第99話 専属メイド登場
「エリオット様はお元気だったか?」
父であるコート・アリーネスが俺に話しかけてくる。
いきなり王城の方へ行ったので聞きたかったのだろう。
「元気…とは、言いづらい感じだったね。目の下にクマもあったし。あっ、この料理美味しい」
遅めの夕食を皆で食べている途中だったので、そっちの方に意識が向いてしまう。
やはり庶民的な料理も美味しかったが、高級料理もまた違った美味しさがある。
仔鳩のローストというらしいのだが、実に面白い味だ。
鴨に似た味なのに、より繊細で旨味がすごい感じられる。
「俺との話より料理か……」
机の向こうでシュンとしている父、コート。
「もうあなた、そんな細かい事気にしないでよ。いつものことでしょ」
擁護とも言えないフォローをする妻である、クルニス・アリーネス。
家族団らんといった雰囲気すぎて、メアとルナは会話に入り損ねていた。
しかし、どうしてもメアには言っておかないといけないことがあった。
「あの…一つお話があるのですが…」
そうメアが切り出すと、奏以外は皆フォークを止めた。
そして続きを促すように沈黙がやって来た。
「私はヘルトのお世話係をさせて頂いてます」
その発言にこの事実を知らなかった母、クルニスは驚きのあまり声が漏れていた。
「なのでここでもその役割を果たしたいと思っています!」
その声はこの広間に響いた。
やる気に満ち溢れていることは良いことだが、どこかから回っているような気もする。
それを自分でも感じ取ったのか、メアの顔も赤くなっていった。
「あらあら、まぁまぁ。ヘルトちゃんはこんなに可愛い子にお世話してもらっていたの?」
「ここで治療しているナタリーっていう子が居るでしょ。その子を治療する交換条件として、お世話係になってもらったんだ」
そう説明すると、両親は納得したようだ。
しかも、母上の方に至ってはナタリーの名前すら知らなかったようだ。
良くそれで日々を過ごしていられるなと思う。
「それなら良いんじゃない?ヘルトちゃん専属のメイドもいるけど、2人で役割分担すれば良いだけよね、あなた?」
「あぁそうだな。別に何の問題もない」
ヘルトの両親が了承したので、これでちゃんと仕事が出来る。
けれど一つ引っかかっている事がある。
専属のメイド?
微かな記憶だが、確かヘルトが言っていたような気がする。
「ありがとうございます。これからも精進して参ります」
実はこの城に入ってから使用人の姿をバーナードさん以外見えなかった。
ここに料理を運んできたのもバーナードさんだった。
ヘルトのメイドさんもご高齢の方だったりするのかな?
食事をとった後は各々解散という形になった。
なので皆、自室に帰っていく。
そこで私はヘルトの後ろをついて行った。
「ねぇヘルト。あなた専属のメイドさんってどんな感じなの?」
いきなり質問を投げつけるが、ヘルトは何てことないように返す。
「う〜ん…どんな感じねぇ…。一言で表すのは難しいけど、まぁ感情の起伏が少ない女性…かな?小さい頃から一緒に居たけど喜んだり、怒ったりする所を見たことがないな」
そんなロボットのような…は言い過ぎだが、そこまで極端に感情がフラットな人なんだ…。
そのような人とは関わった事が無いのでどうしよかしら。
「そんな話をしていたら丁度いいところにいるじゃん」
ヘルトがそう言うと、メイドさんが静かに振り返った。
艶を抑えた黒髪はきっちりと纏められ結われている。
肌は驚くほど白く、体調を心配になるぐらいだ。
「どうかいたしましたかご主人様?」
「それがこの子と少しの間、一緒に仕事して欲しいんだ。いきなりでごめんね」
そんなヘルトの無茶振りに対してメイドさんは無反応だった。
まるでそんな事など気にしてないと言わんばかりである。
「ご主人様の無茶振りは慣れていますので。では、その子に色々と教えてあげればよいのですね」
「優しくしてあげてよね。君は完璧主義なところがあるから」
そう言われたメイドは目を丸くして目を見開いた。
もしかして自覚がないのだろうか。
だとしたら重症だ。
「私はそんなつもりは無いのですが…」
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