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実験小説

作者: フルビルタス太郎

 空が刻々と変化していく。黒から藍、藍から緑、緑から黄金色へと変わっていったところで、空がさぁっと赤くなり、太陽が顔を出す。太陽が登っていくと共に空が鮮やかな青色へと変わっていき、市庁舎の鐘が朝が来たことを告げた。都市が目覚め、人々が動き出す。そんな都市の鼓動を分厚いカーテン越しに聴きながら一人の青年が、ベッドの上で大の字になりながら寝ている。惜しげもなく晒された無防備な肉体。筋肉質な体つきは均整の取れた彫刻のように美しい。そんな彼の真上を列車が走っていく。半分に切られた車内、車窓越しに見る外の景色はバラ色で、遠くの丘は緑の幾何学模様を織り上げる。鈍色ヶ丘から三人の男たちが降りてくる。ヴェルセストン通りに面したアルトスマルトロジー六二三号室の窓から白い服のご婦人たちが脱皮、ストン運動をしながらアマルスベール四番地に向かってパイを投げると、ドラグーアが飛んできて、ライオネルを連れていった。美術館では、絵画の市民頒布会と呼ばれた画家の展覧会が開かれていた。ポルナックの中からエクースバネルを弾きながらロシェが出てきた。銅の中の山、台所ではパルドゥーアが軒を連ねている中、三人の女がエクースギルドをかき鳴らしながらベルリソルスを煮詰めている。ピンク色の玉座が歩いてくる。臙脂色の絨毯が、するり、と、抜けて、男のズボンが盛大に落ちる。夏の組紐。黒いローブを着た男達が一列に行進し、四九日目に蝋燭の火を吹き消した。鳥のグースが言いました。

「やい、お前の親父は薄らとんかちだッ!」

 それを聞いてライネル、

「なんだってッ!」

 と、大袈裟な身振り手振りで魚を炙る。

 気がつけば、列車は見知らぬ職場へ。鉄の台に乗った象牙の箱、赤い管がうねうねとうねっていく中、怒られながらペコペコ頭を下げる牢名主。ふと、こちらを見ながら、

「おはよう、もうすぐ朝だよ」

 と、言って、気がつくと、朝だった。

――コケコッコーッ!

 遠くで雄鶏が鳴いた。

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