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コレはSTRですか?いいえMNDです ~スデゴロ神父の黙秘録~  作者: 猫背町壱丁目
第1章 主は仰いました『初めに光あれ、ついでにテンプレもあれ』
6/6

中世と近世ってなぜか中世のがよく感じる

コンペディションに悪戯神来ることになりましたね!!

チェキ…サイン…各28,000円…うっ頭と財布が……

AFO本サービス開始当日 正午5分前

外は昼前とは思えない程薄暗く、霧の様な雨が静かに降っていた。

独り身には少々広すぎるマンションの寝室は、肌にまとわりつく様な湿度の高い外気が感じられず快適で、私の無駄に大きな体を問題なく支える事の出来るダブルサイズのシンプルなベッドと、黒光りするバイクのフルフェイスヘルメットの様なVRバイザーが置かれているのが目に入る。


つまりは、絶好のゲーム日和であり環境なのだ。

え、完璧じゃん?AFOをプレイしろと天も言ってる。言われなくてもやるけど。

などと考えながら用意をしていたらサービス開始五分前になってしまった。

コレはいかん、折角なら開始と同時にスタートしたい。













初めに、賑やかしい人々の声が聞こえた。

暗いところから出てきたかの様に、白くブレていた視界が明確になっていく。

目のピントがあって最初に見えたのは、カラフルな人の頭の群れと、雲ひとつない晴天であった。サービス開始初日だからだろう、同じ様な服装をした人達が一同に会してる様は圧巻でありつつも、少し恐ろしいものである。

チラリと後ろを振り返ると、きっとここは町の広場か何かなのだろう、軽く3mはありそうな男(この世界の神や英雄の類であろう)の像が中心に立った大きな噴水があった。

少し遠くに見える建物は、中世ヨーロッパに地方都市などの木材が豊富な地域でよく見られたコロンバージュという建築様式に似ている。

凡庸な表現だがファンタジーらしさがあり、温かみと風情がある良い街並みだ。



という訳でやって来ましたAFO!素晴らしい作り込みだね!さすが変態運営!!

きっとここがスタート地点のファスタという街なのだろう、人が多い上に引っ切りなしに新しくログイン出来たプレイヤー達がスポーンしてくる。

シンプルに、人混みが、ヤバい。

確か冒険者ギルドがあったはずだ、混む前にさっさと登録しに行った方が良さげだな。


などと予定を考えながら人混みを掻き分け、噴水広場(仮)から四方に伸びる大通りの内の一本に抜け出た。

さて…ギルドは何処だ。


AFOでは、自らマッピングするなり既存の地図を買うなりしなければ自分のマップに反映されない様になっている。

つまり知らない場所に行くには己の足で稼ぐか、NPCなどの土地勘のある人に聞かなければならない。

そんな訳で串焼きらしき屋台を発見。


「すいません、タレ一本ください!」


初期装備に資金として2,000Gが含まれているため、問題はない。

ちなみに読み方はG(ゴールド)で、1G=1円である。ド◯クエかな?


「いらっしゃい!おっ兄ちゃん旅人さんかい?縁起の良さそうな顔だな!一本100Gだよ!!」


我々プレイヤーは別の世界からの旅人という設定で、こちらの世界の神様が神託をだしてNPC達に広まったらしい。

冒頭のOPムービーでそんな概要が流れるそうだ、スキップしたから知らんけど。

てか、縁起が良さそうって…天人族だから間違っては無いか。


「はい、有難うございます!ちなみに冒険者ギルドって何処にありますかね?」


「毎度あり!ギルドならこの大通りを真っ直ぐに行ったところにある、剣と盾の看板がぶら下がったデカい建物だぞ!まぁ頑張りな!!」


「そうですか!有難うございました!!」


無事ギルドの場所は把握できた。

にしても、あの屋台のオヤジ声がデカいのなんの。釣られてこっちまで大声で喋ってしまったよ…。


屋台で買ったジビエっぽい串焼き(鑑定した結果プッシュラビットというモンスターらしい)を食べながら、言われた通り真っ直ぐ進んでいくと二階建ての立派な建物が右側に見えて来た。

もっと近づくと剣と盾を模した看板が、傷だらけで大きな両開きの扉の上にあった。

冒険者ギルドはここで間違い無いだろう。


雰囲気あるぅ…あのテンプレはやっぱ起きるのかな!!




地方都市ファスタ

数ヶ月前、この街に旅人と呼ばれる異世界の住人が現れると神託があった。

そして神託で告げられた日である今日、直接影響を受けるであろう冒険者ギルドファスタ支部は朝からピリピリとした緊張感に包まれていた。


そんなギルド内は今、妙な静けさに包まれていた。

その中心にいるのは二人の男。

一人は冒険者なのであろう、使い込まれた革鎧を身に纏ったガタイのいい中年男性である。

もう一方は例の旅人なのであろうか、何の変哲もない布の服を着た青年は、そんな平凡な格好をしているのが逆に違和感を感じる程、目を惹く容姿をしていた。

濡れた様な黒髪に紫の魔眼と浅黒い肌、そして目に付く黒い角は、海の向こうにある魔大陸に住むと言われる魔族の特徴と一致している。


「おい、兄ちゃん。悪いこたぁ言わねぇから、とっとと異世界なり魔大陸なりに帰るんだな。」


「なぜ貴様に指図されねばならんのだ、引っ込んでいろ。」


「ハッ!関係ねぇだと?!お前みてぇな何処の馬の骨とも知れない奴が、ルールもロクに聞かずに起こすかも知れない事件の尻拭いする為に冒険者やってんじゃねーんだよコッチは!!」


「何だと貴様ァ!この俺を侮辱する気か!!」


まさに一触即発である。

周りの冒険者達も男性の意見に賛成なのか、魔族の青年を見る目に鋭さが宿っていく。


そんな中、ギルドの扉がゆっくりと開いた。

突然のことにギルド内にいる全員の注目が、その扉を開けた人物に注がれた。



大きな人影があった。

2mはあるであろう長身と、その高さに見劣りしない程鍛え抜かれた体が、後光の様に広がる外の光によって輪郭づけられていた。

一歩一歩ゆったりと気兼ねなく歩くその姿は、自然体にも関わらず圧倒的なまでものプレッシャーを放っているのが感じられる。

逆光で見えなかったその人物の顔は、先に見えた体格から感じる威圧感とは真逆にとても優しそうな表情をしていた。

陽の光を集めたかの様な輝かしい金髪と、濁り一つ無い澄んだ黄金色の瞳にはうっすらと神を象徴する十字架が透けて見えた。

圧倒的な力を感じさせる屈強な体と、祈りたくなる様な神聖な姿は、まさに光を携えた男神の降臨とも言える光景だ。


どうも、舐められない様に気合を入れてギルドに来たシンプソンです。

でも待って、視線が痛い。凄く、視線が痛いです…。

しかも見た感じ、あの【ギルドで絡まれる】ってテンプレもう起きてるじゃん!

遅かったかー…そっかー…


ちなみに私はやっぱり近世ゴシック様式一択っすね!

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