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彼女は恋愛に気付かない。

彼女は恋愛をすることができない。②





私の初恋は思えば小学4年生のころだったような気がする。

気がする、というのもぶっちゃけ“それ“は恋だったのか、憧れだったのか分からないからである。


相手は周りからあまり良くは思われてない、クラスでも少し浮いた存在であった男子で。

よく喧嘩したりしたが、なんだかんだで一緒にいることが多かった。



まぁそんな子を好きだったのかも分からないほど、私は恋愛に関しては無知に近い。

ちょっとした下ネタぐらいは付いていける。

友達の惚気話にも付き合えるが、自分に対しての恋愛は全く持って“分からない“のだ。



6月にはいる少し前。

そろそろ暑くなってきたし、梅雨入りもするのでは。


受けている講義が休講ということで必修講義を受けて午前中で大学をあとに、都会のど真ん中、こ洒落たカフェでノートやレポートをまとめていた。


寒くない程度に効いた冷房が心地よい。


氷が溶け始めた少し水っぽいアイスコーヒーを片手にふとスマートフォンを見る。


流行りのメッセンジャーに見慣れた名前があったので手にとった。


坂島、という男友達からで。

最近よく会う。


「“車買ったんだぜ〜(*^ω^*)“……車?」


こんな都会で車?

公共交通機関で間に合うではないか、と思うのはさておき。


「“へぇー、なに買ったん?“、と」


私は免許はまだ取ってはいない。

でも車はそれなりになんとなーくわかるし、好きでもある。


すぐに返信がくる。

今度は画像。


「………スポーツカー?」


…っぽい。


真っ黒な、車高の低い、そこそこ有名であろう、スポーツカーの写真。


すると続いてメッセージがきた。


「“今から峠行くけど、橘も来る?“」



峠、というと、某走り屋漫画に出てくるような………ということだろうか。

午後、これから暇だし、行ってみようかな。



こ洒落たカフェを出て眩しい日差しの都会の街中を歩き出した。



季節は夏になろうとしていた。





……………………


「あ、橘〜!」


大学に近い駅で待ち合わせた。

こっちこっち、と手招きをした坂島は少年のようだった。


「これがその買った車?」

「そーそー、かっけーだろ。まぁ乗れよ!」

「はいはーい」


本当にスポーツカーだった。←


乗り込むのにも一苦労な車高の低い真っ黒なスポーツカーはどんな走りをしてくれるのだろう、とワクワクした。


初めて乗るスポーツカーは窮屈に感じた。



場所は都会より約2時間ほどの山道。

道路にはスリップ跡があったり、ガードレールにヘコミがあったり。


すると坂島は車内のオーディオを切り、電飾を消し、アクセルを煽り始めた。

太いマフラー音が響き渡る。


山道の入口であろう地点から一気にアクセルを踏み始めた!

カコン、ガコンと綺麗に入るクラッチとギヤにカーブでの急な曲がりにびっくりしながら、坂島の走りに感動していた。


いや、純粋にカッコよかった。



2周ぐらいしただろうか、走り終わって帰路。


「そいや橘て出身東京?」

「あ、いいや。茨城の水戸。」

「まじで!?俺、常陸なんだよねー」

「えっ茨城県民!?奇遇だねぇ」


そんな会話をしながら、都会に戻る。

坂島との会話は面白くて楽しかった。



………流石に深夜にもなると風が肌寒い。

半袖でいたので少し腕をさする。


「そういや、橘、俺んとこのアパートだよな?大学の貸出してる3階建ての」

「なんで知ってるの!?」


「ほら、ポストに橘、てあったからもしかしてと思って。」

「わぁ、偶然………」


世間て狭い。


その、大学の貸出してるアパートの駐車場に車を停めた。


「あーそいや今日彼女来るんだ」

「あぁ…あの安理さんていう。」

「実家、埼玉なんだけどな。そこから電車で通ってんだ」


へぇ、と頷くぐらいしか言いようがない。

中学や高校時代の友達からの惚気話は慣れていた。


アパートの階段を昇る手前。



「………橘」



後ろから坂島が抱きついてきた。


「…………?坂島?」


なぜ、抱きついてきたのか、検討もつかない。


「少しだけいいか、このままで」


「?うん、?」




ふわりと香る坂島の“香り“が、




少し胸が刺すように痛んだ。






脈が早いのは一体なぜなんだろう。


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