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マジック&スカイ  作者: 安良久 理生
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3 はじめてのブレス

 公式サイトにも書いてあったけど、最初のうちは使用する機体を絞り込んで経験値を集めるのがいいとのことなので、僕はこのままドラゴンタイプを使うことにした。ドラゴンと言っても、本物ではなくて機体の形がドラゴンを模しているだけだ。ただ、操縦席を除いて船体は有機物を使っているため、生命は宿っていないけれど生物的だ。ロージーの愛機であるビーストタイプは鬣の生えた虎に似ており、イーグルタイプはそのまま大きな鷲だ。プレイヤーのキャラにはレベルは無いが、機体と武器は同じものを使い続けることでどんどんレベルが上がって、攻撃力や防御力などが強くなる。レベルが上限に達したら、僕の乗っているノービスドラゴンならレベル5に達したところで、進化が可能だ。


「ヒロ、次のステージに行くよ」

「うん、行こう」

 僕たちはメニューから待機ルームへ跳んだ。待機ルームは、ステージを開始する前にプレイヤーが集まる場所だ。広々とした部屋で、あちこちにテーブルや椅子があり十数人程度のプレイヤーが談笑したり、壁一面に写し出される、鑑賞許可モードをオンにしているプレイヤー達が攻略中のステージを観戦していたりする。あ、パーティ募集のメッセージを記入したウィンドウを広げた人もいるや。

 僕たちはメニューから第2ステージを選択する。一瞬視界が暗転しすぐに明るさが戻ってきた。そのときはすでに操縦席に座っている。さっきまでは人がいる部屋に立っていたのに変な感じ。そしてステージの開始と共に、リズム感のいいトランス系のBGMが流れ始めた。設定で音楽をオフに出来るのだけど、高揚感のある電子的な音楽が気持ちを高ぶらせてくれるので僕は好きだ。

 最初のステージでは蚊を5匹全て撃破することがクリア条件だった。操縦席を覆うガラスのような透明な、キャノピーってやつかな、それに今度のステージの目標が浮かび上がる。地上にいる敵、ビッグトータス、巨大な陸亀一匹を倒せばいいようだ。空中戦のお次は地上戦のチュートリアルってね。

『さて、今度は地上の敵が相手だよ。しかもかなり堅いんだけど、ほとんど反撃してこないからね。落ち着いて地上への攻撃方法を練習しようか』

「うん」

 ロージーの声がスピーカーから流れてくる。彼女のビーストに続いて下に見える平原へ機首を下げると、どんどん地面が近付いてきた。

「うー、ちょっとどきどきする」

『あはは、すぐに慣れるよ』

「慣れるかなー」

 どんどん視界が平原の緑で埋まっていくので、僕は少し不安になってくる。

『そろそろ機首を上げて、地面にぶつからないようにね。あと上げすぎて失速しないように』

「う、うん」

 慣れない操縦にずっとどきどきしながら、そっと操縦桿を動かして機体を再度水平にする。

『そうそう、その調子その調子』

 ロージーの声でようやっと落ち着きが出てきた僕は、数百メートルくらいは離れた場所にいる、ターゲットの陸亀に向かっていく。あいつ、ひょっとして五階建てのビルくらいにデカくないか。

『まずは武器を撃ってみて』

 射程距離に届いたところで彼女の指示に従い、メインウェポンの魔力弾を連続発射する。ぷしゅぷしゅと少しマヌケな音が機体に響いた。が、あまり亀に効いたようには見えない。そこでサブウェポンの誘導爆弾まで追加で使う余裕なんて、今の僕にはありません。

『ここで一旦離脱!』

 僕たちは亀の横を通り過ぎて、旋回して戻ってくる。

『本当は爆弾があると急降下爆撃とか出来て楽なんだけどねー、でも今のでブレス用のゲージが貯まっているはずだよ』

 見ると、確かにゲージが一割程度貯まっていた。キャノピーにも『ゲージを貯めてブレスを使ってみよう!』と表示されていた。

「あ、ホントだ」

『ここの亀は特殊でね、ゲージが貯まりやすいんだよ。あとはゲージが満タンになるまでこの繰り返しね』


 僕たちは亀に突っ込まないように気を付けながら、何度も接近とちびちびした攻撃、離脱を繰り返した。ロージーは一緒に飛んでるだけで攻撃していたのは僕だけだけど。やがてゲージがいっぱいになって、『ブレスで亀を攻撃してみよう!』とメッセージが表示された。

「ゲージが貯まったよ」

『よーしヒロ、ブレスで一気に片づけちゃって!』

「OK!」


 僕は機体をまっすぐ亀に向ける。すると亀も何かに気づいたのか、こっちを見たあと首と手足を甲羅の中に引っ込めた。

「いっけぇぇぇーーー!!」

 僕は気合いを込めた声を上げ、ブレスの発射ボタンをぐいっと押した。

 そして操縦席からも少しだけ見えていたドラゴンの頭部から、青と白で彩られたまばゆい光の奔流が放たれた! BGMも気分を盛り上げるようにビートを上げている!

 操縦席はドラゴンの首の付け根近くにあるためここからはよく見えないけれど、ブレスが使用可能になる時にドラゴンの口が大きく開かれて、ブレスはそこから出ているはずだ。もちろんドラゴンの首が視界を妨げないよう、首の長さは短めに作られておりやや下向きについている。でももうちょっと操縦席が後ろなら、背後の視界も確保出来るんだけどねー。そしてブレスは亀のHPを瞬く間に減らしていき、光が消えるころには亀の姿も消えていた。


『やったね! おめでとう!』

 ロージーからも興奮したような声が聞こえる。キャノピーに浮かび上がるメッセージにも、『ミッションコンプリート』そして『ステージクリア』と表示された。

「凄い、ブレススゴい! ってうわぁ!」

 ブレスの威力と、亀を倒したことで浮かれてしまった僕は操縦を誤り、危うくドラゴンが地面とキスしそうになったのをどうにか立て直した直後、ステージをクリアしたことで僕たちは町の転送スポットに立っていた。


「どうだった、ヒロ?」

「スッゴくスッゴく、興奮した!」

 僕は思わず両手の指を握りしめてブンブンと振ってしまった。なんだか顔まで真っ赤な気がする。

「・・・・・・はあ、今のセリフ、リアルの顔で言ってほしかったなあ」

「へ? なんで?」

「いや、なんでもないよ」

「そう?」

「じゃあ、進化が出来るレベル5になるまで、どんどんステージクリアを目指そうか」

「もちろん!」



 ちょっと執筆スピード上げてみました。これで戦闘シーンの内容とかがきちんと伝わっているのか、ちょい不安……。

 機体と武器に属性追加しました。進化時に付与しない限りは無属性です。第1ステージの敵も無属性。

 一部表現修正。

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