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五話め。人気者になりたい。なり……たい……orz

「くっそぉ~! あの女なんで笑わねーんだよ!」

 あれから一週間。

 あんな啖呵を切ったは良いが結局笑わせることは出来て居ない。

 言っては何だが俺は凄く頑張った。

 だがあの女の無表情は崩れない。

 まるで俺がスベっているみたいで精神的にも死にそう……。むしろ死にたい……。



「何だ? もう諦めたのか河合君」

 そういって頭を抱えている俺を嘲笑うかのように見下ろしているのは筋肉。

 クソ、精神的に追い込まれてるときに暑苦しい奴が。


 後、俺の名前は河合じゃない。


「どうしたんだ河合君、何悲しんでんだ河合君、そういう名前で呼ばれてどういう感じだ河合君河合君」

 続いて出てきたイケメンも嫌らしい顔で幽霊娘が言い出した俺の間違えた名前を連呼する。

 いや言い出したのは俺だが、まさかココまで発展するとは予想していない。


「だ、誰が河合だコラァ! 俺にはちゃんと『一宮いちのみや 扶郎ふろう』っていう異界に呼ばれても可笑しくねーイカした名前があんだよ!!」


「……イヤお前がっつり名前負けしてるよ、河合の方が絶対合ってるわ」


「どーゆー事だコラァ!!」

 確かによく名前だけ聞いたらカッコいい残念な感じが可哀想だね。とか言われるけど!

 誰か俺を最強になれるような異世界に呼んでくんない!?

 ……最早俺は誰に言ってるんだろう。

 取り合えず協力だ……誰かに協力してもらうしかない!





「えー、皆聞いてくれ! あのクソ生意気な女! 影宮かげみや 阿夏羽あげはを笑わせなければならない!!」


 ポチ。


 俺の一言で、ワー! という歓声が沸き立つ。

 尊敬されている俺の咳払いと共に歓声は静まり返り、俺は続ける。


「俺一人では奴を笑わせることは出来ない! 皆!! 俺に力を貸してくれェェ!!!」


 ポチ。


 そして再びの歓声。

『良いぞー!』『俺達で笑わせるんだー!』『アンタの為なら死んでも良いぜー!』


 この俺に対する歓声。

 ついかっこよく、ため息を零してしまう。

 俺がたった一声掛けただけでこんなにも人が集まるだなんて。

 ……人気者は辛いゼ。

 何で笑わすだけで死ぬ事になるんだ? という突っ込みは無しの方向で。



「……何やってんだお前?」

 歓声に酔いしれている俺に無粋な男が声をかけてきた。

 イケメン野郎め。一体何のようだね。


「見てわかんねーのか? 俺の信者達と戯れてんだよ……俺が一声かけてコレだ、罪な男だよな俺って」

 っふ、と意味深に笑って見せ両手で天を仰いでみせる。

 そんな俺を崇め様ともせず、イケメンは溜息を溢していた。


「片手にラジカセ持って一人で何やってんだって言ってんだよ、お前のせいでクラスの女の子怖がってんだよ」


「………………」

 ポチ。

 無言でラジカセの再生のボタンを押す。


『イケメンは帰れ! 何しにきやがったんだよテメー!』『モテル奴は滅べ! 地獄に落ちろ!』『っていうか抱け! 寧ろ俺を抱け! 優しく耳元で囁け!!』


「何で最後に優しさが欲しいんだよ……」

 そう言いながらもう一度溜息。

 その溜息が俺を見透かしているようで涙が出そうになる。


「つまりアレだろ? 他に協力を仰いだけど誰も協力してくれなかったんだろ?」

 ……イケメンの言葉に間違いは無い。

 あれだ。別に嫌われてるとかじゃないから。皆もう罰ゲームとか飽きたとか言うんだよ。

 一人でこのラジカセ作るのも結構辛かったわ!!


「ウルセー! 俺だって一生懸命やってるけど全然ネタが浮かばねーんだよ!! ネタはやりつくしたんだよ!」

 泣きそうな声で叫びながらラジカセを床に叩きつけ……ようと思ったが学校の備品なので丁寧に置いた。


「ちなみにネタって何個やったんだよ?」

 そこまで言うんだから相当頑張ったんだろ? という視線を俺に向けてくるイケメン。


「やりすぎて覚えてネーよ!! 寧ろあんだけ良く頑張ったよ俺! プライドずたずたダヨ!! 心折れる寸前だよ!! なんであの女笑わねーんだよ……」

 声が小さくなって最後まで言えない……泣きそう。


「寧ろそれで諦めねーお前の精神力に感服、プライドねーんじゃねーの?」

 何こいつ死人にムチ打ちに来たの?


「おいー! もう止めろよー! こっちは誰も手伝ってくれねー自分の人脈の薄さにブルー入ってんだよ!! これ以上追い込むなよー!!」

 さながら遊ばれた女のような気分……楽しいと思ったことにしか突っ込んでこない悪友しかいねーのかよ! 遊びは一回で十分だってか! まぁ俺もそうだけどよ! 本当悪友だわ類友しかいない。


「あー、解った解った……手伝ってやるからそんな泣くなって」

 い、今なんと!?

 イケメンの言葉にやさぐれていた俺の心がみるみると明るくなって行く。


「マ、マジかよ!?」

 っパーと一気に顔が輝くのが自分でも解る。

 本当に抱かせてやっても良いぞこのヤロー!


「……鼻水飛ばすなよ。 取り合えず暇だからさ、筋肉バカも暇そうだから手伝うってよ」


「おお! 心の友よ!」


「さっき心の友に向かって滅べとか死ねとか言って無かったか?」


「幻聴幻聴」

 手を目の前で振って作り笑いでそこは誤魔化す。

 凄い目で睨まれた。

 誤魔化しは失敗したらしい。


 待ってろよ幽霊娘!! ピンが駄目ならコンビでゴー!


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