表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/39

ラスベガスでエンジョイ……からのクラウドファンディング!

 旅行中、カレンのトラブルは乗り継ぎ空港での勘違いだけで、後は本人、現地でピラミッド型の巨大ホテル、ルクソールホテルに泊まって大はしゃぎだった。


 入口の両脇のスフィンクスや、内部のエジプト遺跡の中のような写真を撮りまくってメッセージアプリで大量にセイジや家族、友人らに送っていた。


 元同級生セイジがものすごく気にしていた英会話は、現地がバリバリの観光地だったことで、ホテルやレストラン、カジノなど、どこに行ってもカレンのつたないカタカナ英語でも察してくれたので無問題だった。


 この調子で4泊5日のおひとりさま旅行をこなすつもりらしい。




 カジノでは二日目の夜にルーレットでビギナーズラック。

 何と一気に4000ドル以上ゲットして、旅行代金や飲食代、土産物代までペイしてしまった。


「そこで、そこでやめておくんだ、それ以上はいけない!」


 やはり仕事中に送られてきたメッセージに、もう所内は爆笑の渦に巻き込まれていた。


 スマホには、ジャックポットを当ててフィーバーした動画が送られてきている。


「アクティブな彼女さんねえ。やっぱり早く捕まえておいた方が良いんじゃない?」


 所長の奥さんの総務部長がしみじみと言った。




 そんなラスベガス滞在中、ハンドメイド作品の出品アプリで、カレンの作ったレジン製のアクセサリーが複数売れた。


 だが旅行中で発送できない。



『どうしようー?(´・ω・`)ショボン』


「旅行中だから帰国してから発送してますって返事書け!」



 遠い海外での旅行で気が緩んでいるのか、カレンからは彼女のポンコツにもほどがあるメッセージばかり送られてきていた。


「不安だなあ……変な事故やトラブルに巻き込まれないうちに帰ってくるといいんだけど」






 カレンのラスベガス4泊5日旅行、最終日の帰国前日。


 買い物や観光もあらかた済ませて午後の早いうちにホテルへ戻ってきて、今日はもうホテル内のブッフェレストランで夕飯を楽しめば終わりだった。

 レストランのディナーの時間帯になるまで部屋のベッドでごろごろしていた。


 スマホでTwitterのタイムラインを追っていると、流れてきた新規立ち上げのクラウドファンディングサービスが目に留まった。


「ふーん。サービス開始記念で利用手数料が無料かあ」


 モデルケースで何千万円を資金集めできるかも? な事例に夢が膨らむ。


 スマホでかんたんにポチポチ入力していくだけでOKなので、ついアカウント登録をしてしまったわけだ。


「制作部屋を借りてー。材料だってまとめ買いしちゃうんだから。高くて買えなかった金線銀線に貴石クズも買い放題ー。参考資料もー。工具も百均のじゃなくてちゃんとしたプロ仕様のやつ揃えたいな」


 集めた資金の使い道をポチポチ、どんどんスマホで入力していく。


 カレンは自分の自作アクセサリー作りを応援してもらうためのクラウドファンディングを立ち上げたのだ。


 所要時間、何だかんだで30分ほどかかってしまった。

 ハッとしてスマホの時刻を見ると、ホテルのレストランのディナー開始時間が迫っている!


「一番に行くわ! 今日こそスイーツ全種類制覇したいもの!」




 ピラミッド型の巨大ホテル、ルクソールホテルのブッフェレストランに行くと、既にディナー時間の利用客が半分ほど入っていた。


 ここはホテル全館、エジプト遺跡のような内装になっていて面白い。

 レストランもまるでピラミッド内部のファラオの古代遺跡のような柱や壁、装飾で彩られている。


「シュリンプカクテル、美味しかったのよねー。ロブスターも外せないわ。カニ……は旅行中だからやめておこうかな」


 ブッフェには各国ごとの名物料理が並んでいる。

 ラスベガスはアメリカなので、やはりアメリカ料理が多い。

 ピザは分厚めの生地にトマトソースとチーズがたっぷりで食べ応えがあって美味しい。

 パスタ系は大味だが、マカロニチーズだけはものすごく癖になる味だった。


 そしてお隣、南米メキシコのタコスやブリトーは自分で具やソースをチョイスできるのだが、とにかくフレッシュで日本では食べたことがない美味しさだった。

 焼いた海老やビーフステーキのタコスはマストだ。


「いっけない、ちょっと盛りすぎた?」


 おひとりさま旅行なものだから、同行者に遠慮する必要もなく、誰もカレンを知らない場所だから人目を気にする必要もない。

 これでもか、と料理を盛り盛りにした皿とドリンクを持って席を確保した。




 ピコン!


 ちょっと大味だがじゅうぶん美味しい料理に舌鼓を打っていると、スマホの通知音が鳴った。


 ピコン、ピコン、ピコン……


「え、なに?」


 通知音が止まらない。

 確認すると、何と先ほどカレンがプロジェクトを立ち上げたクラウドファンディングの『自作レジンアクセ作家のプロで食べていきたい』への支援が入ったのだ。


 最初の支援金額は3千円。

 そこから矢継ぎ早に、次から次へと支援が相次いだ。


 支援の際に支援者から送られたコメントがある。



『湖面の水色アクセサリーほしいです!』


『レジンの中に浮かぶ銀色の花、すごいステキ!』



 どうも、カレンが作ったアクセサリー見本の写真「水色の湖面に咲く銀の花」ペンダントのシリーズを気に入ってくれた人が支援してくれているらしい。

 1万円以上支援してくれた人には、ペンダントかキーホルダーをプレゼント設定にしてあった。


 そこからはもう、食事の味なんてわからなくなっていた。


 あれよあれよという間に、当初の目標金額の10万円を突破。


 まだ通知は鳴り止まない。






ご覧いただきありがとうございます。

読者様にお願いです。

続きが気になる、と思ってくださったらブクマと評価のお星様★★★★★で応援いただけると嬉しいです!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ