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あんまりいい結果にならない気もするんですよねー


西條に導かれるまま

近づいてグリフォンの破損した身体をまじまじと観察してみた。


やはり、黒曜石でできた身体と形容するのが一番正確なように感じる。

宝石のように硬そうな身体は西條さんの攻撃でガラスのようにたくさんの罅割れができ、

そこから光を乱反射させている。


所々、殴られて穴も開いてもいたがその中が空洞になっていた。

どうしてこの中身が空っぽな身体が意志を持って俺を殺そうと動くのはさっぱりわからないが

今まで襲われてきた他の異能獣と構造は今回も変わらないようだった。


暫くすると動かなくなったグリフォンの体の一部が

徐々に砂になって煙のように空気中に消えていっていた。


恐らくあと数分もしないうちに此奴は塵になってなくなってしまうだろう。


この特徴も今まで襲われ続けた他の異能獣と共通するものだった。


静寂の中、最初に声を発したのは副会長の西條さんだった。


「それにしても、また柊さんが襲われたんですね

今年度に入ってもう何回目なんですか?」


「・・・何回なんだろ?5,6回くらい?」


俺自身、途中から数えるのをやめてしまったので正確な数は分からなかった。


「・・・2日に1回ペースね」


そう言ってこちらを気にかけるような顔をした雪峰さんの顔は

公園の照明で淡く照らされ少し影のある風に見える。

昼間見る彼女の顔も整っていてとても良いのだが、

これはこれで風流だな、なんて心の中で思う。


ただただかわいい。


「すごいペースですね・・・

だから、この間も夜は出歩かないほうがいいて言ったんですよ」


そう、実は雪峰さん達に助けられるのはこれが初めてではない。

というかもう何度も助けてもらっている。


だから、今日も異能獣に襲われた瞬間に西條さんの携帯に連絡して、

こうして助けが来るまで逃げて回っていたというわけだ。


「分かってるけど・・・

流石に帰宅中はどうしようもないだろ」


確かに日が暮れてから帰宅した俺に落ち度がないかと、問われればそこは微妙だけど。

それでもその理由が去年の期末テストで赤点とったことによる補講だとバレると

この2人、特に西條さんから滅茶滅茶怒られるからここでは黙っておこう。うん。


「・・・どうして柊君ばかりこんなに狙われるのでしょうね」


心底不思議そうに俺を上から下まで舐めるように眺めた後に西條さんはそう言った。


「俺が聞きたいぐらいだけどな」


それもこんなことになったのはこの二週間。

つまり、俺が高校二年生になった日からだ。


「学校にこれ以上言ってもあんまり意味ないでしょうし、

いよいよヤバそうなら異能開発利用研究所(ラボ)に相談します?

それでも、あんまりいい結果にならない気もするんですよねー、体感ですけど」


まあ、命の危機をここまで感じたのは今回が初めてかもしれないが

通常なら、こんな命の危機が頻発するなら、もっと大人に助けを求めるべきだろう。

いや、正確に言えば一応学校にはこの特異体質の事は既に話をしている。


それでも、色々な大人の事情が噛み合った結果、結局は青月うちの生徒会が対応を

任されている、というのが実情だった。


西條さんもその真面目そうな見た目とは裏腹に、どうやら異能に関しては学校や研究所の大人たちのことを完全に信用してはいないようだった。


「今後はあたしたちと行動を共にしたほうがいいかもしれないですね

とりあえず今日のところは帰りまし・・・って!!!柊さん!危ない!」


「・・・えっ?」


西條さんのただならぬ表情を見て、頭が混乱したがすぐに地面に転がっていたグリフォンの残骸が

動いた気がして目線をそちらへ向けた。


気がつけば、頭だけ残ったグリフォンが最後の力を振り絞って

まるで矢のように俺めがけて突っ込んできていた。


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