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第5話 醜形恐怖症の少女Part2

 犯人の少女は、あまりの衝撃から気を失って、走馬灯のようなものを見ていた


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 全身鏡の前で、叫びながら顔を掻きむしっている、"可愛らしかった"少女が、佇んでいた。


「醜い!醜い!醜い!何で私はこんなに醜いの!周りのみんなが、友達と遊んでいる間も、自分をキレイにしようと、血が滲むような努力をしてきたのに!」



 少女は物心がつく前から、モデルやアイドルなどの、華やかな人達に強い憧れを持っていた。


「羨ましいなぁ、私もこの人達みたいに、キレイになりたいなぁ〜」


「ルナちゃんも、将来はこの人達に負けないほど、キレイな人になれると、私は思うよ!」


 ルナに話しかけた少女は本気でそう思っていた。

 実際、それほど現段階ではルナはとても可愛かったからだ。


 しかし、ルナはプラスの方面で受け取ることは今の心境では出来なかった。


「アナタに何が分かるのよ!そんな簡単に言わないで!」


「う…うん、ごめんね」


 ルナは普段は良い子なのたが、顔の頬に事故でついた異能によるやけどの跡があり、それがコンプレックスだった。それのせいか、時々みせる凶暴的な一面に、周りの人々は彼女から離れてしまった。

 なのでルナは"孤独"になってしまった。


「私のことを理解してくれる人は、誰もいない…」

「でも、それでいいの…」


 この後のルナは、家族の静止もまったく聞かずに、ストレスなどの影響で自傷行為を繰り返していた。


 "パリン" "ガシャン"


「あ〜あ、鏡を殴って壊しちゃった…」


 ルナの小さな手は、血まみれで、非常に痛々しかった。


 「物に当たっても、この気持ちは収まらないな…」


 ルナのストレスがマックスになった時、"憧れ"の感情が反転して、"憎悪"に変わっていた。


 その後も、ストレスや鬱憤が溜まりに溜まっていって、そのはけ口が高校生になってから、ついに人に向けられるようになってしまった。


「ハハハハハ!このキレイな顔を、グチャグチャにする感覚、最高!」


 幸か不幸かルナの異能は、周りの景色と同化して自分の姿を消すことが出来た。そのおかげか、風紀委員に見つかることも無く、4人の女生徒が被害にあうことになってしまった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 少女が気を失ってから、目を開けるとそこには、見知らぬ天井が広がっていた。


 「ずいぶん寝ていたね」


 すぐ隣から優しげにも、無感情にもとれる、不思議な声がした。

 そこで、ようやく他人に自分の顔を、見られていることに気づき、少女は急いで顔を隠した。


「私のことを見ないで!!」


「おや?どうしてだい?」


「だって私は…すごく醜いから…」


 少女は本気でそう考えていた。


 しかし、ヘルトはまったく少女が何を言っているか分からなかった。


「醜い?どこが?俺の目には、ただの美少女にしか見えないけどね」


「嘘よ!だって、私、全身傷だらけで、ブサイクだし…」


「ブサイク?1回鏡を見たほうがいいんじゃないかな?」


 ヘルトは少女のために、魔法で鏡を作って、少女の姿を映して、見せてあげた。


「えっ…これが私?」


「当たり前だよ」


「…だって…私…の頬の傷が…」


「ああそれね、それなら俺が治しておいたよ」


 ヘルトは、なんでもないように言った。


 しかし、その姿を見て少女は困惑した。


「だって、どんな回復系の異能力者でも、治せなかったのに…」


「俺を、誰だと思ってるの?"セブンキングス"だよ、これぐらいは普通に治せるさ」


 その声には説得力があった。

 なぜなら、それほどセブンキングスの名には力があった。


「でも、あなたに対して、刃を向けた私に、なぜここまでしてくれるんですか?」


「それはね君の異能は、この学園の風紀委員にも見つからない程の、強力な隠密系の異能だ」

「だから、君には手伝って欲しいんだ」


 少女はどんな事を言われても了承するつもりだったが、相手がセブンキングスとなると自分では考えつかないような、恐ろしい実験のスケープゴートにされる可能性がまだあったので少し怖かった。

 しかし、恐る恐る手伝いの内容を聞いた。


「な、なにを…ですか?」


「別段変わったことでは無いよ、ちょっと俺の学園生活が、楽しくなる手伝いをして欲しいんだよ」


「わ、私にできる事ならなんでもします!」

(この方は私の頬や、全身の傷を治してくださった!絶望の淵にいた私を救ってくださった!この命は、ほぼヘルト様のもの、といっても過言ではないはずです!)(だから、ヘルト様は私を"ステナイ"ですよね…)


「フフ、ありがとうね」

(思いも寄らない、有能な駒を手に入れたな)


 ヘルトは新しい駒を手に入ったことを喜んでいるばかりで、ルナの瞳の奥に映る狂気を気付くことは出来なかった。


「そういえば、君の名前はなんて言うのかい?」


「私の名前は、藍月 ルナ 1年生です!ヘルト様は、たしか2年生でしたよね?」


「ああ、そうだよ」


「ってことは、先輩ですね」


 ルナの笑顔はとても眩しく、ヘルトの汚れきった心にはかなり沁みていた。

 月とルナが、意味一緒じゃないか!と、おっしゃる方がいるかと思いますが、気にしないで下さい。


※キャラ紹介(少しだけ)

・藍月 ルナ 過去に自分の周りから、友人が全員いなくなった経験があるので、へルトに執着しています。


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