第79話 明らかな匂わせ?
「ボス、本当なんですか!?」
ブルーノが早速疑念の声をあげる。
それに周りの幹部たちも、ブルーノと同意見のようだ。
その証拠に反論せず、黙って見守っている。
「そうだとも。金色の魔王の好きな料理はカプレーゼだ。奴はレストランに行くと、必ずカプレーゼを食べるほどだからな」
「…ど、どういうことですか?」
あまりの謎に細かい情報に、漆黒のマントを翻して、一振りの細身のレイピアを携えた若き男ーーアスパーが質問をした。
これではまるで、ボスが金色の魔王と知り合いのようではないか…。
「細かいことは置いておいて、打ち込んでみようではないか。間違っているかもしれないしな」
そう言って、キーボードを触り始める。
たった5文字なので一瞬で打ち切った。
すると〈正解〉と、ポップが出てきて鍵の開いた音がした。
もうこのふざけた演出に慣れたのか、誰もその件に触れない。
これでやっと秘密の部屋に入れる。
後ろに幹部たちを引き連れて、ドアノブを握って扉の中に入る。
すると、ダンジョン内の景色が一変した。
その場所は空間がねじれていた。
床も天井も曖昧で、踏み出すたびに足元の光が波紋のように揺らぐ。
壁には誰のものとも知れぬ影が映り、反響する音が耳元で絶えず形を変える。
随分奇妙な空間だ。
どんな理由でこんなものを作ったのだろうか。
「おっとこれは、黒き福音のみなさん。ようこそ俺の魔法空間へ」
いきなりの敵の登場に驚く幹部たち。
金色は、豪華絢爛な椅子に座って待ち構えていたようだ。
その風格は、金色の魔王と名乗るに相応しく、迫力が詰まっていた。
この場にいる全員が王だと認めざるおえないほどだった。
「歓迎の意味をこめて、内装をもう少しハッピーな感じにしようかな」
紫と金の光がゆるやかに混ざり合い、空間全体が夢の膜に包まれていく。
そして、ファンファーレが鳴り響き、我々を歓迎していると表したいのだろう。
相変わらずふざけた野郎だ。
「ご丁寧な歓迎痛み入る。それより、逃げも隠れもせず、通告通りにやってきたぞ。貴様らの異能の情報や、我が同胞であるハゲ・コリンズはどこにいるんだ?」
丁寧な物腰だが、鋭い視線をヘルトに向けているドミナス。
そんな対応をされても、どこかヘルトはリラックスしていた。
ここは彼の庭…というのもあるだろうが。
「そんなに急がなくてもいいでしょ。でも、そこまで言うんなら、はい」
そう言って指を鳴らした。
すると、一つのUSBがヘルトの手元に現れ、少し後方にハゲ・コリンズが拘束された状態で召喚された。
パット見では怪我がなさそうだが、回復されただけだろう。
ハゲは頭部がツルツルなだけで、口の堅い男ではある。
こちらの情報は漏らしたりはしていないだろう。
ハゲ・コリンズの安否を確認していると、金色の魔王が口を開いた。
「君たちは俺を全力で倒し…」
喋っている隙に自身だけを選択して、超越転移を使用した。
こいつを倒すには油断している隙をつくしかない。
金色の背後に転移して、 蹴るために足を下げる。
そして、勢いをつけて足を振るが、 フェイントだ。
これぐらいでは反撃されるのは分かるので、このモーションのままさらに転移する。
頭上へと転移した……が、すぐ目の前にヘルト顔があった。
「(チッ…フェイントに引っかからなかったか。いや、そもそも防御をするために、後ろを振り向く必要が無かっただけだろうな」
急いでもう一度、転移して元の位置に戻る。
すると、自分が元いた場所に細やかな白い光が放たれた。
それは壁にぶつかると、静かに消えていった。
威力は高そうに見えない。
しかし、どこか神秘的で危険性を感じた。
こんな時は攻めの手は止めてはいけない。
「ブルース、アスパーは私に続け。リリアンは私たちなど気にせずぶっ放せ!」
最低限の指示だけ飛ばして、自分含め3人をバラバラの場所に転移させる。
それと並行して、魔力的なフィルターをリリアンにかける。
これで少しは居場所を誤魔化せればいいが…。
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