第104話 逃げるが勝ち…
この王冠はオリジナル魔法である。
これの効果で光に関連する魔法はノータイムかつ、制限なく使うことができる。
魔法使いなら必ず存在する弱点を消すことができるという魔法だ。
これが解放した際に使えるようになる魔法の一つだ。
しかし、それは相手も同じことだろう。
まだ若いならいざ知らず、あの歳で使えないなどありえない。
だから、相手にオリジナル魔法を使う隙を与えないように畳み掛けるとするか。
光の魔法は派手なだけで然程強くはない。
しかし、副次効果が様々ついてくる。
それらを組み合わせることで真価を発揮できる。
おじさんの足元に魔法陣を展開して、そこから光が立ち昇る。
これが囮だとバレているみたいだけど、避けるしか択がないのは分かっている。
その回避行動に合わせて退路を防ぐように波状攻撃をする。
魔法の規模を大きくしたので、避ける動作も大きくしないといけない。
そこが狙い目だ。
自分の動きが完璧に読まれている。
と、分かっていてもその通りに動かないとかなりダメージを負ってしまう。
何度も避けたにも関わらず、未だに反撃の道筋を掴めていない。
酸素が足りなくなってきた頭で考えていると、目と鼻の先に大きな光剣が迫っていた。
一瞬すぎて頭は追いつかないが、ただ感覚が研ぎ澄まされていた。
そのおかげで高強度の影を全身で包めた。
結果的にダメージを抑えられたが、それでも全身は激しく痛む。
だが、受けきれただけでも十分だ。
この体を包んだ影を再利用して、魔法陣を描く。
身体強化の魔法陣を直接体に描くとその効力は上がる。
これで少しでも延命しなければ。
脳のリソースを脱出することに向けていたおかげで、とある事実に気が付いた。
この世界は2つの異能解放を受けて、耐久力が低くなっている箇所がある。
そこを狙って集中攻撃をすればここから逃げられるかもしれない。
異能を今出せる最大限に行使する。
すぐさま脱出のために攻撃するのでなく、まずは少しでも視線を逸らさねば。
影を自分の分身として大量に生み出す。
自身も影で包んでいるし、魔法陣も全ての影たちにも付与されている。
だから、見た目ではバレないだろうし、身体能力だけは変わらない。
そんな影人を魔法の王の元へ突貫するよう命令した。
そいつらを倒すにしても、時間的猶予が生まれるはずだ。
その隙にこんなふざけた世界から脱出する。
元々はこの国を犯罪者を使って混乱させて、教主様の影響力をここまで広げたかった。
国は混乱や疲弊すると、必ず隙が生まれる。
それを利用するという計画だったのに。
こんな規格外に関与されると、こうやって台無しになる。
足に魔力を込めて高く跳躍する。
この世界の中で一番脆い場所は天井だ。
これで脱出できる………と、思っていた。
「詩乃、出番だよー!」
そうヘルトが気の抜けた声を発すると、詩乃が飛び出てきた。
やはり魔物たちはとっくに倒し終わっていたようだ。
そもそもセブンキングスがあんな雑魚相手に手こずることはない。
だから、こっちを気遣って黙って観戦していると思ったので、こういう時の予防策として残しておいた。
詩乃はヘルトの呼びかけに応えて異能を行使した、
【重力領域】
この領域では詩乃が自由自在に重力を強くできる。
その強度に際限はなく、魔力の量だけ威力が上がる。
その強大な重力で影を世界ごと潰した。
そして、宙を舞っていた影は呆気なく地に伏せた。
最初は影も保てていたが、徐々にそれも保てなくなっていった。
そうなるとおじさんの苦痛に歪んだ顔が見えてくる。
これでこいつから情報を聞き出せる状況になった。
こいつの実態はまだ掴めないが、情報を吐かせないといけない。
おじさんは意志の弱そうな雰囲気とは反して拷問関連には強そうだ。
押しても崖のとこで無限に耐えてくるタイプに見える。
「手っ取り早く魔法で吐かせますか」
その言葉がおじさんに届いたのか、急にうなだれた。
ヘルトの魔法を前にすると、もはや諦めるしかないと理解しているからだ。
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