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レアスキルから始まる私の創生記〜私は私のために生きるので好きなものに囲まれて国を創ります〜  作者: 功野 涼し
人間だった私が魔王となるまでのお話

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土地を見つけたら次は?

「ブリューゼ様、腕の調子はどうですか?」


 コルサに尋ねられたブリューゼが左腕を上げてみせる。事情を知らない人からすればぎこちない動きだと思うかもしれないが、切断されなくなった腕と鉄の腕が引っ付き動いている事実を知っている者からすれば奇跡だと表現せざるを得ない。


 例にもれずコルサは感激し手をたたく。


「以前よりも動くようになったんですね」


「ああ、ゆっくりなら腕を肩より上まで上げれるようになったし、今は握る練習をしていてリンゴに沿って指を置くことができる」


「すごい進歩です!」


 感激で再び手をたたいて喜ぶコルサを見てブリューゼは微笑む。


「これもフローラのおかげだ。だが当の本人にお礼を言っても、スキルを使っただけでヴィーゼとフラムが繋いだ腕だから二人に感謝してくれと言われてしまう」


「フローラ様は謙虚です。確かにそこに至るまでの過程はありますけど、フローラ様の力がなければ腕は繋がらなかったんですから」


 不満ではないが手柄を自慢しないフローラに対し、もっと誇ってもいいのにと思っていたブリューゼとコルサは目を合わせると同時に頷く。


「そこがフローラらしさなんだろうが」


「そうですね」


 再び思いが同じだった二人は目を細めて頷く。


「フローラ様はどうするんでしょうか?」


「だいたい決まったと言っていたが」


「と言うことはフローラ様はこの土地に住まわれるんですね!」


 コルサが手をパンと大きくたたき嬉しそうに笑顔で喜びをはじけさせる。


「今ごろネーベとトレントたちをお供に下調べをしているはずだ」


 ブリューゼの説明にコルサはやや興奮した様子で何度も頷く。


 ***


 穴兎たちの隠れ里から少し離れた森の中をフローラはネーベと並んで歩く。


「ここは日当たりもよく土も豊ですから作物を育てるのには最適なはずです」


 エノルムが身を屈めてフローラに話しかける。「なるほど」と頷いたフローラがラピドに載って並んで座っている水の妖精たちの方を見る。


「ここなら水も引けるよー」

「近くに水脈があるから楽ちん!」

「しかも地盤もしっかりしてるー」


「「「いい感じー」」」


 水の妖精三人娘が声を揃えて、この場所に水を引くことに対してお墨付きをくれる。


「ここに住むと決めたとしてもまずは土地を切り開くことから始めないといけませんね」


 フローラは自分を囲う木々を見渡して言う。


「そうさね。木を切ったり家を作ったりと考えるとまずはそれらができる人物を探さないといけないねぇ」


「そうですよね。私たちでは家を建てることができませんからね」


 ネーベとフローラが話していると妖精三人娘がフローラの周辺を飛び交う。


「知ってる? 知ってる?」

「少し離れた所にダークエルフいるよ」

「あの子たち細かい作業得意!」


「ダークエルフ? 本当にいるんだ」


 言い伝え程度しか聞いたことのない種族の名前にフローラが驚いていると妖精三人娘は続ける。


「それでねーそれでねー」

「あっちの方にはドワーフいるよ」

「力持ちで木を切ったり大きなものを作るのが得意!」


「ドワーフ……おとぎ話に出てくる名前が沢山」


 本や噂話程度しか聞いたことのない種族の名前が妖精の口から出たことに感動するフローラの両肩に妖精三人娘が次々と着地する。


「頼っちゃえ! 頼っちゃえ!」

「建ててもらっちゃおうよお(うち)!」

「フローラ様が建ててーって言えば断れないよ」


「そんな強引に物事を進めるのはよくないと思うけどな。手を貸して欲しいならまずは挨拶から、そして仲良くなってからするべきだよ」


「おーそうか」

「そうだ! そうだ!」

「基本だぞー」


 調子のいい妖精三人娘に苦笑しつつフローラがネーベの方を見るとネーベも頷く。


「そうさね、これまで生きてきて聞いた名前ばかりだけど実際に会ったことはないからね。そんな存在に会いに行こうだなんて話になるなんて、これも外に出てみないと経験できなかったことだろうね」


 言葉を噛み締め嬉しそうに語るネーベにフローラは微笑む。


「一度その方たちに会ってみましょうか。どのみちこのままでは家を建てる以前の問題ですから」


 覆い茂る木々を見ながら言うフローラにネーベたちも頷き同意する。

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