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異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)  作者: 誠くん2F29
黒き福音編

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第65話 本当の切り札

 イザベルが異能解放を行使した。


 普段の彼女は、自己表現が乏しかったので、あまり目立たなかった。

 けれど、その瞬間、瞳の奥に宿った光は、誰もが見たことのない鋭さを帯びていた。

 小さな体から溢れ出した気迫は、嵐のように場を呑み込む。


 これにはメアも一瞬後ずさる。

 しかし、すぐに次の一歩を踏み出した。


 力みすぎて、砂に足を取られそうになるが、それでもなお歩みを止めない。

 ゆっくりと自分を加速させる。

 いきなり突貫するより、徐々に加速する方がトップスピートが高い。




 イザベルは深呼吸をしながら、左足を大きく後ろに下げる。


 ナイフを構えている姿を見るだけで、寒気がする。


 おそらくカウンターで、一気に私の懐に入って武器のリーチを補おうとしているのだろう。


 しかし、そんなことは関係ない。

 私は相手に目を向けるのではなく、自分の内に目を向ける。

 相手がどうこうより、集中力を極限まで高めることを優先する。



 すると、すぐにイザベルの眼前までたどり着く。

 そのまま走る動作と連動して、剣を振るう。


 技術もへったくれもないが、私の中では速度、威力、共に最高のものだった。

 あとコンマ数秒で、イザベルの胸に刃を突き立てられるーーそう思っていた。


「【加速アクセラレーション】【肉体強化エンハンス】」


 イザベルは異能を発動した。

 異能の発動先はメアではなく、自分自身であった。


 胸に剣が届く前に、姿勢を低くして逆にメアの懐に飛び込む。

 そして、ナイフの刃の部分ではなく、柄でお腹を打った。


 その動きは月明かりを映した湖面のように、澄んだ静けさを纏っている。

 その一連の流れはまるで、お伽噺にでてくる白鳥のように、儚く優美だった。




「…グフッ…」


 反撃がくることが分かっていたが、ここまで速いとは思っていなかった。

 そもそも、異能を自分にかけれることを知らなかった。

 そんな姿を見たこともないし、聞いたこともない。


 これは完全に私が見誤った結果だ。

 しかし、今は反省よりも攻撃の方が優先である。

 痛みなどは、アドレナリンのおかげで無視できる。


 打撃のせいで倒れそうになる体を、踏ん張って持ちこたえる。

 そして、距離を空けようと、バックステップをする。


 しかし、イザベルも平然と追いついてきて、回し蹴りをいれてくる。


 今度は防げたが、あまりの威力に地面が陥没する。

 腕どころか、踏ん張っている足も痺れる。


「本当にメイカーは見た目じゃ、力を判断出来ないわね!」


 不満を口にしながらも、剣を振り続ける。

 しかし、一撃も当たることもなく、逆に反撃をもらう。


 こちら側に異能も行使されていないのに、手も足も出ない。

 動きが俊敏というか、すばしっこいので今までに戦ったことのないタイプだ。


 しかも、急所を避けて攻撃されるので、集中力がどんどん削られる。


「(…こうなったら、あれを使うしか…)」


 以前、ルナと戦った時にしれっと使ったものだが、唯一温存している奥の手がある。


 今後ライバルになる、イザベルに見せるのはかなりのリスクだが、特訓で持っている力を全部出さないのは不誠実だろう。

 そもそもこのままでは、ほぼ何も出来ずに負けてしまう。

 それだけは嫌だ!


 となると、異能省から特別に授与された、あの剣を使わざるおえない。

 危険は少し伴うが、それもやぶさかなし。



「顕現せよ"デュランダル"」


 メアは胸に手を当てて叫んだ。

 すると、胸元から微かな光が零れ、やがて赤熱した炎が絡み合って形を成す。

 燃え盛る焔はひときわ眩く脈打ち、一本の剣へと姿を変えていった。


 前回も顕現させたが、あれは仮顕現なので特殊な能力はなどは無い。

 しかし、今回は魔力の伴った、しっかりとした顕現である。


 私の異能をブーストしてくれる効果もあって、非常に強力な聖剣の一振りである。

 しかも、異能解放で受けられる恩恵も増えるので、これをくれたことに関してだけは、異能省に感謝しなくてはならない。

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