プロローグ
初めまして。甘槻悠月と申します。
まともに物語を書き上げたことがないというド素人の私が、初めて完結へ結びつけよう、と思った作品です。
異世界ファンタジーという慣れない分野なので、色々と至らない部分があるとは思いますが、生暖かい目で見守っていただけると幸いです。
人生は甘くない。そんな事は常識で、自分の思い通りになどいかない事が殆どだ。
「……説明してもらおうか」
「私が悪うございました、どうかお許しください。この通り」
「いや、この通りって言いながら胸張ってどうすんだよ!?」
「失礼ね、無いものは張れないわよ!」
「そこかよ!?」
「とーにーかーく。冒険に仲間は必要不可欠でしょ?それに兎は寂しいと死んじゃうの。もっと私を丁重に扱って頂戴」
「誰が兎だ……しかもなんで俺が説教されてんだよ」
そこそこ大きな国である、クラスペディア。ここは未知の体験に期待で胸を膨らませる、数多くの駆け出し冒険者で溢れている。
俺、イブキもその一人。つい先日、魔法学園での訓練を終え、自由にクエストを受注することを許可されたばかりだ。そして俺の目の前にいる少女、シオンも俺と同じ、駆け出し冒険者だ。しかし本人曰く、学園では成績上位、魔力も人より強い……とのことだ。俺達は今日、初めて出会い、記念すべき初の授業以外でのクエストを受注した。俺はそこまで強くなかったし、自信満々なシオンは、俺にとってとても心強かった。なのに……
「魔物に怖気付いてクエスト失敗とか……カバー出来なかった俺も俺だけど」
「くっ……うぅ……!だって、聞いてないわよ!あんな気持ち悪い魔物と戦うなんて無理よ、絶対無理!!」
「あのなぁ……それじゃ、いくら魔力が人より強くたって意味無いだろ?学園では上位だったって、まさか……」
嘘なんじゃ、と言いかけたところをシオンに遮られた。
「……嘘はついてないわよ?学園の奴は機械的だったし」
「言っとくけど、少なくともクラスペディアには機械的な魔物なんていないぞ?不気味な奴らばっかりだ」
「……」
「……困るのはお前だけじゃない、俺もだ。この際、特訓でもするしかないよな……」
「ありがとうございます、イブキ様」
……コイツとパーティ組むの、辞めたい……。