第103話 影と光の解放
これはまずい状態になってしまった。
異能で影は生成出来るが、自然の影がいっさい使えない。
これでは異能をフルで活かしきれない。
なのに、目の前には規格外の存在であるセブンキングスが2人。
こんな寂れたおじさんに過剰戦力ではないか?
教主様もあまりに俺に期待しすぎだろ。
この国を任せてくださったのは光栄なのだが、こうなることは教主様は分かっていたはずだ。
なのに、俺をここに派遣するとは。
まぁ暗に死んで来いと言われているかもしれないが、そんな人ではないことは既に理解している。
思考が逸れてしまったが、現実に目を向けなければ。
「勝ち目は薄いだろうが抵抗させてもらうぞ!」
影を足元から広げて自分のテリトリーを確保する。
この世界に居続けるの絶対良くない。
まずは勝つことより逃げることを最優先しなければ。
勝算があまりにも低すぎる。
そして、足止め要員として影の魔物を創り出す。
こいつらが少しでも時間を稼いでくれたら…。
狼型の魔物、ゴーレム型の魔物などが2人に向けて走り出した。
狼は口を大きく開け、ゴーレムは腕を振り上げた。
それに対して相手は話し合っていた。
「詩乃、こいつら任せた」
魔物を飛び越えて影のおじさんの元へ向かう。
詩乃に押しt…じゃなくて、任せたのでこっちに集中しよう。
実力差は感じるが、油断してはいけないと本能が叫ぶ。
だから徹底的に潰してやるよ。
「もぉ〜!こんな雑魚押し付けないで下さいよ」
そんな声が聴こえるが関係ない。
長引かせても国に混乱が広がるだけだ。
さあこの光に照らされた世界で、影はどれ程存在出来るのかな?
最初からギアを上げる。
あのおじさんはどこか本気で俺を見てないような気がする。
多分逃げようとしているだろうからね。
【異能解放】
世界が彼の存在を抑えようと必死に動く。
それに伴って空間が揺れて、歪んで、悲鳴をあげた。
余波だけで全てのものが圧倒された。
さすが魔法の王だな。
ただ異能を解放しただけでこれ程とは。
俺の生み出した無機物である影ですら怯えているように震えている。
だが、そんなことは関係ない。
こいつは俺の異能だ。すなわち俺自身だ。
俺がコントロールする。
影を伸ばして、立ち止まっている魔法の王の喉元に突き立てる。
影は空気に邪魔されることなく動けるので、音もないし空気抵抗もない。
だからこそ、音速のさらに向こうへいける。
瞬きしている間に首を裂けるはずだった。
それが魔法の王に近づくだけで爆ぜた。
「お前は俺を舐めているのか?お前も解放出来るんだろ。なら速くしろよ」
目を金色に輝かせて、底冷えするような声で投げかけてくる。
しかも、こちらが異能解放出来ることまで見抜かれている。
まいったなぁ…。まさか奥の手を早々切ることになってしまうとは。
でも、初手の一撃で分かった。このままでは何も出来ずに負けると。
「こんなただのおっさんに厳しくしないでおくれよ【異能解放】」
影が全身から止めどなく溢れてくる。
それが世界を侵食しようと暴れている。
しかし、自分の制御から離れた訳ではない。
影は手にも足にもなる。
そんな体の一部を相手の全方位へと潜ませる。
解放前とは比べられないほど速度、硬度共に上がっている。
「串刺しになってくれ」
影の先を限界まで尖らせる。
それはダイヤモンドの硬度を超えて、ヘルトを全方位から襲った。
これを全て対処するのは王といえども難しいはずだ。
それから出来た隙にさらなる追撃を叩き込もうと思っていた。
しかし、魔法の王は言葉を紡いだ。
【光冠降臨】
ヘルトの頭上に王冠状の光が浮かぶ。
その王冠からはこの世界の中でも一際強い光を放っていた。
その光によって影はかき消された。
さらに、大量の光の剣や槍がこちらに放たれた。
あまりの反撃に一瞬空白の時間が生まれたが、急いで持ち直して避けた。
本当にスレスレだった。
新しく生み出した影で、軌道を少しだけ逸らせたおかげで避けれた。
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