4話 従兄弟現る
「お兄ちゃん…ひな…こっちがいい。」
「おっ!?いいねー?ひなはセンスあるよ!」
昨日、食事会を終えた俺たちは今日引っ越しをしていた。言葉を発したひなちゃんを俺と母さんはお持ち帰りし、少しずつ心を開いてくれた。黒瀬さんは寂しく1人で帰っていったが、お陰で俺とひなちゃんは呼び捨てに出来るほど距離が縮まった。
「美波ー?そろそろ荷物来るけど、そばどうすんのー?」
「そうだったな。とりま俺はスーパー行くわ。荷物は哲也さんに任せりゃいっしょ?」
「ひなも…行きたい…」
「んー…今日は買い出しいっぱいあるからひなは家で留守番しててな?手繋げないし、母さんも寂しがるからさ?そのかわり、デザート作るし、次は一緒に行こうな?」
「むー…約束…」
俺は天使と指切りをし、名残惜しいながらも家を出てスーパーへと足を進める。デザートどうすっかな?ひなはもう5年生だし、あまり子供っぽいのもなー…
ちなみに哲也さんとは義理父の黒瀬哲也〜くろせてつや〜さんの事だ。
「ふいー…こんなもんかなー?にしても今世の俺はハイスペックだなー…まぁ、実際中身30だし。知識もあるしな。」
「美波?ヘルプに来たぞ?」
そこへ茶髪のメガネイケメンが話しかけてくる。前世にはいなかった奴だ…例の如く情報が頭の中を駆け巡る。
どうやらこいつは母さんの妹夫婦の子供で同い年の従兄弟の杉並恒星〜すぎなみこうせい〜らしい。
妹夫婦は東京へ転勤したための近所で一人暮らしをしているので大体家に飯を食いに来てるらしい。
ちなみに高校は別で、秀才でサッカー部のエースらしい…
「こうちゃんありがとう!いやー!こんなイケメンで秀才でサッカー部のエースでヘルプも出来るなんて!」
「何を言ってる…美波も俺と同じところに学力的に行けたし、俺は天才DFのお前を抜いた事がない。見た目もいいし、俺とは違い家事力は完璧。完敗だな。」