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異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する  作者: 誠くん2F29
帰省編

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第93話 再会に浸る暇もなく

 城の中を歩いていると奇妙な感覚に襲われる。


 重厚な大理石の壁や色褪せてしまった絵画が飾ってある。

 その一方で、陽の光を反射する強化ガラスやおしゃれな間接照明まである。

 この古風な雰囲気と現代でしか存在しえない物たち。

 それらが見事に調和しているので、目新しく感じる。




 ヘルトは城に入って数歩進むと、こちらへ振り返った。


「ここは広すぎて移動に時間がかかり過ぎるから転移するよ。奏は自分で転移する?」


 ヘルトの質問に奏は間髪を入れずに返す。


「私はお兄様と一緒に参ります。そもそも私は魔法の制御が不得手ですから」


 そう言って奏はヘルトの服の袖を掴んだ。

 そのまま転移するつもりなのだろう。


 奏の確認がとれたので転移を開始する。

 分かりやすい合図として指を鳴らす。

 その瞬間から景色が変わっていく。


 目の前には広いエントラスホールではなく、派手さの中に上品さも兼ね備えている扉があった。

 そのドアには執務室と書かれている。


 近くには窓もありそこから外を見ると、高層マンションより高いということは分かる。


 しかし、そんなことなどどうでも良くなる程、空気が張り詰めている。

 その主な原因はルナだ。

 彼女には今から死地に向かう兵士のような雰囲気があった。


「両親はフランクな感じだから、そこまで緊張しなくても良いんだよ」


 さすがにこんな状態で再開など気まずい。

 

「これは私の今後の人生に関わる問題ですから。ヘルト様はご心配いりません」


 そう言われると、こちらからは何も出来ない。

 バーナードもどこか不安そうな顔をしている。


 これ以上執務室の前に居ても変わらないので、ここは思い切ってドアを開けてみようか。



 ドアを開けるとヘルトの両親が待っていた。

 

 お父様の方は、彫像のように整った横顔をわずかも崩さず、背筋を一直線に伸ばしている。

 お母様の方は深い紺の上着に金の刺繍が控えめに光り、温和な雰囲気の中に鋭さも感じる。

 言葉ひとつ発しなくても、長年の鍛錬と責任を背負ってきた者の落ち着きが漂う。


「ヘルト久し振りだな、以前会ったのは去年か。やはりこの年にもなると時間が経つのは早く感じるな」


「もうあなた、そんなことを言ってたらよりおじさんっぽくなるでしょ」


 大貴族とは思えない会話が展開される。


 こちらを置き去りにしている感も僅かにいがめない。

 しかし、張り詰めた空気が少し和らいだ気がする。



「ヘルトはこれからどうするんだ?時間があったらエリオット殿下の元に向かってくれ。お前の手を借りたいらしいんだ」


「分かったよ。けど、やりたいことがあるから今日中に行けるかは微妙かな」


 殿下の件も気になるが、優先順位というものがある。

 後回しにするしかないのは心苦しいけども。


 そういえばメアとルナの紹介してなかったな。

 どっちも聞いてくれないから忘れていた。

 両親はというか、うちの家系は他人への興味が薄いから困る。


「紹介して無かったけど、こっちのうるさそうなのがメアリー。メアって呼んであげてね」


「なにがうるさいよ!」


 突っかかってくる人は無視して紹介を続ける。


「こっちの子はルナ。簡単にいったら弟子見習い?表現が正確かは分からないけどそんな感じ」


 メアとは対照的に丁寧にお辞儀をするルナ。

 練習でもしてきたのだろうか?


 紹介が適当な気もするがこれぐらいでいいか。


 奏はわざわざ口を開かない。

 本当の親ではないことなどを気にしているのではなく、単純にどうでもいいのだ。

 それを理解している両親も何も言わない。


 そのせいで、家族でありながら溝が出来てしまっている。

 そのあたりを気にしないのは貴族らしいと言えるかもしれない。


「これから家族で話したい気持ちも山々だけど、急ぎの用事があります。ですから父上、母上、少しの間ですが席を外させて頂きます」


 そうヘルトが言い出すと、父のレナード・アリーネスは顔が曇る。

 久し振りに会った息子が、いきなりどこか行くと言い出したのだ。

 親としては不満だろう。


「もう、あなたもそんな顔しないの。ヘルトちゃんは好きにしたら良いわ。この世でヘルトちゃんを縛れるものなんてないのだから」


 母上はこうして親バカというか、過保護すぎる時がある。

 けれど、こうして自由にさせてもらえるのは非常にありがたい。


 どんな結末になったとしても、この人の態度は変わらないだろうしね。

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