ケルさんのご飯係①
ブーッ!ブーッ!ブーッ!ブーッ!
スマホのバイブ音でショウは目を覚ました。
「(この感じ……アラーム……じゃない)」
寝ぼけ眼でスマホを操作する。
メールの送り主はショウの姉だ。
「……姉ちゃん…」
もう少し時間を考えてくれっと思いながらショウは姉のメールを見る。
内容は……
ーそっちの暮らしはどうー?ちゃんとご飯食べる?ご飯の写メちょうだいねー♪by美しい姉ー
「自分で言うかよ……」
向くりっとベッドから起きると黒い塊がショウに向かって突進してきた。
黒い塊の正体はペットのケルだ。
小さな体に、ふわふわの毛、クルんっと丸まった尻尾が特徴の犬だ。
散歩していると豆柴に間違えられるが豆柴ではない。
「おはよう。ケルさん」
「わうわう!!ぐぅぅぅ……わうわう!」
「……今からご飯用意するから声のボリューム下げて。あと少し落ち着いて」
「ぐぅぅぅ……」
よっこいしょ…っと声を出し立ち上がり、キッチンに向かいた。
アクビをしながらケルのご飯準備を始める。
その間ケルはショウの足元にピッタリ引っ付いている。
「はい。ご飯」
とんっと音を発て、ケルの前にご飯を出した。
「………わう!」
「ケルさん……今まで食べていたご飯とは違うが、これしか無いんだよ」
不満げな表情のケル。
ショウは大きなため息をついた。
「……そんなに食わず嫌いするなら、ご飯食べなくて良いよ」
「ぅぅぅぅ……あぐ、ばぐ……」
しょうがないから食べてやる感を出しながら、ケルは食べ始めた。
ショウは時間を確認した。
「早く起きちゃったな……まぁ良いや。とりあえず洗濯するか」
テキパキと洗濯、お風呂掃除をこなしていくショウ。
しかし、実家でも炊事洗濯は自分でしてきたから苦ではない。
寧ろ好きな方だ。
朝食を用意し、食べる前に写メを撮る。
「今日は……残りのロールキャベツとトーストと……ヨーグルトです…………送信っと」
姉にメールを送り一安心したショウ。
一回、忘れた時があったがその時は……言葉では言い表せない程ひどい目にあった。
「いただきまーす」
モクモクとご飯を食べながらケルを見る。
何だかんだ、しっかり完食してお腹を出して定位置のケージのベットで寝ていた。
「ぐふぅ………ぶぅ……」
「寝息がすごいな……」
病院に連れていった方が良いかなっと思いながら朝食を食べ終えた。
ごちそうさまでしたっと食器も手際よく片付け始め、学校に行く準備をした。
「ガスよし。電気よし。水道よし。」
点検をし、寝ているケルの頭を優しく撫でた。
「ぐふぅ………ぐるぐる……」
「お留守番、頼んだよ。行ってきます」
ドアに鍵をかけ、ショウは学校に向かった。




