第84話 メルトゥラ監獄
大量の警官に囲まれた状態で、手錠をかけられる。
これは異界石と呼ばれる特殊な鉱石を加工されて作られている。
この異界石は異能を極限まで弱めることが出来る、というものだ。
強力な効果ゆえに国からも規制がかかっているほどだ。
そもそも埋蔵量や採掘量も限られており、希少な鉱物だ。
そんなものが今腕に嵌められた。
周りを見ると、ダンジョンの中まで呼び出せなかった同胞の姿があった。
ヘルトは本当にアジトにいた幹部までも転移させたようだ。
その確認ができただけで、意識が途切れた。
寝ぼけた頭では理解できないが、外から怒号や機械音が聞こえてくる。
理解できたのはここは学園とは無縁の場所ということだけだ。
重いまぶたを頑張って開けると、そこには無機質な島の大地が広がっていた。
遠くからは波が岩肌を叩く音が絶え間なく響く。
そして、視線の先の断崖の上に建つ監獄は灰色の石で組まれ、潮風に晒されて錆びた鉄格子が剥き出しになっている。
その周囲には特殊な結界が張ってあるようで、異質な雰囲気を醸し出している。
「(あれがメルトゥラ監獄か〜)」
一見するとただのボロい監獄だが、それは光学迷彩と結界によって巧妙に隠されている。
と、噂程度には聞いたことがある。
ここには重大な異能犯罪を起こした囚人が収容されているらしい。
どんな人達が居るのか分からないが、もしかしたら強さ次第ではそいつらを利用して脱獄出来るかも?
なんて、想像がすぐに湧いてきてしまう。
to be continued
※視点はヘルトの元へ帰る
黒き福音を警官に引き渡したので、自分達の仕事は終わった。
このような事案には学園もしっかり介入するようで、そういう所ではきちんと組織しているようだ。
ここでダリアが自分に近づいてきた。
表情は少し強張っている。
「私は外で待機していたけど、魔力がごく僅かだったけど漏れていたわよ。その影響でダンジョン全体が揺れていたんだけど」
ここは自分で使った空間なのに、なぜ魔法を撃ったらこの空間が揺れるのか疑問だったがそういうことか。
あいつら相手ならこのくらいの強度でいいか、と適当に作ったせいで小さな穴ができてしまってたようだ。
今度からは気を付けなければ。
下手をすると辺り一面が消し飛んでしまうかもしれないからね。
「それはこちらの不注意だ済まない。 以後気を付けようか」
「そうしてちょうだい。じゃあヘルトは先に帰っておいて。それと、今回は手伝ってくれてありがとうね。風紀委員はテスト期間中が一番忙しいから、人手不足だったのよ」
珍しくお礼を言ってくるダリア。
いつもは注意されてばかりなので、なんだか新鮮だ。
少し気持ち悪く感じる。
「いや、俺もアイツと戦えて良かったよ。こっちが逆に感謝したりぐらいさ」
「そう、ならヘルトに頼んで良かったわ」
いつもの調子でヘルトが自分に背を向けて出口へ進んでいく。
仲の良かった人がテロ組織のボスだとしても、ヘルトは変わらない。
それに少し悲しくなってしまう。
私の個人の意見でありただのエゴだが、ヘルトにも悲しんだり怒ったりしてほしい。
一般人ならこのような感情を少しは抱くだろう。
本当に申し訳ないのたが、アリーネス兄妹は感情の欠落を感じる。
兄のヘルトは精神面も常軌を逸している。
妹の奏は怒ったりなどの感情の発露などはあるのだが、それは兄であるヘルトに関する事だけで、それ以外には基本無関心を貫いている。
セブンキングスは皆元々どこかおかしいが、あの兄妹ほど異質ではない。
「(私がヘルトを救ってあげるからね。だから、あんな妹は捨てちゃおう)」
この時のダリアの中では普段とは全く違う、ドロドロとした感情が渦巻いていた。
残念ながらヘルトはもうダンジョンから出ていたので、この変化に気がつけなかった。
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