始まりにすぎない
ごとん、ごとん……
まるで、馬車がゆりかごのように揺れておりました。
お姫様の瞼が少しずつ重くなっていきました。
王子様は、そんなお姫様にくすりと笑みを零しました。
「可愛らしいね、私のお姫様は」
お姫様は頬を緩めて、言いました。
「可愛がってくださいまし」
王子様は、肩を震わせて笑いました。
そんな王子様の姿が気に食わなかったのか、お姫様は頬を膨らませました。
「もう、王子様!意地悪はやめてください」
そんなお姫様の様子に王子様は楽しそうに笑っております。
「ごめんね…あまりにも、反応が可愛らしくてつい」
そんな言葉を言われものですから、お姫様の顔はまるで林檎のように真っ赤なってしまいました。
王子様は、また楽しげに肩を揺らします。
「林檎みたいになってしまって……可愛いね。」
お姫様は、両手で頬を隠すように覆います。
「もう…からかわないでください」
そんなお姫様の手を、王子は優しく掴みます。
「可愛い顔、見せて。」
そんなことを言われたものですから、お姫様はとうとう耐えきれなくなり、叫ぶようにいいます。
「見ている人もいらっしゃるんですから、おやめ下さい!」
ぴた、と王子様の動きが止まりました。
そして、王子は目を細めて、頷きます。
「そうだね。良い子が見ているんだ。やめようか。」
二人は顔を見合せて、くすくすと笑みを零しました。
しばらく馬車に揺られていると、少しずつ大きな国が見えてきました。
その国は、まるで太陽の光を独占しているように、キラキラと輝いておりました。
お姫様は、感嘆の声を上げました。
「まぁ!凄いわ、とってもキラキラしている」
そんなお姫様の様子に、王子様はくすりと笑みをひとつ。
「ふふ、まるで子供のような反応だね。」
「子供扱いしないでください」
「冗談だよ。私のお姫様?」
「……次はありませんからね」
「ふふ」
お姫様は頬に手を当てて、お城を凝視しておりました。
王子様は、外の景色をぼんやりと眺めておりました。
さあ、二人のお話は始まったばかりです。
今度は、どんなハプニングがあるのでしょうか?
楽しみですね。良い子の皆さん!