第11話 作戦会議
その後も会議は続いたが、ヘルトと刀を差した少女以外のセブンキングスは今回の学年交流会は不参加で観戦することに決まった。
集いは各々の活動方針を話し合うだけの場なので普段は3〜40分ぐらいで終わるのだが、今回は奏とダリアが事あるごとに口論をしていたので今回は少々長引いてしまった。
「序列2位様がギャーギャーうるさいから集いの時間が無駄に長くなったじゃない!」
「はぁ〜、序列1位様がいちいち突っかかってきてくるからでしょ!」
2人は集いが終わってからも口論をしており“バチバチ”と効果音が聞こえてきそうな程、互いにいがみ合っていた。
しかも、学園の2トップが喧嘩をしているのでヘルトしか止められる人がいなかった。その結果他のセブンキングス達は皆避難をしていた。
「2人とも、みんな帰っちゃったから俺たちも帰ろうよ」
普段なら気さくで誰とでも仲良く出来る日向は、ダリアや刀を差している少女などと集いが終わった後も少しの間喋っていたりするのだが、今回はあまりにも奏とダリアがヒートアップしていたため、危険だと判断してアイコンタクトでヘルトに「頼んだよ」と残して足早に部屋から逃げていった。
「分かりましたわお兄様、では学年交流会でどのようにご活躍されるか楽しみに待っていますね!」
「(我が義妹ながら切替早いな…)」
奏は1年生の寮へと優雅な後ろ姿で帰っていった。
「ヘルトがそういうのなら私も帰るわ」
「この前の傷害事件の借りはきちんと返してもらうからね!予定を空けておいてよ」
「分かっているさ」
「(なんか今日はあまりぐちぐち言ってこなかったな…)」
ダリアは3年生の寮へと歩みを進めていった。
その後ろ姿はまるでスキップをしているかのように軽快な足取りで、ヘルトは内心「怖!」と思っていた。
次の日の朝、自分が寝るころにはどこに行っているのか分からなかった男が目を覚ますと、いつものように紅茶を啜っていた。
「いつのまに帰っていたのよ」
「メアと戦った後そのまま《王の集い》に出たから帰るのが遅くなってしまってね」
「集い…ってことは本当にヘルトは“セブンキングス”なのね」
「あぁもちろん、セブンキングスの名を騙る愚かな者はこの世に存在しないからね」
メアはヘルトが自分の思っていたより偉かったので、恐る恐るといった感じで提案してきた。
「じゃあ学年交流会組んでくれる…の?」
「もちろん良いよ、でも制約が付けられていてね攻撃魔法を禁止されちゃったんだ」
「え〜!そんな状態で戦えるの?」
「まあ攻撃魔法が使えなくても普通の生徒相手なら十分さ」
(でも同学年にいる、あの序列10位のヤンキー相手はかなり厳しいかもな…)
「まぁそうよね、」
(普通の生徒とセブンキングスとの間には、それだけ差があるもの…)
「あと1人はどうする?」
「本当はルナと組みたかったけど…妥協して渡とかどう?」
「渡?ヘルトといつも一緒にいる奴でしょ?」
「そいつが組む相手を探しているらしくてさ、多少は使える奴だからさ」
「ヘルトがそこまで言うなら全然良いわよ」
「ありがとう、助かったよ」
「今度3人で作戦会議をしようか」
「分かったわ!」
この日の放課後、学年交流会の作戦会議をするために3人はヘルトとメアの部屋に集まっていた。
「別にヘルトが本気を出したらそれで勝ちなんじゃないか?」
「だから攻撃魔法は使えないって言っただろ…」
ヘルトはあまりの渡の記憶力の悪さに辟易していたが、メアは同学年のライバルがまったく分からなかったので参考までに尋ねた。
「2年生でセブンキングス以外で、要注意な相手って誰がいるの?」
「序列の高さだけいうと、序列10位のヤンキーと序列13、14位の双子と序列18位の女剣士ぐらいだが、他にも面白い異能の奴はたくさんいるよ」
「思ったより詳しいな」
渡は、ヘルトは下の者などまともに見ていないと思っていたのであまりの情報量に驚いていた。それはメアも同じだった。
「やっぱり2年生にも序列が高い人はたくさん居るわね、でもここで活躍すると私の序列も上がるわよね?」
メアはアメリカでは1位だったが、転校してきたばかりなのでこの学園の序列は最下位扱いだった。
「今回の活躍だけで一気に順位が上がる可能性はもちろんあるとも」
「これは頑張るしかないわね!」
「俺も順位上げたいなぁ〜。ヘルト、何とかしてくれよ〜」
渡はヘルトに寄りかかってダル絡みを始めたが、うざく感じたヘルトはバリアを張って強制的に離れさせた。
※次回から学年交流会始まります!
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