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かえる姫 Cordelia の物語詩

作者: 藤田桜


 地の底で

  歌うのは

 かえる姫

  Cordelia


 かえる姫は花を愛しました

 かえる姫は歌を愛しました

 かえる姫は宝石を愛しました

 彼女が愛したのは失われたかつての王宮の栄華

 奢侈は財政を悪化させ

 民衆の怒りは日に日に募っていきました

 そしてとうとう決裂の日が来たのです


 ――武器を執り

    立ち上がれ !

 反逆の

  狼煙上ぐ

 彼の名は

  Okikurmi


 彼女は

 美しい青年 Okikurmi

 反乱軍の指導者 Okikurmi に恋をしました

 城のterraceで歌う彼女の声は

 いっそう美しさを増し

 月夜に溶けるようでした


 切々と

  歌うのは

 かえる姫

  Cordelia


 彼女の歌は風に運ばれ

 Okikurmi の元に届いたのです

 それに彼は激怒しました

 あの女が人々の苦しみを知ることはないのだ、と

 王城に雪崩れ込む反乱軍

 花瓶は割られ財宝は奪われ

 とうとう辿り着いた王女の部屋

 かえる姫は処刑台へと引き立てられました

 下された罰は火炙り

 刑を執行しようと近づく Okikurmi

 愛しい姿を認めた彼女は微笑みます

 ――はじめまして、私の恋人

 それが、彼女の最後の言葉でした


 燃え盛る

  (おき)の火が

 喉元を

  蝕めば

 地獄へと

  落ちて行く

 かえる姫

  Cordelia


 美しかった声は焼け焦げ

 言葉にならない悲鳴が王都に響きます

 Okikurmi は憎しみに満ちた目で見つめ

 その死を確かめると小さく息を吐きました

 ここには誰も悼む者はいません

 かえる姫の亡骸は寂しい沼地に捨てられました

 それからずっと、夜ごと夜ごとに悲しげな歌が

 沼地で眠る者の耳に縋るのです


 地の底で

  歌うのは

 かえる姫

  Cordelia

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