第22話 力の扱い方
「彼女と戦うのは良いとしても、さすがに3対1は不利すぎない?」
メアは優奈の強さは知らないが、見た目からはお世辞にも強そうには見えなかった。
いくらヘルトから魔力を譲ってもらっているとしても、さすがにこの戦力差を埋めることは不可能だも思っていた。
しかし、ヘルトはそこまでしっかり考えていた。
「君達ときちんと戦える分の魔力をあげたつもりだから油断は禁物だよ」
戦力差を心配していたメアだったが、姉妹の方はまったく気にしておらず、敵なら全て容赦なく潰すという思考だった。
もう後は最終戦をスタートするだけなのだが、ヘルトは優奈に近づき耳打ちをした。
「…優奈の異能で一番大切なことはイメージだからね、だからまずは絶対に壊れないバリアを想像してみようか…」
「…は、はい…」
ヘルトからありがたいアドバイスをもらった優奈だったが、いまいちそんな凄いバリアを思い浮かべることは難しかった。
だが、自分の記憶を探っていると1つ衝撃的な光景が飛び出してきた。
それはヘルトが最初、不意打ち気味に烈達から攻撃された時に、後ろから見ていた優奈だけ気がついたのだが、ヘルトは一瞬だけバリアを張って防いでいた。
そのバリアはまさしくヘルトが先程言っていた、絶対に壊れないバリアと同じ様に見えた。
「(…もしかして、私のためにお手本として見せてくれたのかな…?)」
優奈が1人の世界に入っているせいで、メア達は謎に待たされていた。
それにイラついたイザベルは、声に魔力を乗せて喋った。
「"たらたらしてないで、早く始める"」
「…す、すみません…」
声に魔力を乗せられる異能はとても希少なのと、使い手は皆強豪ばかりだった。
この学園でも優奈ともう1人しか使い手が居ないので、メアも最初は驚いていた。
その情報を優奈ももちろん知っていたため、今更戦う相手を間違えたかなと思ったが、あきらかに手遅れだった。
「イザベルがそこまで言うなら始めようか、みんな頑張ってね スタート!」
「"動くな"」
ヘルトの声が響いた瞬間、イザベルの異能で優奈の動きを強制的に止めて、その隙にレイラとメアの同時攻撃が襲いかかってきた。
「(初見殺しとしては強いね〜あの技は)」
妹のイザベルが相手の動きを止めて、姉のレイラが武器を強化して、その武器を投擲するというのがこの姉妹の挨拶代わりの初見殺し技であった。
「(…びっくりした、いきなり体が動かないと思ったら目の前には、炎とナイフが飛んできた…でも、防げた。この私が!これもヘルト君のアドバイスのおかげだ…)」
自分の動きが封じられた時、咄嗟の判断で見様見真似のバリアを展開した。
優奈のバリアを中心に扇状に攻撃の跡が残っており、そのバリアの強度を表していた。
それを見てヘルトは後方師匠ヅラをしており、「私が育てました」と言わんばかりに腕を組んで眺めていた。
「…まじか、これを対応されるとはね…」
レイラは今でもまだ、少女が立っていることに驚いていた。
私達姉妹のコンボ技に、メアの魔法剣による炎が加わってさらに火力が上がっていた。
それを真正面から耐えて見せたので、危険度を数段上げる必要に駆られた。
おどおどとしている様子からは想像出来ないほど、かけ離れた強さを持っていた。
「(攻撃もしないと勝てないよね、武器をイメージしてみようかな)」
優奈の頭上に複数のバリアを変形させて作った大きい槍が段々と構成されて、それが加速度をもってメア達に向かって飛んできた。
飛んでくる槍の個数が多いのと、速度がものすごく速いせいで、各々が本気で対処せざる負えなくなった。
「避けるのは難しそうね…」
メアは避けるのを早々に諦め、脳筋らしく剣で弾くことにした。
メアが剣を振り、槍に剣先が当たる瞬間にまるでカゲロウのように消えてしまった。
「…あれ、消えた?」
「…あわわわ、何で消えちゃったの…?」
攻撃をした方と、された方の感想が同じというとても奇妙な光景が広がっていた。
残りの2人も呆気にとられてこの状況を理解出来ていなかった。
しかし、この場に理解できている人物が1人だけ存在していた。
「(槍なんて普段から見慣れない物を作ろうとしちゃったね、それだとイメージがまったく足りないから不発になったんだろうね…)」
※ヘルトが優奈の異能を使うと、バリアを大量に展開して等身大の地球を創造するぐらいは出来ます。(イメージを補うため、別の魔法も並行しています。)
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