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君の瞳で歩んだ僕の恋模様  作者: ガンバッ
2/8

始まり。

一話目はプロローグのようなものでした。実質、本当の一話目はこの話からになります!


なので、一ページ目で何の話してんだよっ。と思った方もいるかもしれませんが、プロローグに当たる前回の話しは適当に脳の端っこの方にでも入れておいてください!

いつか、意味のあった文章だと思ってもらえるように纏めていきます!


高校生になった僕に友と呼べる仲の者はいない。

初めから、そう言う俗称を僕は好まないし、作ってしまえば、僕の後悔は一層膨れ上がるだろう。

知人もいなければ話し相手なんて以ての外。


勿論、両親はいる。二人の関係を想っても当たり障りない所にあるのではないかと思う。喧嘩や言い合いも一度だってしたことはない。



この高校で口を開いた回数は数回程度だし。教師との会話ですら、相槌で済ませる。


語ることに僕は意味を見出さない。


彼らが生活するこの景色に僕を交えて欲しくもない。


高校二年の春頃。みんなも僕のそんな思いを汲み取ってなのか。話しかける者は限りなくゼロになった。それどころか居ないものとして扱ってくれる。

何度か三者面談を開かれてから、この手の話題も数回挙げられていたが、兎にも角にも本人に改善を求める意思がないこともあり、教師の中でもこの形が当たり前となった。


そして、今日から高校も最後の一年に入る。


それは毎年恒例の入学式から始まり、今この時を待ってのクラス替えまでの一連の流れ。


僕も新しいクラスに馴染みながら、席に座っている。

場所は、教師の采配によって出来た一番後ろの窓側席。僕は毎年、毎日。教室が変わっても同じ場所にいる。


態度の変えない僕に向けての小さな配慮と感じつつ意味のない感謝を浮かべていた。



「よっしゃー!また同じクラスじゃん」


静かに振る舞う僕を他所に新しいクラスメイト達は、大きな声を上げて騒ぎ出した。


「おう。今年もよろしくな」


「あったり前だろ。またよろしく!」


黒板の前あたりで奇遇にも毎年見かける二人組に目が止まる。


なんの因果か。

あそこの二人とはこの三年目まで、ずっと同じクラスを維持している。

少し聞き耳を立てていると、ちょうど彼らもその話題を持ち上げた。


「にしても、ほんとすごいよな。俺ら三年間一緒だぞ?やばいよな。仲よすぎだわ」


先ずその話題を振ったのは、短髪をツンツンと上へと立て、少しチャラい要素を多く含んだ彼だった。


「確かに、だいぶ運はいいわな。……でも、別に俺とお前だけじゃないぞ同じクラスのやつ」


次いで返事をした彼。容姿は少し長めに整えられた頭髪に当たり障りのない口調と落ち着いた雰囲気を感じさせる表情をしている。要するにクールな男前といった感じ。


そんな彼はあろうことか。その手の話題に後ろを指差して僕を見た。


対して、目のあった短髪の彼の反応はいたって簡単に済まされる。


「ああ。あいつか。でもあいつはいないものだから。ノーカンだろ」


「ん。まあ、そうかもな。話したこともないし」


「だろ?それよりさ。担任って誰だろうな?な?」


視線を交えた彼もすぐに素っ気なく返すと、思い出したように話題を変えた。

落ち着いている彼もその事には同意したようで、差していた指を引っ込めると、正面に立つ彼と話しを再開する。


そう。それでいい。何者にも捉えられない。着丈に振る舞う必要もない。放っておいてくれる事こそが、何よりも僕の為になっている。



これ以上周りの喧騒を聞いていても得るものはないと悟り、窓の向こう側へと意識を流した。


そして、担任教師が来るであろう時間の五分前。

不意に肩へと小さな衝撃を感じて振り返った。


トントン。

とリズミカルに感じた肩への感覚に、やってしまったと振り向きざまに後悔した。

これは僕に用事のある者が、意図して肩を叩いている。それくらいならここ数年で何度かあった。


いつもならば、目も合わさなければ、返事もしない。

ただ、この時の僕は意識を外に手放しており、反射的に振り返ってしまった。


はぁ。最悪だ。


振り返った先に立っていたのは、見た事は何度かあるが、話したことのない女子生徒。


名前も知らない。

だが、明らかに彼女が僕を呼んでいるのは間違いなかった。



「これから一年間よろしくね!」

自分の行動に嫌気がさしたまま落ち込んでいると、彼女の口から、快活とした声が放たれた。


はぁ。やっぱりこうなるのか。


いや、失敗は誰にでもある。こういう時は落ち着いていつも通りにしていればいい。



「……」

返事をせずに固まっていると、彼女は一度首を傾げて、いきなりハッ。と小さく空気を多分に含んだ声音を漏らした。


「私は#/&/#です!これから一年間よろしく!」

多分。聞こえていないのだと勘違いしたらしい。


僕は純粋に返事をしたくないだけだ。


更に声を大にニコリと僕へ語りかける。一度目もそうだが、笑顔がトレンドマークなのかもしれない。

慣れた顔つきで直視されている。


僕はこういう人種が一番嫌いだ。

笑っている表情は僕にとって害でしかない。

良くも悪くも感情に多大な影響を与える。


それから僕はめんどくさい事になる前に、頭を伏せた。

このまま距離を置こう。元々、ただのクラスメイトだ。僕が他者に興味が無いと分かれば、自然と距離を置くだろう。

いつも通りに過ごせばいい。


今日を乗り切れば明日からは、話しかけてこない。

偶々、今日から三年に上がって気分が高揚しているだけだ。



僕が殻にこもると隣にいた彼女からの挨拶は聞こえなくなった。それと、同時に何やら一悶着が起きた時の小さな言い合いだけが聞こえた。それから椅子の引かれる音がザザっと一瞬鳴ると誰かが腰掛けたような気配を感じる。


どうやら、僕の隣の席の生徒が着席してくれたおかげで、先ほどの女子生徒は離れていってくれたようだ。


今回ばかりは、誰か知らないが有難いと思った。


五分程頭を伏せていると定刻通りに担任教師が教壇に立った音がした。

挨拶から始まり、名簿の確認と生徒を一人一人名前で呼んでいる。


この時ばかりは頭を上げていなければ、こちらまで担任が来てしまう為、やむ終えず頭を上げて前を向く。



この時、些細な気持ち程度だが、隣に座った生徒が気になった。

チラリと頭を前に上げる瞬間に目だけを右端へ滑らせ、確認する。



……ああ。この人も僕と同じだ。



「……別にそれでいいと思うよ」


何故かわからないが、僕は誰にも聞こえないような小さな声でそう呟いていた。



僕は何年も忘れていた感情。

不思議な心を浮かべていた。


教えてほしい。

……君の瞳は何が見えている?



それは隣に座る一人の少女に向けた一言だった。

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