2話 目覚めた場所は
「ここは…俺の実家の部屋?俺は車に轢かれたはずじゃ…」
目を覚ますと、俺は実家の部屋にて目を覚ました。
ついさっき、確か青信号を渡っていて車に轢かれたはずなのだが…それになんか、長い夢を見ていた気がする。頭や身体も何故かスッキリしている。どうなっているんだ?
「美波?入るわよ。」
ノックもせ母親が部屋へと入ってくる。その姿を見て俺は驚愕する。
「起きてるが…てか母さん。なんか若くね?俺はなんで実家にいる?仕事は?ケガは?」
「何言ってるの?夢でも見た?ケガって…また何かあったの?中学ではみんなと仲良くやってるし、勉強もスポーツも家事もやってくれてるでしょ?今日は黒瀬さんとの食事って言ったじゃない?…まさか、嫌なの…?」
黒瀬さん…俺が高校に入る前に再婚した義理の父だ。小さい頃に虐待を受けた俺は父とは素直に呼べずいい人だったのにも関わらず素直に話せた事はなかった。
そうか…俺は夢を見ているのか…
「まぁそんなとこ。反対なわけないだろ?黒瀬さんはいい人だし、うたた寝してだけだから。準備するわ。」
俺がそういうと、母はリビングへと戻っていった。そしてすぐ、俺は部屋を確かめる。鏡に映った俺、机などから判断すると、俺は現在15歳のこれから高校1年になるというとこ、スマホやパソコンがある事から時は戻っていない事。つまりは、あの時死んでパラレルワールドへ飛んだか、未だに眠っていて夢を見ているか…どちらにせよ頭を整理し、冷静にいかなければならない。全てが未知の体験なのだから。
「はぁー…結構いいレストランで食べるんだな?まぁいい経験だよ。」
「まぁね…せっかくの顔合わせだし。てかあんたなんか慣れてない?あぁそっか。料理好きだもんね?マナーとかそういう知識も勉強してるもんね?親としては負けたくないんだけど…」
「まぁいいしょ?作ってもらったご飯の方が美味しいのは変わらないし、少しでも楽させたいし…新しい家族もできるしな!」
「それはありがたいけど…やりたい事は遠慮なく言いなさいよ?あっ…そろそろ来るって。」
俺と母はすでにレストランにて待機している。前世の俺は親に反抗ばかりし、中学の時は話しをしようともしなかった。今思うと何故あんなに苛立っていたんだろうか。今世では友達みたいな感覚で接しよう。実際歳変わらんしな。
そんな事を思っていると、義理の父になる黒瀬さんと、小さなアッシュブロンドのボブで青い目の女の子が入って来た。
「久しぶりだね?美波くん。こちらは初めましてだね?話してた、僕の娘の黒瀬妃名〜くろせひな〜だよ。ちょっといろいろあってひなは上手く言葉を話せないんだけど、素直で可愛い子だからよろしくね?」
そうか…やはり、俺はこの世界を知らない。黒瀬さんに娘なんかいなかった。それがどうだ?この子を見た瞬間に何故か情報が頭に入ってくる。と言っても、おそらくこの世界の俺はこの子の話を聞いていたのだろう。
黒瀬さんの元奥さんはイギリス人のハーフで死別らしく、その娘さんがこのひなちゃん。物凄く可愛いが、小さい頃にある見た目が違うからいじめられるってやつだろう。それで塞ぎ込んでいるらしい。
俺のやる事は決まった。初めてできた妹を死ぬほど可愛がってやる!尊敬していた父に思い切りぶつかってやる!