第3章「魂の交換」
白い霧が地下室を満たし、体の輪郭を溶かす。壁に新たな文字が脈打つ:
「魂は単なる衣装。手袋のように交換せよ」
蘭司マトの声がカイトの子供っぽい笑い声と混ざり、軋む:
「ハッハッ!目覚めなさい、人形たち!お前らの器は入れ替わった!」
鋭い痛みがこめかみを貫き――世界がひっくり返る。
平人が最初に意識を取り戻す。思考は明晰だが、体が…別人だ。
・胸――重く、敏感な感触。
・腹――丸く、温もりがある。
・腿の間――虚無が待ち受ける。
彼は今、リカの体の中にいた。
赤羽(平人の体の中)はシャツを引き裂く。見知らぬ傷痕を指でなぞり:
「な…何なんだよこれ!?オレの…オレのチンコはどこだ!?」
リカ(半田の体に閉じ込められ)はメガネを外す――世界がぼやける:
「私…見えない…!」
半田(赤羽の筋肉質な体で)立ち上がろうとするが、脚がもつれる:
「お前…お前が全部悪いんだ!」
小百合は微動だにしない。ただ瞼が震えるだけ――彼女の意識は遠くへ飛ばされたらしい。
スピーカーから声が響く:
「今いる体の名前を当てろ…さもなくば他人の肉体で死ね」
平人(リカの体で)「私…リカ…」と口にしようとするが唇が焼ける。
赤羽(平人の体で)「オレは平人じゃねえ!」と暴れる――肌にアザが浮かび上がる。
突然、小百合が起き上がる。瞳は針のように縮小:
「僕は…カイト…」
警報音が部屋を破壊する。
小百合=カイトは腹に手を当てる。声が二重になる――彼女の声とカイトの囁き:
「妊娠してる…平人の子を…リカがカイトの子を宿したように」
鏡が過去を映す:
・ボートでカイトと密着するリカ
・岸から冷たい視線を送る平人
壁に浮かび上がる血文字:
「父親は人形が決める」