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第39話〜リディアの経歴〜

「他の転生者がいつ来たか?」

「リディアは知らない? 私、最近来たから全くわからないのよね」


 俺たちは三人で向かい合うように地面へ座っている。

 リディアさんが持ってきてくれたエールと、ウィンナーのような肉を揚げたような料理を頬張りながらマリンが質問をしていた。


(こいつやっぱりわからなかったんじゃないか)


 そんな思いが込み上げてきたが、口に出しそうになる前にエールと一緒に飲み込む。

 木製のジョッキを傾けながら、二人の会話を黙って聞くことにした。


「私が来たのは2年程前で、その時にはもういたと思うな……」

「へえ……そうなのね……チラッ」


 マリンが自分で効果音を口にして、私偉いでしょ? と言わんばかりの視線を向けてくる。


(こっちみんな!)


 俺が無言でにらみつけるとマリンが微笑みながら目をそらす。

 マリンの視線に気付かないふりをして、ウィンナーをかじった。

 リディアさんは俺とマリンを見て苦笑しながら口を開く。


「これから私よりも転生者について詳しい人と会うんだから、その時に聞いてみたらどうだろう?」

「あっ! 忘れていたけどそうね。真っ黒な人の仲間よね?」

「これを頂いたら向かいましょうか」


 マリンとリディアさんの会話が終わり、二人が雑談しながら食事を進める。


(俺も忘れていたな。それだけマリンにムカついたってことか……そう言えばこれ何の肉なんだ?)


 そんなことを思いながら手元にある肉のような食材をまじまじと眺めた。


------

名 称:肉の腸詰め焼き

効 果:筋力+1(1時間)

詳 細:鉱山の街オルトンの名物。

    肉や野菜を腸に詰めて焼いたもの。

    味は塩コショウだけでシンプルであるが人気は高い。

------

(筋力だけじゃな……今は変換しないでおくか)


 今は筋力がランク上限というやつでもう上がらないので、変換する必要性がない。


【名前】トール

【種族】人間族

【年齢】18歳

【レベル】0

【基礎能力値】

 体 力:2,900/5,000(★)

 魔 力:810/1,995

 筋 力:50+2(★)

 生命力:50(★)

 敏捷性:50+5(★)

 器用さ:50+5(★)

 知 力:50(★)

 幸 運:29

 スキル:吸血Lv1《与えたダメージの1%体力が回復する》

     急所攻撃Lv1《1%の確率で即死》

     状態異常耐性Lv1《10%の確率で状態異常を無効化》

     フィールドアシミレーションLv1《1M圏内のフィールドを自分の意のままに操る》

     パラライズミストLv1《相手を麻痺させる霧を放つ》

     両手剣熟練度Lv1(両手剣使用時攻撃力1%増加)

     空破斬Lv1(範囲攻撃:攻撃力100%)

 装備品:ミスリルの短剣:攻撃力20(俊敏性+5 器用さ+5)

     革の胸当て:防御力0(大破:防御力ー5)

     革の肘あて:防御力2

(マリンの話を信じるなら、魔力と幸運を上げればランクが解放されるはずなんだよな)


 モンスターが持つ能力で一番低いものが幸運で次が魔力だ。

 早くこの二つを上げる方法を考えなくてはいけない。


(幸運と魔力の能力値が比較的高い敵ってどこにいたっけっかな?)


 自分の能力を確認しつつ、木製のジョッキに入ったエールも飲み干し、二人が終わるのを待った。

 マリンがエールのお代わりを要求したため、十分くらい経ってようやく食事を終えることとなる。


「さあ! クローラの街に向かいましょう!」


 直前までエールを堪能していたマリンが先導して廃墟の村を出ようとしている。

 リディアさんが食器を返すついでに、討伐隊の冒険者へ俺たちが出発すると報告してくれた。


(馬車で何日も掛かった道のりを徒歩か……ちょっと憂鬱になるなあ)


 愚痴っていても仕方がないので、俺もマリンとリディアさんに続いて村を出る。

 歩きながら風景を眺めていると、急にマリンが立ち止まった。


「この辺でいいわね。もう村は見えないわよね?」


 出発した村のある方向へ顔を向けるマリンをリディアさんが何も言わずに見守っている。

 わがまま放題のマリンの行動に何か言うのを止めてしまったようだ。

 俺は足を止めずに、マリンを急かすように声をかける。


「見えなくなってるぞ? なんだよ急に? 早く行こうぜ」

「フッフッフ、ならトールさんはクローラまで歩いて向かうことね」

「お前行かないのか? 置いていくぞ?」


 得意げな表情でそう宣言するマリンに対して俺は聞き流して先を急ぐ。

 俺に協力しようとしてくれている思ったらこれである。

 一体何を考えているのかわからなかったので無視をして歩き続けた。


「マリンさん行きましょう。トールは止まる気がないですよ?」

「いいのよリディア、行かせておきなさい。私たちは【ワープホール】で一瞬よ」

(なにっ!?)


 マリンの言葉に驚き、足を止めてしまう。

 立ち止まった俺を見てマリンがフフンと鼻を鳴らした。


「あれ? トールさんは歩いて行くんじゃなかったの?」

「それがあるなら最初から言え。ワープホールがあるのに歩く馬鹿がどこにいるんだよ」


 からかってきたマリンに対して強めに言い返す。

 すると、俺の勢いに驚いたようで一歩後ずさりをした。

 だがすぐにまた調子を取り戻す。


「……べ、別にいいわよ? ちゃ~~~~んとお願いしてくれたら一緒に連れて行ってあげるわよ」

(なんで偉そうなんだこいつ……ただ、歩くのは嫌だな……)


 呆れた顔をしながらも、背に腹は代えられない。

 そんな気持ちを悟られぬように澄まし顔を作り、軽く頭を下げた。


「頼む。俺もワープホールでクローラに連れて行ってくれ」

「いいわよいいわよいいわよ!! なんだトールさんも素直に頼めるじゃないのよ!!」


 頭を下げて頼み込むと何故かマリンは嬉しそうにはしゃぎまわる。

 なんでコイツこんな喜んでいるんだろうと思いながらも、黙って頭を上げた。


「そんなに言うなら使ってもいいわよ。今開くからね」


 とても満足そうにしているマリンは、転移スキルであるワープホールを発動させようとしている。

 マリンが両手を胸の前で伸ばすと、青い渦巻状の光が徐々に広がっていく。

 光の中から渦の中心に向かって白く細い線が伸びていき、巨大な円の形を作った。

第39話をご覧いただきありがとうございました。

もしよければ、感想、ブクマ、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。


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これからもよろしくお願いします。

次回は明日公開します。

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