3話 妹は天使
「初めましてひなちゃん!俺は美波。今日からは黒瀬美波になる。いきなりは怖いと思うから、ゆっくり慣れていくといいよ。いやー!こんな可愛い妹が出来て幸せだ!お近付きの印にこれ作ったよ?パンダの大福だよー」
「あんた昨日から何か作ってると思ったらそんなもの作ってたの?可愛いわね。」
「相変わらず美波くんハイスペックだね…ひな?美波君がパンダさんくれたよ?」
「…コクリ」
「あんこは大丈夫?好き嫌いあったら言ってね?俺の人生この日のためにあったんだな!可愛いねー?」
こんなに可愛い子がいじめられるか…まぁ小さい頃は仕方ないか。今は普通にハーフもいる時代なんだが…まぁ俺が守ってやるしかないか。きっかけがあれば人気者になれるはずなんだがなー?
「そうだ友さん、美波くん。引っ越しの準備はバッチリかい?」
ちなみに友さんとは俺の母、黒瀬友〜くろせとも〜だ。
「ええ。休みは取ってるし、美波が掃除やら片付けやらしてくれたから、引っ越しした事あるんじゃないかってぐらい要領よかったわよ。」
「まー今はネットでなんでも情報でるし、雰囲気でわかるしょ?明日はそば作りますから!天ぷらといなり寿司も握っちゃいますよー!」
「そりゃ凄いね!僕もひなのために料理してたけど、どうしても仕事があるし、いろいろあったからせめてご飯だけでもと思ってたんだけど…」
「再婚はひなちゃんのためでもあると思いますが、黒瀬さんは母さんが良かったからですよね?言い方悪いですが俺も黒瀬さんを認めたし、ひなちゃんは可愛いし、俺は家族のために全力でぶつかりたいんですよ。」
「美波あんた…ありがとう…」
「美波くんありがとう。君の父親の話も聞いてるよ。僕も君と友さん、ひなを全力で支えると誓うよ。」
「…ひなちゃん?君の話は聞いてるよ?辛かったね?これからは俺が守る。でも君自身も強くならなきゃダメだ。環境が変わる時は不安だけどチャンスだよ。まずはたった一人でも親友を作るところから初めてみたらどう?大丈夫。こんなに天使のように可愛いんだからすぐにできるよ?」
「……」
「ひな?美波くんの言う通りだ。これからは四人で楽しく生きていこうね?」
「ひなちゃん!私にいっぱい甘えてねー?男ばかりでむさ苦しいでしょ?」
「おい!ひなちゃんはお、れ、の、妹!」
「ふざけた事言ってんじゃないわよ!わ、た、し、の、娘!」
「あの…張り合う必要ある?まぁでも賑やかでいいかな?」
「……っ!」
「むっ!?母さん一旦ストップ。ひなちゃん?ゆっくりでいいよ?出来る。君は可愛い。怖がらないでいいよ?」
「ひなちゃん?無理しなくていいけど、可愛い声聞かせてくれたら凄く嬉しいなー?」
「…お…に…ちゃん…お…か…さ…お…と…さ…」
「「「……」」」
「ひなちゃん…よくでぎだね…くぅ〜!天使マジ天使!なでなでしていいよね!?」
「美波ずるいわよ!ひなちゃん…えらいね?抱っこしてもいいよね!?」
「こんな事が…今日はなんていい日なんだ…」
弱々しい声だったが、確かにその声は天使だった。俺たちは人目も気にしないで涙して、そして笑いあったんだ。