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異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する  作者: 誠くん2F29
黒き福音編

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第81話 福音の必殺技

 ヘルトの手から、信じられないほどの火球がリリアンに放たれた。


 つかさずカル坊が最後の力を振り絞って結界を張るが、火球の熱いを止めることはできず、音もなく破られた。


 その反動で膝をついて、息も切れぎれになっている。


「これで我らは負けか…」


 ーーと思っていると、先程まで謎の攻撃を受けて倒れていた、 ブルーノが勢いよく飛びあがった。   

 そして、全身を最大限にまで硬化させて、リリアンの前に立った。


 本来の役目である、壁としての役割を果たすためだ。


「私が居ながら、これ以上同抱を傷つけることは許さぬ!」


 ブルーノは身一つで、火球との勝負を始めた。


 あまりにも無謀に見えるかもしれないが、彼なら耐えきってくれると信じている。

 先程の攻撃でダメージを負っているかもしれないが、彼からはそんな心配を吹き飛ばすほどの覇気を感じる。

 最初に食らった魔法は、明らかに異様だった。


 それに比べると、今回の魔法は普通の魔法だから受けきってくれるだろう。



 火球と硬化したブルーノがせめぎ合う。


「うぉぉぉお!」


 ものすごい力で押されるが、踏ん張って耐える。

 こうなると、熱はもはや感じない。

 アドレナリンが大量に分泌されているせいだ。



 少しの間だけ押されるが、その後は徐々に押し返していった。

 炎すらも、ブルーノの勢いにのまれていった…。


 やがて炎は弱くなり、ブルーノだけ残った。



「…ハァハァハァ…、これでリリアン殿の溜めの時間ぐらいはなんとか稼げた…だろうか?」



 そう言って"バタン"と音を立てて倒れた。


 自分と同じ高さに倒れたブルーノの顔があるが、満足そうな表情をしている。


 間髪入れずに再び金色が魔法を放ってくる。


 それは体が少しだけ動くようになったので、転移でダンジョンの外へと移す。

 ブルーノのおかげで、魔法を使えた。

 しかも、そろそろリリアンの溜め時間が終わるはずだ。


「必殺技の準備が出来ました。これは、みなさんのおかげですわ!この一撃でそこの魔王を沈めてやりますよ」


 ドミナスが張った魔法のフィルターは、リリアンの魔法の影響で破れた。

 その魔法は破壊に特化したものだ。

 しかし、その破壊の方向性は自由に選ぶことができる。

 それは彼女の性格故だ。



 これでお膳立ては揃った。

 後は敵を破壊するだけとなった。


「この世界に終焉を【虚無の鎮魂歌ヴァニタス・レクイエム】」


 淡い紫の花が舞い、金色に向けて放たれる。

 この花に触れたものは虚無に飲み込まれ、静かに消えていく。

 金色の魔王という、存在そのものを消し去るための魔法だ。


 そんな凶悪な魔法がリリアンの異能によって、大幅に強化されている。

 これが自分たちが用意してきた、セブンキングスへの解答だ。







「あの魔王は消えました。まぁ、個人情報のデータも一緒に消えてしまったけど、もうどうでもいいわ。早くハゲさんを助けましょう」


 魔力のほとんどを使ったせいで、顔が真っ青を越えて真っ白になっている。

 そんな状態でもリリアンは、毅然に振る舞おうと頑張っていた。 


 実に微笑ましいが、心配にもなる。


 ギリギリの戦いだったが、我々はセブンキングスに勝った。

 あの異星人と呼んでも差し支えのない化け物に。


 どこか釈然としない気持ちが渦巻くが、目の前の光景が全てだ。

 あいつの魔力もまったく感じない。

 これは現実であることを理解した。


「ハゲの安否確認もしたいし…それはそうだな」


 ようやく立てることが出来るようになったので、  自分もハゲの元へ向かう。

 かなりの強度の拘束がされているようだが、少し時間をかければ解けられる。


 どうやらリリアンが四苦八苦しているようなので、自分も手を貸す。


 ここで背後から、人の気配がした。

 アスパーかブルーノのどちらかが起きたのだと思っていたーーしかし、後ろに顔を向けると、もう見ることが一生無いと思っていた奴の姿があった。


「あはは…、こんな簡単に俺に勝てると思うと困るな〜。佐藤渡ぅぅ!」

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