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銀座女子に英語の是非を聞いてみた~その後留学が形になりつつあり

「英語はやっぱり必要ですね」


 帰国してレジンアクセサリーのサークルでしみじみ話したところ、同じ区民会館にいくつか英会話サークルがあるよと講師の義明君から教えてもらった。


 とりあえず旅行したとき困らない程度の英会話力が欲しいなと考えた。

 区民会館内の受付横にある掲示板の代表者の連絡先に電話して翌週、初級英会話のサークルに顔を出してみたところ。


 そこはハイソな世界だった。

 というより、主に各国に駐在経験者の奥様方の茶飲みサークルだったのである。


(み、港区女子なんて目じゃないわ。中央区(ぎんざ)女子の格の高さときたら……!)


 何せ、どの奥様やお嬢様もバーキンやシャネルのバッグ持ちなのである。どうにもカレンとは生きる世界が違う。

 思いっきり腰が引けてしまったカレンだったが、せっかくなのでお茶を飲み飲み留学相談してみたわけだ。


 ちなみに区民会館は利用する部屋によってお湯を沸かせる程度の給湯設備や水道があるので、マダムたちは各自持ち寄りの紅茶を楽しんでいた。

 カレンも雑誌で見て憧れていたロシア産のお洒落な缶入りのフレーバー紅茶を頂戴してしまった。

 もっともティーカップまでは持ち込んでおらず、備品の湯飲み茶碗だったのはご愛嬌だ。




 そしてアメリカ経験豊富な銀座女子たちから浴びるようにいろいろ教えてもらった。


「あなたのケースだと、半年ぐらいベルリッツのビジネス英会話コースに通ってから渡米が良いのでは?」

「あら、一ヶ月で日常会話を詰め込んでから現地の語学学校は?」

「現地に日本語ペラペラの世話役がいるならそのほうがいいかも……」

「聴講の期間は? 三ヶ月単位? なら現地で滞在期間が伸びる可能性があるわね」


 マダムたちの話は聞いているだけで面白かった。

 留学にはまだ不安があったが、こちらの英会話サークルにも参加してみることにした。


 英会話サークルは月に2回。時間帯は区民会館の会場の空き具合によるが、概ね平日の昼間だ。

 終わった後は銀座まで出てお茶をして解散がいつものパターンだそうで。





 まだ漠然としていた留学の話をセイジに相談してみると、留学自体は賛成だそうだ。


 今後、このまま付き合いを続けていって結婚して子供を産んだとして、キャリアが途絶えても留学経験が経歴にあると復職や再就職もしやすいというのがその理由。


「け、結婚。する気、あるの?」

「そりゃね。今年もう俺たち29歳だし。考えてもいい……よな?」


 実はセイジは、来年には今の勤め先の弁護士事務所が新しく作る税理士事務所の雇われ所長に就任することが決まっている。

 それなりの責任は発生するが、給与体系が年棒制に変わって収入が増える。同じ税理士業界や同年代の年収平均から見てもなかなか高給取りの部類に入るのではないか。


(いざってときは、カレンと子供を養うぐらいできるはず)


「留学っていっても超短期の聴講生なんだけどね」

「卒業資格にはならなくても、カリフォルニア大学だろ? 世界20位の大学の聴講生ってそれだけですごいよ」


 なんと日本の東京大学よりランク上なのだ。これはカレンも調べてみてビックリした。

 むしろ、よくそんな大学に誘われたものだと思う。




 あとは留学費用なわけだが。

 カレンはそこで、またクラウドファンディングを利用することを思いついた。


 主催会社の海外ツアーに主催者側で参加したことから、担当者やお偉いさんとのコネができていた。

 それに既にカレンは、小規模とはいえクラウドファンディングの成功実績がある。


 まず担当者にメールして概要を送り、その日のうちに電話で相談することができた。

 担当者曰く、


「夢や使命感を持ったプロジェクトほど応援されやすい傾向は変わりません。青山さんの場合も如何に自分がレジンのアクセサリーが好きか、キラキラした素敵なものを作りたいか自分の想いをたくさん募集ページに書かれてましたよね」


 カレンがInstagramやTwitterに上げていた作品写真も綺麗な作品が多かったことを担当者が挙げてきた。


「同じように、支援者たちが応援したいと思える目的設定をしてほしいと思います。一度本社に来て打ち合わせしてみませんか?」

「!」


 そう、なんと新しいクラウドファンディングプロジェクトは、主催会社の後援付きになったのである。




 通話を終えた後は、浮き足立ってしまった。

 まだ全然計画も固まっていないし、打ち合わせも来週なのに、気分はもうすっかりアメリカのカリフォルニア大学の構内だ。


 そのまま良い気分で地元のカフェにコーヒーを飲みに行ってFacebookに「留学に向けてまたクラウドファンディングに挑戦してみることにしました!」と投稿してみたところ、速攻でいいねとコメントが付いた。


 西海岸で仲良くなったミスター禅だ。


『カレン、それならFacebookにディスカッション用のクローズドのグループを作りましょう』

「それいいですね! グループ機能詳しくないからちょっと調べてみます~」


 と返信した数分後、ミスター禅が新規グループを作成してカレンを招待し、グループの管理者権限まで付与してくるという早技を披露した。


『キミの信頼できる人をグループに招待してみてくださいネ』


「うーん。まずはセイジ君ね。あ、クラファン会社の担当者さんもかな!」


 担当者の氏名でFacebookで検索してみると本人がいたので、友達申請して、グループ参加してくれないかの旨をメッセージで送っておいた。


 アメリカンを飲み終わって、ケーキ食べちゃおうかな、どうしようかな……とカレンがメニューを眺めているときにセイジのグループ参加オーケーの返事が来る。

 少し経って、スマホのLINEにセイジからのメッセージが届いた。


『所長も参加したいって。良かったらディスカッショングループに招待してあげてくれる?』


 弁護士事務所の所長先生のFacebookアドレスが送られてきたので、速攻で友達申請したら、まさに秒の速さで相手の承認が来た。

 その場ですぐグループへの招待を行う。


 区民会館でのレジンアクセサリーサークルのLINEグループにもお誘いメッセージを流してみた。

 まずはFacebookでカレンと繋がってもらった後で希望者にグループ招待を送るの繰り返し。


 さっそく講師の義明君と、たまに差し入れに来てくれる彼の幼馴染みの和明君、その和明君の従兄弟だという悠君の三人が参加希望。

 彼らはカレンよりは年上だがほぼ同年代なので、意見を聞けるのはとても助かる。


 他の会員たちはご年配が多く、Facebook自体をやっていない人ばかりで参加は見合わせるとの返事が相次いだ。


『でもお話は聞いてみたいわあ。またサークルでお会いしたときお話聞かせてくださいな』


 そんな丁寧な返事を返してくれる会員もいた。





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