四話め。電波娘に宣戦布告
「……信じてない……感じ」
無表情な顔を少しだけ歪ませてみて、めいいっぱい不快だと主張してきやがった。
「あったりまえだ!! 何処にこんな実体的な幽霊がいるんだよ!」
「……ここに」
「うぉい!」
無意識に突っ込みの姿勢を取ってしまう。
何なんだこのわけ解らん幽霊女は!?
「大体お前毎日飯食ったり授業受けたりしてんじゃねーか!! 幽霊が飯食うか!? 学校通うか!?」
「……幽霊の感性は人それぞれ」
「じゃぁ何か!? テメーの感性じゃ幽霊は飯も学校も当り前ってか!? ありえねェって!」
馬鹿らしくなって来たぜ! こんなのと付き合ってられっかよ!
人を小馬鹿にしたような色の灯らない瞳に余計苛立ちを覚えた。
そんな瞳でそんなふざけた言葉言われ続けても面白くもクソもネーって!!
沸々と込み上げる俺を他所に、幽霊娘は再び口を開いた。
「後、幽霊には感情が無いの……」
「……感情?」
その言葉で、俺の込み上げて来た怒りが止まった。
コクンッと小さく頷いてアゲハは続ける。
「うん……笑いも、楽しさも、悲しみも、怖いのも、苦しいのも、辛いのも、夢も、希望も、全て無いの」
……その言い方は、それがまるで当り前かのように、どうでも良いような言い方。
夢や希望まで感情に入れるのは変じゃないか? と少し思ったが俺を動かした部分はもっと最初の言葉にあった。
「……っふーん? 感情が無いんだ?」
アゲハはまた小さくコクンと頷いた。
彼女は無表情なまま。
対する俺の表情は一気に変わっていった。
怒りなんてもう、そこには無い。
新しい玩具を見つけた子どもの高揚感が変わりに募った。
気持ち悪い笑みが浮かぶのはクセだから仕方無いじゃない。
「っじゃーあれだ! 俺がアゲハを笑わしゃー幽霊である事は否定されるわけだ!!」
「そうね」
簡潔な即答が、俺の中で決心へのスイッチを押す。
「決めた!!」
ビシィ! と人差し指を向ける。
「俺がお前を絶対に笑わせてやる!! お前のそのけったクソ悪い表情を満面の笑みに変えてやるよ!!!」
本来人は指でさしちゃいけないがコレばっかりはささずにはいられない。
「……そうね、その言葉が面白いわ。腹が捩れるわね」
そう言いながら全く変わらない無表情に、バッチリと皮肉が込められているのが良く解る。
上等だ!
その死んでいるみたいな変わらない表情を、さいっこう! の笑みに変えてやる!
硬い決心を込めた時、タイミング良くチャイムが鳴った。
折角良いタイミングで始まったのにソレはねーよ。
何てに残念に思う。
が、時間が来たのなら教室に帰らなくては……俺は以外に優等生なのだ。
「ま、楽しみにしておけよ! まったな!!」
それだけ言って俺は踵を返した。
しかしどうやって笑わせようか……一発ネタでも駄目でトークでも駄目だったし。
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そろそろ私も戻ろう。
河合君は軽く手を振りながら屋上の降りるドアから出て行った。
……不思議な人。
私なんてほっとけば良いのに、何で私に関わろうとするんだろう。
どうせ私は居ても居なくても変わらない存在なんだから……。
ドアを開けて階段を降りる。
そういえば……『またな』何て久しぶりに聞いたかな。
誰も私何かと、もう一度会おうなんて思わないのに。
…………本当、不思議な人。
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