第30話 ガブリエルとの衝突と新たな足音
時は現在に戻り、上空には未だ擬似天使であるガブリエルが佇んでいた。
周りに大気などを纏わせていて、非常に威圧感が増していた。
空はまるで、ガブリエルに従っているような挙動を見せていた。
「問題はやっぱりあの高さの敵に、どうやって攻撃を当てるかよね…」
ガブリエルは巨大な魔法陣から出てきた頃よりは、現在の高度は低いものの、それでも十分跳躍や飛び道具などでは届かない距離にいた。
しかし、ここにはヘルトが居た。
「この前の約束通りにここは俺が受け持とう。」
ここで渡は自分はサポート役なのにあの化け物と戦う頭数に含まれていることに気がついた。
だが、さすがにメアだけに任せるのは気が引けたので、ここは一肌脱ぐことにした。
「じゃあ2人とも、くれぐれも光剣だけは避けてね。」
「分かっているわよ」
「あまり期待はし過ぎるなよ。」
2人は保険があるおかげか、 やる気に満ち溢れていた。
これに満足したベルトは 2人に視線を向けた。
すると、2人とも魔力を足に込めて全力で跳躍した。
この時に渡は補助魔法を並用しており、メアの素速さや攻撃力などが上がった。
そのおかげで1回のジャンプで跳んだ高さは、渡より明らかに高かった。
しかし、1回のジャンプ程度では、天高く浮かんでいるガブリエルにはまったく届かなかった。
なので、つかさず何度も眺躍を繰り返した。
これにはガブリエルも脅威に感じたようで、再び天から光剣を落とす。
「《遘√↓蜉帙r謗医¢邨ヲ縺》」
すると、天から複数の光剣が煌めきながら自分等に目掛けて再び降り注いだ。
早速超危険な攻撃が迫ってきた。
なので、全力で避けようと2人は散ることにした。
一回見た攻撃なので、初見の時よりかはスムーズに避けることが出来た。
渡よりガブリエルの元に早くたどり着いたメアは、剣に炎を纏わせて振るった。
「【煉獄閃】」
剣はガブリエルにきちんと直撃した。
なので、空では爆発音が鳴り響いた。
ガブリエルの胴体には傷が出来ていた。
しかし、その傷は軽微だった。
それに少し遅れて渡もガブリエルに接近し、手の平から魔力を打ちこんだ。
だが、渡の攻撃でダメージを与えることは出来なかったが、目眩ましにはピッタリだった。
「《困りましたね…》」
ガブリエルに自眩ましは効いたようで、戸惑った様子を見せていた。
この隙にメアは更に接近し、高火力の技を叩き込む。
「【焔天渦巻】」
ガブリエルの周りを、炎のトグロが巻いているような状態になった。
すると、炎が何回もガブリエルを襲い、体力をジワジワと削っていった。
段々と炎が収まっていき、その綺麗な姿が再び映り込んできた。
メアは余りにも接近しすぎたので、ガブリエルが手に握りしめた武骨なロングソードの間合いに入ってしまった。
ガブリエルはメアをしっかりと認識出来たので、右手でくすぶっているロングソードを思う存分に振るった。
「くっ…」
少し前に戦ったキリカとは違って、まったく反応出来ないスピードでは無かったので、余裕で受けれる攻撃だった。
しかし、重さが全然違った。
その重さは腕が痺れる感覚を覚えるほどだった。
しかも、ヘルトが魔法で作ってくれた足元も、一緒に後退する程の威力だった。
続いてメアに追撃を与えるべく、背中に生えている翼を大きく広げた。
ガブリエルの翼はとても大きく、自身の身長の2倍を超える大きさを誇っていた。
その翼の綺麗さと、大きさで遠くの場所からでも普通に見える程だった。
ガブリエルは翼に意識を研ぎ澄ませて加速した。
風を切って進んでいるので、激しい音が伴ってしまうはずたが、何故かとても静かに飛んでいた。
それはまるで、空と一体化しているようだった。
「《あぁ、憐れな子よ》」
声からはやはり慈愛が込められていたが、その行動はその真逆で、加速したスピードを剣に乗せて飛翔した状態で振るおうとしていた。
なので、すかさず渡が砲弾を打ち込んで移動の妨害を試みた。
しかし、 ちょうど急旋回されて避けられてしまった。
そのまま再加速をしてメアの目の前まで移動した。
そしてロングリードを最上段から力任せに振り下ろした。
それにメアは全力で踏ん張りながら受けた。
空中でメアとガブリエルの攻防が続いている中、地上に居るヘルトは別の事に意識を割いていた。
なぜならこの時、一つの力強い足音がこの激戦の場へ向かっていることを、ヘルトは気付いた。
「(ようやく想定していた戦力が揃ったね。ここからは反撃の時間だよ)」
※最近投稿遅くてすみません
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