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異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)  作者: 誠くん2F29
黒き福音編

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第64話 唯一の有効打?

「(あれ?体がまったく動かない)」


 まるで金縛りにあったような感覚だ。

 指の一本すら、動かすことが出来ない。

 これは完全にイザベルの異能が発動している。


 しかし、私の耳には声は聞こえなかった。


 心当たりがあるとすれば、自分の剣をイザベルに届かせることしか頭に無かったから、聞き逃していたという可能性もなくはない…。


「…ぐっ……!」


 現状把握を必至にしている中、イザベルに脇腹を強く蹴られる。

 その体躯からは想像出来ない膂力で、体に足の跡が出来そうなレベルの威力だ。


 しかも、まだ手加減されているような気もする。


「相手の前で、そんな長時間止まっていて良いの?」


 その指摘にはぐうの音もでない。

 しかし、異能の突破方法を探らねば、手も足もでない状況は変わらない。

 と、思っていると、体が動かせるようになっていた。


「こっちも必死に考えているのよ!」


 自由になった腕で剣を握り、真上に向けて振り上げる。

 当たり前のように避けられるがそれで良い。


「【牢獄炎プリズンスケアード】」


 炎の柱が格子状に絡み合い、檻を形成する。

 人体なら、触れればすぐに溶けてしまうほどの、高温を保っている。



 なんとか事前に仕込んでいた罠が、ようやく発動した。

 指定の位置に移動させるために、わざと真上に剣を振ったのだ。

 設置している場所におびき寄せるには、これしかなかっただろう。


 これが今、私のできる最大限の努力だ。



「こんなのに私を閉じ込めても、何も変わらないと思うけど?」


 イザベルはなぜか、その場から動かない。

 こんなものは脅威ではない、とでも思っているのだろうか?


 実際、イナベルはこんな炎の牢獄ごときじゃ、まともなダメージを与えられないだろう。


 しかし、目的はダメージを与えることではない。


「(なるほど。これはよく考べえられている)」


 炎の牢獄に捕らわれているせいで、酸素の燃焼反応がものすごい速度で行われている。

 これでは呼吸がままならない。


「お願いだから倒れてちょうだい。その後にやさ〜しく一撃を与えてあげるから」


 メアが祈るように言い放った。

 メアとしても、この悪あがきが通用してもらわないと困る。

 そうでないと打つ手がない。


「(こんな状態では、まともに喋ることが出来ない。つまり、喋ることが出来ないから、異能が発動できないと、メアは判断したのだろう。不正解ではないけど少し甘い。この私が呼吸を出来なくなっただけで、異能を封じられると思ってもらったら困る)」

「(ヘルトさんが見ているのだから、張り切らないと。"消し飛べ")」


 音もなく、シャボン玉が壊れるように、炎の牢獄は消えていった。


 メアからすると、イザベルが口を開けただけに見えた。

 私には声は全く聞こえていない。

 どうやら、喋れない状態なら異能は使えない、という仮説は大外れなようだ…。


 イザベルは一息ついて、目の前で分かりやすく落ち込んでいるメアに、フォローをいれる。


「ふぅ〜。狙いは良かったと思うけど、私を舐めすぎ。でも、この学園にもう一人いる、異能が似たようかタイプの奴には有効だろうけど」


 イザベルは話しながら、しなやかな手つきで刃が静かに姿を現す。

 このバトルの中では、初めて武器を取り出した。


 これからはある程度本気を出す、という意思表明だろう。


「これからはフィジカルで押させてもらう」


 そう言って、露骨に魔力を全身に巡らせている。


 相手がどれ程の出力でくるか分からないが、もう一度気張らないといけない。

 自分が打てる手はもう尽くした。

 こうなってしまうと、火力でゴリ押すことしか出来ない。

 しかし、私の本来の戦い方はこうである。


「それはこっちも望むところよ。"異能解放"」


 大地を割るような轟音と共に、炎が彼女の体から噴き上がった。

 心なしか、瞳の色も、赤みを帯びてきているように感じる。


 メアは今までに感じた事のない、どこか浮遊感のような感覚が主張し始めている。


「(学年交流会の時より、思い切りがあるというか、何か吹っ切れた?オーラも全然違うし…。これは私も異能解放を切らないとだめ…かな)」


 イザベルはメアの異能解放を見て、自分の認識を修正せざるおえなくなった。

 先程まではメアに対して少し甘いなどと、のたまわっていたが、それはこちらも同じようだ。


「"異能解放"」


 両者の異能解放がぶつかり合う。

 これには、後方で腕を組んでいるヘルトもニッコリだ。

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