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異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する  作者: 誠くん2F29
帰省編

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第91話 空の旅路

 天井まで伸びるガラス壁から、太陽の光が大きなフロアに差し込む。

 そして、アナウンスの声が幾重にもこだまし、行き先の違う人々の足音が絶え間なく交差する。


 ここは学園から最も近くて、この島最大である空港の第3ターミナルである。


 夏休み初日の空港は人で混み合っていて、1歩進むだけでも大変な状態だった。

 そんな人たちをラウンジの窓から眺める。


「初日の空港はやっぱり人が密集しすぎだね。このラウンジが無かったら絶対来なかったよ」


「そうですね。あんな場所はお兄様に合いません」


 いつの間にか隣に来ていた奏が俺の言ったことに反応する。

 そして、体をこちらに寄せてくる。


 時折こうして奏はスキンシップをとってくる。

 学園では恐れられている奏だが、根は寂しがりやな一面もある。





 メアは小腹が空いたらしく、道中で見つけたパン屋さんに入っていった。

 どうやらルナもそれは同感だったようで、こっちに一言伝えてからメアの後を追った。



 すると、メアがパンを咥えながらお店から出てきた。


「ここのクリームパン美味しいわね」


「そんなに食べてたら太りますよ、メア先輩。何個買ってるんですか」


 向こうではルナとメアが軽い口論をしている。

 そのメアの手には、複数個のパンが入った袋があった。


 ルナはチョコクロワッサンを一つ噛りながら、ジト目でメアに言っている。


「あなたには関係ないでしょ!そもそも私は太りにくいし」



 距離か少し離れているため全文は聞き取れないが、随分楽しそうだ。


「なんだかんだ言って、あの2人は仲が良さそうに見えるね」


「そうでしょうか?」


 やはり、お兄様は物事の見方が変わっていらっしゃる。

 あれは仲の良さからじゃれ合っているのではなく、単にルナという子が嫌がらせをしているだけだ。



"アリーネス様御一行の搭乗を開始いたします。順番にゲートをお通りください。"


 ラウンジにアナウンスが入る。


 そろそろ出発ゲートへ向かわなくてはいけなくなった。


 言ってはいけないのだが、実は超越転移を使えば一瞬で着くことができる。

 しかし、それではあまりにも味気ない。

 時にはこうして不自由を感じるのも趣があっていいものだな。




 出発ゲートをくぐり、飛行機に乗り込む。


 自家用ジェット機なので、非常に自由に過ごせるのが良い。


 メアは内装の豪華さに驚いていた。

 航空会社の飛行機だと怒られそうな声量で騒いでいる。

 それにルナが迷惑そうな顔をしつつ、静かに目を輝かせていた。


 義妹である奏はもちろん慣れているので、定位置へとスムーズに歩いていった。

 それに続いて自分も定位置に向かう。

 

 この機体は特別な魔法陣が組まれている。

 通常の旅客機だと10時間かかる航路が2時間強で着くことができる。

 さすが金を大量に注ぎ込んで作っただけはある。


「ヘルト様、お久しぶりでございます」


 クルールームから、深いシワを携えた老執事が出てきた。

 彼は代々家に仕えてくれている執事だ。

 いつもは父上の側近として働いてくれているのだが、今日は特別な日なので出迎えに来てくれた。


「そうだなバーナード。いきなりだがあっちの情勢はどうだ」



「国王様は伏せがちになっておりまして、エリオット様は業務に追われているようです。国内も落ち着きのない雰囲気が充満しています」


「なるほど……」



 あっちではヘルトと執事の人が話し込んでいる。


 奏はヘルトの隣の席から窓の外を眺めている。


 必然的に私の隣はルナなのだが、シートベルトで手こずっていた。

 その様子がおかしくて笑いそうになってしまう。


「なに笑ってるんですか。こっちは真面目に分かんないんですよ」


 私を睨みつけてくる。

 視線が体に刺さるが、状況が面白くて全く気にならない。


 そんな時にシートベルトサインがでた。

 今から離陸するようだ。


 そのサインを見てさらに慌て出すルナ。


「ちょっと助けてくださいよ!」

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