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異能使いの魔王は学園を好き放題に蹂躙する (旧題 : 金色の魔王(魔法の王)は微笑む)  作者: 誠くん2F29
学年交流会編

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第33話 隠し続けたかった闇

「 緊急事態なので現在分かっていることだけを伝えます。学園の調べでは2学年のフィールドで意図しない疑似生物が発現しました。現在はその物体は消失しましたが、発現の原因が分かっていません。なので今回の学年交流会は中止となります」

「 皆さんは寮へお帰りください」


 この場に居る2年生の中には遠目にガブリエルを見た生徒もある程度は居たので、納得出来ている者も少なく無かった。


 しかし、他の学年の生徒達は何も知らなかったので開場がどよめきに包まれていた。

 そんな中、学園長はめんどくさくなったのか、先程とはうって変わった様子で、少し声を張り上げて言った。


「はいはい、皆も不安かも知れないけど学園側も調べないといけないから帰った帰った」


 それを受けて生徒はまばらに帰り始めた。


「(もう、仕事増やさないでよね、まったく…)」



 学園長などの教師陣の仕事を大きく増やした張本人は、もう学年交流会のことなど頭には無く、すでに次に起こる出来事のことを考えていた。


「 (ダリアとの約束があと数日後に控えているのか。 憂鬱になってきたな………)」


 ヘルトはダリアのことが苦手なので、ダリアとの用事のことを考えると気分が沈んだ。

 そんなメンタルで家に帰っていたヘルトだったが、同室のメアも帰る寮は同じなので、横で並んで歩いていた。


 メアはガブリエルを倒した立役者にもかかわらず、表情は自分と同じで暗かった。

 それを不思議に感じたヘルトはその理由を歩きなから開いた。


「なんでそんなに落ちこんでいるんだい?」


 メアは自分の中では隠してつもりだったが、ヘルトに指摘されてしまった。


  なので動揺はしたが、 すぐに諦めて訳を話した。


「実はお金をアメリカの政府に出資してもらってるのよ」

「しかも、学園内の序列をできるだけ早く上げないとその支援を打ち切ると言われちゃって……」


  言葉の節々には悲哀が込められていた。


 その言葉には嘘を言っている雰囲気はしなかった。

 しかし、ヘルトの直感では"嘘では無いが、全てを語っていない"という感覚があった。


 そんな感覚は胸の内に秘めて、メアに心配する必要はないとヘルトは断りをいれた。


「学年交流会は途中で終わったけど、それまでの活躍度に応じて順位が変動するからたぶん大丈夫だと思うよ」


 メアの表情は暗かったが希望が見えたようで元気を取り戻そうとしている。


「私はキリカさんも倒したんだから、相当順位が上がるはずよね」


 胸の前で小さくガッツポーズをして自分の不安を吹き飛ばした。


 その様子を見たヘルトはひとまずこの話題を続けても、藪から蛇になりそうなので中止して、2人で寮の自室に帰った。



 この日の夜、メアは何時ものような覇気は無くスマホの画面を見続けていたり、窓の外を潤んだ瞳で見つめていた。


「(これはメアもダメかもな…)」



 朝の空気は澄み切っていて、どこかひんやりと肌をなでる。

 気持ちの良い朝だったが、離れた所で寝ているメアに視線を向けると、寝汗が頬をつたい、苦悶の表情を浮かべていた。


 それに少しは心配の気持ちが湧いてきたヘルトは、メアのために紅茶を淹れることにした。



 それから少し時間が経ち、メアはそっと目を開いた。


「(すごく良い香り…これは何の匂いなの?)」


 メアは体を起こし、花の蜜に集まる蜂のように釣られて机の元までたどり着いた。


「この紅茶は俺の家、アリーネス家で栽培されている茶葉を使った物だよ。気持ちを落ち着ける効能があるから飲むといいさ」


 いつもより優しいヘルトの声に違和感を感じたが、紅茶の芳醇な香りには敵わず、椅子に座りティーカップを手に取った。


 一口、口に入れると昨日までの疲れがキレイさっぱり無くなったと感じるほどの、リラックス効果がすぐに現れた。


「すごいわね。この紅茶」


 メアは感動した様子で紅茶を見つめている。


 それにヘルトは、さも当然といったような表情で紅茶を啜っていた。

※妙だな、ヘルトが優しい…

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