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十一話め。ボケる内容きつくなってきた


 チラッと見てみると、河合君が満面の笑みで教室を出て行っていた。

 ……また変なこと思いついたんだろうな。

 なんて勝手に予想。


 私の視線に気づいたのか、天道君が私の方に手を振ってきた。

 すぐに視線を逸らす。

 視線を逸らしたというのに天道君はまた近づいてくる。


「あのバカが何か思いついたみたいだゼ? アゲハちゃん」


「……別に」


「まー俺はアゲハちゃんが無愛想だろうが別に良いんだけどよ、アイツは嫌みたいなんだよ」


「迷惑」


 一言しか溢さない私にまた表情が強張る。

 ……これが普通の反応。河合君がオカシイ。


「馴れ馴れしくして欲しくない……君も河合君も」

 率直な言葉。

 私の言葉に天道君の表情は更に固まる。  


「ま、まーそう言うなって」

 たじろぎながらも、天道君は私に笑いかける。

 少し困ったような、それでも仕方ない、というような笑顔で。


「俺はともかく……アイツはバカだからよ、なんも知らず人の心ン中を土足で入ってきやがる。 誰もが見て見ぬふりする闇があっても、誰もが同情して触れない想いがあっても、アイツは気にしない、思いっきり入ってきやがる、バカだからよ」


「…………」

 まるで自分がそうだったか、と言うように。

 天道君と河合君の馴れ初めなんて知らない。

 だけど、きっと思いがあったからこそ。

 彼はそんな事を私に口走ったんだと思う。

 そんな思いなんて、私には解らないのだけれど。


 ずっと私はそう。

 冷たいとかじゃ無くて、心の底から何も考えられない。


「……いや、忘れてくれ」

 私の表情を見て天道君は慌てた表情を見せた。


「取り合えずアイツの茶番に付き合ってやってくれよ」


「嫌」


 私の否定的な言葉を聞いても、天道君は怒るような表情は見せない。


「そりゃそうだ」と小さく溢して肩を竦めて見せる。


 そうしていると、教室のドアが何か騒がしいことに気づいた。


「ほれ、バカ王子が帰って来たぜ?」

 天道君は騒ぎの様子が解ってるらしい。

 ニヤリ、と何処かで見たような笑みを向けてくる。

 類は友を呼ぶとは良く言ったもの。



 ドアの方に視線を向ける。


 ……………河合くんの服装が変わっていた。

 頭には何か紋章が刻まれている金色の冠。

 右手には大きな剣。左手には同じく紋章が刻まれた洋風の盾。

 見た目から言うと古いゲームの勇者のような格好。

 その姿には見覚えがある。


 今やっているアニメ。

 河合くんは結構オタクなのかな。

 そのアニメには無愛想な魔法使いのヒロインが居る。


 ………天道君が言ってた茶番ってもしかして。


 これ?


 え、待って私が無愛想だからとかそんな感じでチョイス?


 あ、筋肉君も協力してるらしい。

 河合君の後ろで魔王のような服装をしている。

 悪そうな角と悪そうな棒を持ってる。

 後気持ちもなりきっているのか悪そうな顔をしている。


 ……体大きいもんね。

 教室に入るドアで悪い顔のまま角がつっかえてる。

 それでも悪い顔をキープしながら入ろうとあくせくしているのは、良く解らないプロ意識かな。 


 河合くんのわけの解らない行動に考える前に私の脳は一瞬処理落ちしてしまう。


「……俺がさっき褒めたのに、ことごとくソレを無視しやがるなあのボケナスは」

 友人である天道君が、友達に向けるものでは無いような物凄い目線を向けている。

 褒めたからと言って、キツイものはキツイらしい。


 あそこあまでバカっぽいことをするのは予想外だったらしい。


 というか、さっきの褒めてたんだね天道君。

 褒めてたとは思えない発言だったけど。

 寧ろいつも通りバカにしてる感じ。 

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