十話め。顔がよければ何でも上手く行くと思うなよ
読者をしているのに、河合君がウロウロしていて集中できない。
今度は何をしているのだろう。
毎回毎回わけのわからない行動には首を傾げる。
面白いと思ってるのかな?
本を見るフリをしつつ、さりげなく河合君の方に視線を送ってみる。
ウロウロしていると思ったらいきなり考える素振りをし始めた。
……多分だけど裸でスリラーとか踊りたいナァとか考えてるんじゃないかな。
そうこうしているといつもの3人組の顔が良い人が、河合君に話しかけていた
。
何か会話をしている。
会話っていうか言いあい?
あ、やっぱ裸でスリラーしたいとか考えてたんだ……当った。
相変わらず河合君、頭の中ぶっ飛んでるね……。
あれ……イケメン君がこっちに向かってきた。
なんだろ。
こっち側に用事があるのかな。
そう思っていたら、彼は何故か私の目の前で止まった。
……? 何? 貴方は目立つんだから近づかないで欲しい。
「あーげーはーちゃん♪ なーにしてんの?」
凄い良い笑顔で話しかけられちゃった。
困っちゃうな……。
「……見て解らない? だったら貴方の瞳は……可燃物に出すべき」
本を持っているのだから読書以外何があるのだろう。
あ、笑みが引き攣ってる。
「ア、アゲハちゃんさー…… 俺の事知ってる?」
「…………」
視線を本に戻す。
「天道瑠居って言うんだけ……って話聞いてる?」
「お、おーい……」
お名前まで大変ご立派であらせられるそうです。
暫くずっと何か言われていたけど特に興味も沸かず本に視線を落とす。
諦めたのか天道君は肩を落とす素振りをして戻っていく。
……ホントなんだったんだろ?
ーーーー
「駄目駄目じゃねーか!」
俺の言葉にイケメンが目を伏せる。
「ギャハハハハハハ!! バーカバーカ! ざっまぁ!!」
このイケメンが凹んでるのなんざ久々に見たが中々の残念っぷり。
イケメンの失敗ほど嬉しいものは無いと思う俺の心は狭いだろうか。寧
「俺の素敵な表情も何も利かねェとか…あの女マジで幽霊なんじゃね?」
……いや狭くないな、このボケはもっと敗北を知るべき。
「テメーはどんだけ自分が凄いハンサム様だと思ってンだコラ!?」
「結構凹んでんだゼ? 簡単だと思ったんだけどなー、女にあんなシカトされたのは初めてだわ本当」
そういったイケメンは案外素で凹んでいる様子だった。
こんな事で落ち込めるコイツの頭はやっぱ俺達バカ組と一緒なんでは無かろうか、違うのは顔だけ。
あ、後足の長さ。
「取り合えずテメェもやってこいや!」
イケメンの表情はすぐに変わった。
俺が浮かべるような意地の悪い笑みだ。
「は? 失敗したの見てやるかよバカじゃねーの?」
「俺だけ恥かくなんてやってられっか! テメーもステキ笑顔を振り撒いてきやがれ!」
恥かいたのはお前の勝手じゃね!? と思ったのだが口にするのは止めておくことにした。
俺も恥をかきたいわけではないが万策尽きたことには変わりない。
イケメンが失敗した後というのは忍びないが駄目元でやってみるしかない。
「……行けばいいんでしょうが行けばー!」
「え、マジでいくの? お前ほんとにドMなんじゃねーの?」
こ、こいつは!!!!
……そうだ。どうせ笑いかけるんなら思い切ってネタに走ったほうが良い!! 良いに来まってる!!
無愛想女め!! 俺の本気はまだまだこれからだ!
いつもの嫌らしい笑みを浮かべると、イケメンも俺の考えが読めたのか、同じ様に笑う。
「ちょっくら準備してくるぜ……」
「おう、遠くから見学させて貰うわ」