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絵本より、世界一幸せな魔女さまへ  作者: 早乙女 仲人
ああ、なんて夢見がちな女の子!
3/15

夢うつつ

むかしむかし、あるひとつの村に、それはそれは醜い女の子がおりました。


女の子は、村では珍しい、「真っ黒な髪」を持っておりました。


_____絹のように美しい金色の髪を持つ母親と、シルクのように柔らかな父親の間の子だと言うのに。


母親は酷く狼狽しておりました。


父親もまた、裏切られた気持ちでいっぱいでした。


村人は考えます。


_____もしかして、子供は呪われているのではないか?


村人は二人の夫婦のことを哀れに思って居たため、その考えに同調します。


「きっと、呪われた子に違いない」


「忌々しい、魔女の呪いだ」


「きっと、何かと入れ替わったに違いがない」


「この子は、一体誰の子だ?」


村人たちは、好き勝手言います。


初めは反論していた母親も、次第に(本当に、この子は私の子なのだろうか?)と考えるようになりました。


もしかしたら、私の子が、この得体の知れない子供(我が子)と入れ替わったのではないか!


そう思うと、もう止められません。


母親は、酷く怒り、産まれたばかりの赤子に詰め寄ります。


「私の子を返せ!」


「忌々しい、呪いの子め!!」


村人たちは、その母親の姿に酷く恐れを抱きました。


_____父親を、除いては。


父親は考えます。


これは、呪いではない。


これは、神からの祝福なのだ。


父親は、子供を母親の前から隠しました。


_____哀れに思った訳ではありません。


_____愛した訳でもありません。


ただ、厄災(神の怒り)がこの村に降り掛かることを恐れたのです。


しかし、村に悲劇が訪れます。


未知の流行病でした。


次々と村人は倒れて行きます。


それも、黒毛の赤子を悪く言っていた村人たちが。


村人たちは、赤子を恐れ、神の怒りが鎮まることを祈ります。


しかし、病は終わりません。


村人はどんどん倒れ、ついに誰も居なくなってしまいました。


ただ、赤子の母親を求める声が静寂に包まれた村に虚しく響きます。


そんな時でした。とある、一人の旅人が気まぐれに寂しい村に立ち寄りました。


弱りきった赤子を目にすれば、旅人は少し考えた後、「利用価値があるかもしれない」と思い、拾ってやりました。


それから数年。旅人はもう歳が歳であるため、とある村に居住することにしました。


_____絹のように(母親の髪のように)美しく、シルクのように(父親の髪のように)柔らかい黒髪を靡かせた、一人の少女と共に。


の愛おし子で(からの祝福)もなければ、魔女の呪いも受けていない、至って普通の(異端者である)女の子でした。


しかしながら、やはり。


少女の持つその真っ黒な髪は、どこに行っても、誰も持ってはおりませんでした。


正しく、それは特別(異端)だったのです。


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