第17話 異能の可能性
「君はなんで俺の魔法を防げれたの?」
ヘルトは純粋にどうやって防いだのか気になって聞いただけなのだが、その女生徒には防がれたことに対して怒っていると勘違いされて怯えられてしまった。
「…こここれって…わわわ私は口封じのために殺される!みたいなかかか感じですか!?」
あまりの思考の飛躍にヘルトは驚きを超えて、1種の関心を抱くほどだった。
しかし、この状態だと話しがまったく進まないので説得せざる負えなくなった。
「俺は口封じなんてしないし、純粋に君の異能が気になるだけだよ」
ヘルトが説得のために優しい雰囲気を出そうと頑張ったおかげで、女生徒は自分が脅されているわけじゃないと気が付けたので胸をなでおろして、緊張の糸が少しほつれた様子で自分の異能を説明してくれた。
「…私の異能は"防御特化"で自由な形のバリアを自分の魔力依存ですが、いくらでも好きな枚数張れるというものなんですが…」
彼女の異能は想像通りだったがヘルトの頭には1つの疑問が思い浮かんでいた。
「その異能って攻撃に転用出来ないかな?」
「バリアで相手を押し潰したり、飛ばして遠くの相手に当てるみたいな?」
「…もしかして…出来るかも⁉︎」
女生徒は自分の異能を攻撃に転用するなどという考えはまったく持っていなかった。
そのためヘルトの提案に身体の中に電気が走ったような感覚に襲われたが、1つだけ致命的な欠点を見つけてしまった。
「でも…私の魔力量じゃすぐガス欠になりそう…」
女生徒は戦いごとはあまり好きじゃない性格なのだが、このような行事が起こるたびに防御特化の異能は活躍できる場面は少なく、肩身の狭い思いをしていた。
なので、これでようやく自分も肩身の狭い思いをしなくて良いと思っていたが、現実はそう甘く無かったようで幻想は簡単に打ち砕かれてしまった。
と、思っていたらここでヘルトから鶴の一声のような発言が飛び出した。
「魔力量に問題があるなら、俺が解決させてあげるよ」
「ほ…本当ですか?」
女生徒は嬉しいことや、悲しいことが立て続けに起こったため感情がジェットコースター状態になり情緒が迷子になっていたが、やはり期待が先行していたためヘルトを頼ることに決めたのであった。
「もちろん本当だとも」
「でも、これ以降の話しはまた今度にしようか」
「???」
女生徒は期待の眼差しでヘルトを見ていたが「また今度」と言われたので頭が?で埋め尽くされていたが、少し距離の離れた所から複数の足音がこちらに近づいてきていた。
「あわわわ…こんなに足音が…」
「だから少しここから離れた方が良いよ」
「は、はい分かりました!」
女生徒は"てくてく"と効果音が出そうな走り方でこの場から去っていった。
その後ろ姿を横目で見ながら、走ってきている者たちのことを考えていた。
「(近づいている人数は4人、少し離れた所に1人…この1人は渡だな)」
ヘルトは残っている生徒の異能をある程度は把握しているので、離れた所に居る奴はサポート役のあいつしか居ないと分かっているからである。
すると足音のした方角からナイフのようなものがヘルトに向けて投げられ"ドカーン"と爆発したのが合図となり、炎の龍や拳から発せられた衝撃波が一斉に飛んできた。
炎と衝撃波の風でヘルトの周りに牢獄のようなものができ、辺り一面と共に燃やされて一般人ならすぐに蒸発してしまうほどの威力があった。
しかし、当人は平然と立っていた。
「はあ〜、この攻撃でもかすり傷1つ付かないとかふざけてるわ!」
「あの野郎がこれぐらいで傷が付くわけないだろ!ナメてんのか!」
現在は味方のはずなのに喧嘩をし始めていて、最先不安な状態になっていた。
しかし、後ろの姉妹は冷静に今の状況を俯瞰して彼我の戦力差を再確認していた。
「これは無理ゲーだね」
「でもあそこまで隙だらけだと、1撃与えないと逆に失礼ってもんだよな!」
「私はそう思わないけどね…姉さん…」
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