「今度は本当にお忍びで来たいものだな」
「そうですね、今度は2人っきりで行きましょうね!イロハ抜きで」
「あらーお姉様はお仕事お忙しいでしょうから、あたしと2人で行きましょうねー」
睨み合う2人
「まあまあ、みんな一緒でいいじゃないか」
「マーニ様さまーこのお肉やわらかーーい!ほら、あーーん」
「モグモグ…本当だな!」
「マーニ様、このお刺身、口の中で溶けていきます。あーーん」
「モグモグ…これもたまらんな!」
「ウーーーーッ」
食事の後、露天風呂に入った
「すっごーい、ひろーーい!」
イロハは泳いでいる
「止めろ!イロハ!マーニ様に…」
「まぁいいぞ、無礼講だ」
無邪気にはしゃいでいるイロハニールを横目に…
「マーニ様…」
湯面下で軟芯を刺激していると
次第に硬化していき
サティスの凹をマーニの凸が埋める
「んんっ…ぁっ…」
湯面が波紋を広げる
干渉して大きくなっていく波にイロハは気づいた
「何やってんの?お姉様」
「ぁあ…あら、イロハ…向こうで泳いでらっしゃい…
今ぁあ…は…大人の…ん…時間…」
「だめーー!」
2人とも途中で横やりが入ったため
その夜は3人で激しく燃え尽きた
【ビライド城・謁見の間】
「おーい、誰かおらぬかー」
玉座で進まないルービックキューブにもどうやら飽きたらしい
シュイーン
「あーい、お呼びでしょうか」
イロハニールが現れた
「イロハ、最近気にかけている部下はおるか?」
「最近…ですか?うーーん、いるにはいるんですが…」
「なんだ?どうした」
「たぶん…主人様はお気に召さないかと…」
「まだ会ってもないのにか?」
「…はい。主人様、潔癖症ですから…」
「それが何か関係あるのか?」
「はい、ベルゼブブなので…」
「はあ??ベ…ベ…ベルゼブブ?」
「はい、ベルゼブブ」
ベルゼブブ、所謂蝿の怪物だ
蝿というだけで気分を害すのにあいつが大きくなって細部まで…
「貴様、出すな、その名前を!」
「とんだご無礼を失礼致しました」
「ただなにか暇つぶしになるのであれば…
その…ベルちゃんを使って…」
「ベルちゃん…?」
「まだましであろう!あの姿を想像しとうない!
今後ここではベルちゃんと呼ぶことにする
そうだ、面白いことを思いついた!
暇つぶしには最適だ!
2人をここへ呼んでくれ!」
思い立ったが吉日
すぐに行動に移すのが良いところでもあり悪いところでもある
周りはそれに振り回される
シュイーン
2人はすぐに現れた
「マーニ様、いかがなさいましたか?」
サティスディーナはマーニに尋ねた
「ミイラ男の件も、ハティの件もやられっぱなし。
かの奴らに一策講じたい。
それで、集まってもらった訳だが…
脚本と監督を俺が行い、罠にはめようと思う」
「我々に演技をしろと?」
「さすがドラキュラ、飲み込みが早いな」
次の日からマーニによる寸劇、演技指導が始まった