二十一話.ハハハこやつめ。
「何が聞きたいの」
次の日、同じ時間帯にアゲハの部屋に来た。
来た途端にそう切り出された。
ハハハこやつめ。
何が聞きたいと言われれば聞きたい事など山ほどあるわけなのだが。
どういった症状なのか。
その症状は心臓の音が聞こえないのと関係があるのか。
あの医者は何なんだ。
なんで起きた事を黙ってたのか。
まだまだ聞きたい事はある。
俺はアゲハの事を、何も知らない。
いや、よく考えたらアゲハも俺の事知らないんだよな?
つまりアゲハの事を知らない俺は、アゲハも俺の事を知らないとな。
つまりつまり。
アゲハも俺の事も知りたいだろうし先に教えなくては失礼では無かろうか。
つまりつまりつまりつまり……
「ふむ、成る程な」
「何が成る程なの?」
俺の中の自己解決に彼女は不思議そうに首を傾げる。
「河合君が神妙な顔で考えてもアホ面なだけだけど、それに考えすぎたらまた変な事言い出すよ」
あれ口悪! 凄い言われようなんですけど!
その言い草に慌てて言い返す。
「な、なんだテメー! お前が俺のスリーサイズ教えて欲しそうな顔してるから教えてやろうと思ったんじゃネーか!!」
「一体河合君の頭の中でどういう風な経緯に至ったのか謎だけど、私が河合君のスリーサイズを教えて欲しいという事になるなんて、
ノストラダムスの大予言が当る位ありえないと思うよ」
「もうとっくに過ぎてるんですけど!? つまり絶対にありえないって事!? ちなみに俺は知りたいぞ!!」
「……もしもし警察ですか病室に押し掛けた変態が」
そう言いながらアゲハはおもむろにケータイを耳に当てていた。
「ちょ! ゴメン!! 冗談です!!」
アゲハはフンっと鼻を鳴らして俺に視線を向けて来る。
「冗談よ」
「お前も冗談言えるのかよ……」
何か俺も疲れたわ。
っていうか何の話してたっけ?
「貴方はバカみたいな会話をしに来たの? それとも私の話しを聞きに来たの?」
「誰がバカだ!!」
「河合君以外誰が居るのよ」
「誰が河合だ!!」
「折角話を戻してあげようと……」
「あ? あんだって?」
いきなり小さい声にされても聞こえネーよ!!
しかも頭を抱えだしやがった。
何だ? 頭痛いのか? 病状が悪化したのか?
だ、大丈夫?
ーーーーーーーーーーーー
「早く聞きたい事、言って欲しいんだけど」
あ、そうだ。
聞きたい事があったんだっけ。
「なァ結局なんの病状だったんだ?」
「その質問は却下」
って、おい……いきなりかよ!
しかし、病状とは人に言い辛い物もあるかもしれ無い。
そこは流石に聞かない方が良いか。
「じゃー何で心臓の音が聞」
「却下」
言い切る前に却下された……
ま、まァ人のプライバシーだしな。
「じゃーあのクソ医者は何なんだよ?」
「却下」
また拒否られた。
「……」
「……」
少しの沈黙。
いい度胸です。
俺の本気を見せてやりましょう。
「何で起きてたの黙ってたんだよ!!」
「却下」
「ココの病院前に来てたのか!?」
「却下」
「全部却下って何だボケ!!」
「却下」
「おい! いい加減しろ!」
「却下」
「バーカ! バーカ! アーホ! アーホ!!」
「却・下」
「スリーサイズは?」
「上から80・57・82」
「それは答えるのかよ!!」
「……取り合えず鼻血拭いてよ」
「ううううううるせー! バーカバーカ!」
チェリーボーイな俺には刺激が強すぎます。ありがとうございます!
やっぱ着痩せするタイプなのね。
アゲハと激しい問答を繰り返していると、突然ドアが開いた。
反射的に俺とアゲハは口を閉ざし開いたドアの方に視線を向ける。
そこには、胸糞悪い白衣の男が立っていた。
鼻に大きな絆創膏を貼っているのが良い気味だ。
俺の拳がしっかりと傷跡を刻んだようだ。
クソ医者は目を細めて俺とアゲハを交互に睨んだ。
特に俺に向けているときの視線が半端無い。
何か殺気と憎悪が半端無い。
何でこんな睨んでんだ? 殴った時顔解んなかったんじゃ?
アゲハに軽く視線を送ってみる。
『このクソ医者は誰にでもこう』
という感じに視線で語られた。
コイツ視線で語るとかスゲェ。
クソの所は俺の補正。
「随分と騒がしいと思ったら……私の時と違って随分と楽しそうだな? 影宮君?」
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