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手のひらサイズの令嬢はお花の中におりました  作者: しろねこ。


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呪いが行き着く先

しばし皆が呆然とした。


ダンス中、踊っていた令嬢の姿が急に消えたのだ。

他にも二人の令嬢が姿を消し、残されたのはドレスのみ。




パーティ会場は騒然となり、音楽家は演奏を止め、静寂が生まれる。





涼やかな顔をしているのはエリックとニコラだけであった。


事情を知っているディエスすら、目を見開き、開いた口が塞がらない。


「う、動いてる」

不意に残されたドレスが、もぞもぞと動いた。


皆がパニックになり、ドレスから離れていく。

ユミルでさえも。


「待ってください、逃げないで!」

ドレスのあたりから令嬢の声が響いた。皆足を止め、注目する。


「私です、ユミル様。お助けください!」


それはイザベルの声だった。

アニスとイーノも声を出す。

「私もいます、ドレスの中を見て!」

「私もここにいるわ!誰か、出して!」


恐る恐る近づくのは令嬢達の父親だ。


「なぜ、こんな姿に?!」


小さくなった娘を見て、父親である侯爵や伯爵は狼狽えている。


「如何です?この光景を見て」

エリックはディエスにそっと声を掛けた。


「話で聞いていたが、実際に目の当りにするとなんとも…ミューズもあのようになってしまっていたのか」

エリックの言葉に複雑だ。


自分もあの父親達と同じように信じられないという思いをしたかもしれないのだ。


もっと動揺した自信もある。


「令嬢達が小さくなったと言うことは、ミューズの呪いは解けたということですな?」


令嬢達の姿が変わったのは呪い返しによるものだと、エリックから聞いていた。


「そういう事ですね、これでまた一歩婚約の話が進む。宜しければこちらに目を通してください。何なら今から詳しい取り決めをしますか?」


騒動など関係ないと言わんばかりに、エリックは提案をする。

エリックに促され、ニコラが書類を出してディエスに渡す。


「こちらはアドガルムからの婚約に関する提案です、ディエス様からの意見もぜひお聞かせくだされば、有り難い。今は無理でも、婚約の書類をリンドールに提出する際には、お話出来ればよいですね」


「周囲がこんなに慌てているのに、あなたはよく平気ですね…」

ディエスはざっと目を通し、書類を服の中に隠す。



相変わらずパーティ会場はざわざわとしていた。


初めて見る現象に皆が一様に慌て、恐れている。

どんな魔法なのか、誰が掛けたのかなど、次は自分かもしれないと怯えているのだ。


直に国王にも知らせが行くだろう。

三人の貴族が皆の目前でこのような姿になったのだ、国の一大事となる大きい事件だ。


「小者に何かあってもこちらに関係はないでしょう?まぁ何かしてくるならば、容赦しませんが」


令嬢方が何を証言するかで、エリックの次の行動は決まる。





「一体、何があったんだ?イザベル」

泣いている娘に優しく問うリットン侯爵。


「お父様…これはきっとミューズ様の仕業ですわ!」

涙を必死で押さえ、イザベルは大声で訴えた。


「なぜ、ミューズ様が?何か心当たりがあるのか?」

このところずっと姿を消している女性の名だ。

イザベルは、しゃくり上げながら話す。



「以前ミューズ様は私におっしゃったの『ユミル様に近寄らないで!』と。もし、破ったら私に…呪いをかけると」


アニスとイーノも口々に訴える。


「私も言われましたわ!だからこんな事になったのね」

「ええ、きっと。ミューズ様が私達を逆恨みしたのです!」


口々にミューズの冤罪を仕立てようとする。


周囲はざわめいてディエスを見る。


エリックが口を開く前にニコラは周囲に魔法を張った。

自分らの声は周囲に聞こえないが、周りの声は囁くような声量で耳に入ってくる。


ミューズとディエスへの疑念の声。


「国を捨てるなら、我が国に来ませんか?」

エリックはディエスを誘った。


「宰相のあなた相手に周囲がこのように言うとは、礼儀知らずが多すぎる。ディエス殿がどれだけ身を粉にして働いていたのか、愚かなこの国の貴族は知らないようですね」


噂に踊らされる国に、エリックは嫌悪を持っていた。


「優秀なあなた方をアドガルムは歓迎します。ミューズ嬢はもちろん、シグルド殿やキール殿などのあなたの親類。そして領民も、移り住みたいのなら、我が国へいらして下さい」


エリックは周囲のざわめきは気にしていない。

嘘をいくら聞いたとしても、エリックのディエス達への評価は変わらないからだ。


「本当に、あなたの力でそのような事まで出来るのか?」

ディエスは自分とミューズへの疑念と蔑みの声に、拳を震わせた。


エリックの誘惑に乗ってしまいそうな程、周囲の声はひどい。


ディエスの同僚でさえ、数々の悪口を止めもしない。

寧ろ悪口に乗る素振りだ。


自分が信じていたものは何なのか。


「俺はまだ王太子なので、そこまでの力は残念ながら持っていません。しかし此度ここに来たのは、呪い返しの見届けもそうですが、我が国の国王からの言葉をディエス殿に届ける使者として来ていました。つまり今の誘いは、国王アルフレッドからのもの、」


エリックは全て実行出来ると断言した。


「よく考えてみてください。いいお返事を期待していますよ」






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