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異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する  作者: 誠くん2F29
帰省編

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第87話 ルナの待遇改善

 窓の隙間から淡い光が差し込み、部屋の空気をゆっくりと照らしていく。

 リビングの方から紅茶の香りが鼻腔をくすぐる。


 もう恒例となっているアーリー・モーニングティーだ。

 ベッドの中で飲む人もいるらしいが、自分はそんなことをしたくない。

 だからメアにも机の上に置くように、と言ってある。


「ヘルト〜起きなさい。もう、紅茶を淹れたわよ!」


 メアの声が耳に届く。

 これから日常が始まる。




 スマホに目を向けると通知が大量に届いていた。

 普通は通知の数が表示されるのだが、それがカンストしていて何件来ているのか分からない。

 これだけで内容を見る気が失せてしまう。

 しかし、その選択肢はこの状態ではとれない。


 恐る恐る開いてみるが、予想通り全てルナからのものだった。

 内容は「今日一緒に出かけないか?」などのもので埋め尽くされていた。


 それが1週間前から、意味の分からないほど送られてきていた。

 それから目を逸らし、ルナに

「今日は空いているから出掛けよう」

 と、メッセージを送った。


 すると一瞬で既読がつき

「ヘルト様分かりました」

 と、さらに返信まできた。


 なんだこの速度は…。


 まるで送られてくる時が分かっていたかのような速度だ。

 もしかして部屋にカメラを仕込んでいるかもしれない。

 そう思い部屋全体に探知魔法を使う。

 しかし、何も検知されなかった。


 不気味に感じてきたので、場所だけ伝えそっとスマホを閉じた。


 そして指定した場所である、学園近くのカフェへ向かった。




 いつものように浮いて移動をしているせいで目立ってしまう。

 転移した方がもっと楽に着けるのたが、その方がさらに目立ってしまう。


 寮から向かったので、ものの5分でカフェの看板が見えてきた。


「(早く着きすぎたか…)」


 そんな懸念が浮上するが、それは杞憂で終わる。


 カフェの入り口の隣には、黒髪黒目で可愛らしいヘアピンを付けた子が立っていた。

 その姿は最近あまり見ていなかったものだ。


 その子は辺りをキョロキョロと見渡している。

 そして、その瞳の照準が自分に合った。


 手を振ってすごいアピールしてくる。


「ヘルト様〜!」


「そこまで大きな声をあげなくても聴こえてるから大丈夫だよ」


 そう言ったら止めてくれたが、すぐさまこちらへとやって来た。


「あまりにも会いたかったがゆえに少々興奮してしまいました。でも、直接会うのは久し振りなので仕方ないですよね、ね!」


「それなら仕方ないか?」


 普段ならどこからかツッコミが入りそうな気もするが、そんなことをしてくれる人は誰もいない。


 一応納得はしたので店に入る。


 ここのカフェは学園から近いのに、客が全然いない。

 いわゆる穴場という所だ。

 ここはコーヒーも紅茶も美味しい。

 だから、こうしてたまに寄ることしている。



 店内に入ると案の定客はおらず、閑散としていた。


「好きな場所に座っていいかい、マスター」


 そう皿を磨いているマスターに問いかける。

 すると、動かしている手は止めず、ゆっくりと頷いた。


「じゃあ座ろうか」


「はい!」


 それにしても少し以外だ。

 ヘルトさんのお家は大貴族である。

 だから、こんなよく言うと趣のある、悪くいうとオンボロカフェに入られるとは。

 不遜かもしれないが親近感が湧いてくる。




「ここのオススメはウバティーだよ。ミントのような爽快感で飲みやすいんだ」 


 実はメニュー表を見てもよく分からなかった。

 その困った姿を見かねて助けてくれたようだ。


 すごくありがたい。


「そうなんですね。じゃあ私はそのウバティー?にします」


  ヘルト様もウバティーを頼むようで、2人でお揃いだ。

 こんな些細なことでも嬉しくなってしまう。


「ヘルト様はなぜいきなり今日返信してくださったのですか?……こんなに私は待っていたのに……」


 最後の方は小声で何言ってるか聞き取れなかったが、今日ルナのメッセージを見ようと思ったのはきちんと理由がある。


「それはね、ルナはこれから風紀委員の目を気にせずに過ごせるようになったよ。この前風紀委員長に話を付けてきたんだ」



「えぇ〜〜〜!」


 先日、風紀委員長であるダリアと会った。

 そこで福音の面々を捕まえてほしいと頼まれた。

 その見返りとして、俺はルナの罪の帳消しを求めた。

 さすがに今のままでは不自由だろうと思ってのことだ。

 こっちの方が使い勝手が良くなるからね。

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