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侵略の終わり

「いや、驚いたな。戦闘をした宇宙人は全て弱かったからその親玉も弱いのかと思っていたが…あそこまで戦えるとは。」

「私達二人だけだと勝てなかったよ~。」

「まぁ、福ちゃんも戦い始めたらよゆ~で倒せたけどね~。」


戦いは終わった。

みんなは余裕で勝てると確信していたようだが、この規模の戦艦を率いているリーダーだ。

何を隠し持っているか定かではない。油断しないように観察をしていたが、その予感はやはり的中した。まぁ、純粋な戦闘能力が高いとは思わなかったが。


「こいつらを倒せば皆の洗脳が一気に解けると考えていたが、洗脳装置をもう一度同じ対象に使用出来ないようにされているとは思わなかったな。」

「できないの~?」

「むりっぽい~?」


洗脳装置を寧々ちゃんの解析能力で見てもらった結果、洗脳した者を再洗脳出来るようにはなっていなかったようだ。一度洗脳してしまえば宇宙人のいうことなら何でもいう事を聞く人間になるので必要のない機能なのだろう。いや、違うか。同じ洗脳装置を持つ者が後から洗脳出来ないようになっているのだろう。

でも、問題ない。


「安心して。お兄ちゃんはすごいからこの装置を見れば解決方法が思いつくと思う。」

「あぁ、そうだな。兄上を連れてこよう。」

「こよ~。」

「れっつご~。」



「え~…でっかぁ。」

妹が急に部屋に来たと思ったら、見せたい物があるといいながら引っ張られて外に連れ出された。連れ出される途中で聞いた話だと敵対組織を倒したから相手の持っている技術を利用して洗脳装置のレベルを上げて欲しいとのこと。

敵対組織だし妹に好感なんて持っているはずもないから洗脳出来なかったんだろうなぁ。

女騎士みたいな人がいて抵抗しながら「くっ…殺せ!」とか言ってるのかもとか考えていた。

敵の装置を参考になんかしなくても誰でも洗脳出来るようになんてすぐ出来ちゃうんだよなぁ、とか考えながらついた場所には巨大な宇宙船があった。

正義の組織の本拠地に連れてこられると思ったらまさかの宇宙船。

え、妹を止めようとしてた人達ってまさかの宇宙人なの!?辺りを見回してみると宇宙人みたいな人達がいっぱい転がってるし、実際に戦っていたのは宇宙人なのだろう。

そんな…妹の脅威が宇宙規模で広がっていたなんて…既に宇宙では妹の手配書も出回っているのだろう。これでは緊急脱出用に用意していた宇宙船で宇宙に逃げても意味が無いではないか…。

とかなんとか考えて勝手に未来に絶望していたのだが、妹が言うことをしっかり聞いているとさらに混乱した。

なんだか俺が知らないうちに宇宙人に攻め込まれていて、人々が洗脳されてしまっていた。

が、俺の発明のおかげで窮地を脱して元凶を倒すことが出来たから、後は洗脳された人達を解放するだけだそうだ。

……うん。妹が悪の組織を作ってしまったと思いパニックを起こして思考を閉ざしていたがなにか誤解をしていたようだ。

洗脳装置を作って欲しいと言ってきたのは洗脳された人々を救出したかったからで、組織の戦力を増やしたかったとかじゃなかったのか。

あー、くそ。妹は心優しい子のままだった。信じられなかった自分が憎らしい。

この状況をちゃんと把握出来ていたら、もっと全面的にフォローしてあげられたのに!

…悔やんでたって仕方ない。今出来ることをしよう。

妹に言われた通り、宇宙人の装置を見てみたが確かにかなりの技術だ。

これを俺の作った洗脳装置と繋げて、調整すれば…はい出来た。

このままスイッチを押せば…っと、これで全員の洗脳が解けただろう。

まぁ、宇宙人の装置など参考にせずとも少し時間があれば調整することは可能だったが、何も参考にせずに作ってしまうとなんで今まで作らなかったんだ、って攻められちゃうかもしれないからね。なんとなく雰囲気で誤魔化そうとしてしまっているな。


「さすがですね、兄上。これほど早くに装置を改良してしまうとは…。」

「当然。お兄ちゃんは何でも出来るんだから。」

こうして褒められてるとちょっとだけ罪悪感を感じてしまう。

むしろこんなことになっているのに気づかなかった俺は責められても仕方ないだろうしな。


「やったー!解決だ~。」

「うちあげしよ~。」

この2人も妹の趣味で猫耳が付けられているのだと思っていたが、しっかり目をこらして見ると猫耳が直接頭から生えている。きっとこれも宇宙人の仕業なのだろう。

…この子達のフォローもおいおいしていかなければな。


「よし、じゃあ打ち上げをしにいくか

「控えよ!私が来たからには容赦はしないであります!ノリトリ星人めっ!」


なんだなんだ。次から次へと、今度は何が起こったんだ。

空から声が降ってきているということはまた別の宇宙人でも攻めてきたのか。


「貴様らは自身の索敵能力に自信があったのでありましょう。ですが、私達のステルス能力はそれを凌駕する。我々が来る前に逃げようという算段だったのでしょうが、そうはさせません。この私、連盟軍の八将軍が1人アリス・マーノが成敗するであります!」


…ヒーローは遅れてやってくると言うが、悪が倒された後にやってくるとは遅いにもほどがあるだろう。


「どうした!ノリトリ星人!恐れをなして言葉も出ないか!ならば私から仕掛けさせてもらおう!…っとう!」


あ、なんか空から落ちてきた。

土煙をあげながら立ち上がった姿はまさしく騎士。鎧を身に纏った姿には威厳さえ感じられる。


「さぁ、剣をとるがいい。私が全て切り伏せてみ…せ…って、何ですか?この状況?

戦艦はボロボロだし、王は倒れてるし…え、おかしいな。」


あ、混乱しているみたい。分かるよ。想定外のことがあると頭がおかしくなりそうになるよね。俺も最近感じたからシンパシーを感じるね。


「何ですかあなた。この宇宙人ならもう私達が倒しましたよ。」

「え、うそ。この惑星に催眠装置を防げるような設備は存在していないはず…なんで普通に活動できているのでありますか?それだけでもおかしいのにノリトリ星人の王までも倒してしまうだなんて…ありえないであります。」

「ありえないってなんですか?助けに来てくれるんだったらもっと早く来てくださいよ。私達が洗脳にかからずに動けたからよかったもけども、全人類が洗脳されて大変だったんですよ!」

「うぐっ…。それに関してはすまないのであります。こいつらのステルス能力もなかなかの物で大規模な装置の使用でもしない限りこちらもこいつらの位置を感知できないのであります。しかし、この後の対応は任せて欲しいのであります。催眠を解除する装置も持参しているので少し時間がかかるでありますが全ての人の催眠を解いてみせましょう。」

「いや、それも解決済みなんですけど。」

「はい…?いやいや、催眠解除は連盟の最新技術を用いても1人あたり5分以上はかかる

であります。私達は100台装置を持ってきたけど、かなりの効率で催眠が解けたにしても100年単位の時間はかかるであります。それを、こんな短期間で…?本当に?」

「だから、そう言ってるじゃない。お兄ちゃんに出来ないことはないのよ。」

そう言って妹が俺を讃えるように手を振り上げる。あ~あ~アリスさんが困惑顔でおろおろしているよ。というか話を聞いてる限り宇宙の技術ってそんなに進んでない?


「っふぅ~。まだ飲み込めないこともありますが、大体分かりましたであります。そこの御仁の発明で危機を乗り越え、この惑星の全ての人の催眠を解いたというわけですね。」

おぉ、キリッとした姿に戻ったと思ったらこっちに近づいてきたぞ。

て、なんか手を捕まれたんだけど!?どうした!?


「どうかあなた様の発明を私達にくださいでありますっ!」

「あー!!なに、お兄ちゃんに手をだしているんですかー!!」

あ~、何かと思えば勧誘か。昔から俺の技術を欲しがって近づいてくる奴ばっかだったからなんか懐かしいわ。

というか妹よ、この人は俺をナンパしようとしているわけでは無いと思うぞ。


「突然のことで申し訳なく思うのでありますが、この惑星以外にもノリトリ星人の催眠の被害を受けたせいで救済が間に合っていない所が多くあるのであります。しかし、あなた様の発明さえあれば全ての惑星の問題が解決するであります。」

え~、俺に関係ないことだしあまり乗り気じゃないなぁ。

でも、妹はなんか使命感に燃えた目をしてらっしゃる。


「なるほど!そういうことなら仕方ありません。お兄ちゃんの発明を貸してあげましょう。

いいよね、お兄ちゃん?」

「あぁ、俺は構わんぞ。」

妹がしてあげたいというなら、俺が断るようなことはない。

いくらでも俺の装置をくれてやろうではないか。


「ありがとうございますであります!で、あの…ついでのお願いになるのですが、あなた様に連盟の本拠地がある首都星に来ていただきたいのであります。あなた様の発明は見る限り連盟の技術より遙かに高い領域にあるように見受けられます。これからの宇宙平和のために技術顧問として受け入れたいのです。それ相応の待遇をお約束するであります。」

「え、お兄ちゃんまで連れていくの?うーん。参考程度に聞かせてその主星まではどのくらいで着くの?」

「大体10年でありますね。」

なっが。いや、そうでもないのか宇宙人なら数百年生きるような奴らもいるだろう。

その尺度で言えば短い旅路かも知れないが、俺たちの価値観で言えば受け入れがたい時間だな。


「うぇ~、長すぎ。別にお兄ちゃんを連れて行かなくても装置だけ持って行けばいいじゃない。」

「そこをなんとか!」

妹の言いたいこともよく分かる。そこまでしてやる義理なんてないし…いや、待てよ。


「アリスさん。主星までの航海図とかあります?参考程度に見たいんですけど。」

「え、はい。構わないでありますけど…。」

渡して貰った航海図を見る。ふむ…。思った通りだな。


「俺の作った宇宙船なら10年もかからなさそうだぞ。」

「え、本当!さすがお兄ちゃん!」

「宇宙船まで作ってしまうとは…すごいですありますね。ちなみにどのくらいの期間でつくでありますか?」

「3日。」

「3日でありますか!?」

この距離なら俺の作った時空間ゲートを多用すれば問題なく着くだろう。軽い気分で宇宙旅行が出来るというものだ。


「さ、さすがでありますね。宇宙航海技術もかなり発達しているはずなのにそれを軽く追い越してくるとは…。」

「そうでしょう!お兄ちゃんはすごいんですから。」

ははは、でもまぁ。ぱっと行ってぱっと帰ってくればいいのだから特に悩む必要もないだろう。


「よし、じゃあ行くか。宇宙。」

「お兄ちゃんが行くなら私も着いてくよ!寧々ちゃんも行くよね?」

「福が良いというなら着いて行きたいな。」

「実も行く~。」

「咲も~。」


そうして、宇宙人との戦いは終わった。

ノリトリ星人の侵略した星の問題は当然解決し、それ以外の侵略者が起こした問題も解決していった。予想外であったのは戦闘力に関しても妹以上の者は居なかったようで将軍以上の位である大将軍が新たに作られることになったことだろう。

俺の発明も連盟に組み込まれていった。ただ、連盟も一枚岩ではなかったようで俺の発明を悪用しようとする者も何人かいたようだった。

まぁ、俺の装置を悪用したくてもプロテクトを掛けているので出来ないのだが。

悪用しようとしたデータも残るようにしていたので、連盟内の悪を粛正するのに一石二鳥になったりしたんだけどね。


そうして地球は宇宙連盟の中核となって技術の発展が進み俺と妹の夢であったよりよい世界に変わっていった。


妹も嬉しそうだし、嬉しそうな妹を見て俺も満足だ。


これにて完結となります。

読んでくださりありがとうがざいました。

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