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Jamiroquai - Virtual Insanity (Official Video)
を 聴きながら
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「クレイジークレイジークレイジー ポップ クレイジークレイジークレイジー ポップ」
目の前から歩いてくる妙な恰好をしたそれは、調子っぱずれの歌らしきものを唱えながらふらふらと歩いている ……友人である私は、呆れてそいつを呼び止めた
「ベンチャミン ピッグ! またこんなところでふらついて……何をやっているんだい?君は」
……友人である彼は、ベンチャミン ピッグ と言った ……まぁ、最も、友人と認識しているのは、私のみであるのかもしれない ……何故なら、会話はいつも一方通行で終わるのだから
ベンチャミン ピッグ……と言い続けるのは長いし疲れるから、短くしてピッグと呼ぶが……彼は、ピタリと身体の動きを止めると、私を見つめた まるで沼の底のようなどんよりとした目……ピッグがこのような目をする日は、決まっていた
……私はため息を吐く ……仕方のない……今日もまた、小麦粉を買わなければならないらしい