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操糸魔術を極めし者  作者: 阿呆之仔猫
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過去 ( ⅰ )

私のお父様は過保護すぎる。

少し黙り込んでると「体調が優れないのか?」と言い大慌てで近寄ってくる。

そして「医者を呼べ」と大きな声で執事に命令し、彼らは大きな溜息をついている。


「だ、大丈夫ですわよ、お父様」


欲しい物があったら全て買ってくれた。

欲しい物なんて殆ど無いけど。


私はエルナ。

クリスタ王国の王女で一人娘。


5歳になると王族としての立ち振る舞い、魔法を教わった。

幸運にも私は猫をかぶるのは得意だから5歳とは思えない実力を発揮し指南役を驚かせ、レッスンをサボるのは日常茶飯事の明るい娘だった。


魔法の才能も飛び抜け初級魔法の火球は2、3発でできるようになった。

講師も驚き「普通は習得に2日ぐらいかかる」とか言っていた。


王家に男が生まれず跡継ぎがいない為、私と結婚した人が王位継承権を得る。

そのため、頻繁にパーティーに出席し貴族のボンボンども相手に可憐に振る舞った。

ボンボンの中には私と同じぐらいから30代前半ぐらいまで幅広くいた。

みんなが王の座を狙い話しかけてくる。

勿論、魔法の才能も狙っているだろうが。

知らない人に話しかけるのは得意ではないけど話しかけられるとあれこれと話が続き、きりがない。

特に外の世界の事に食いついた。

生まれてからまだ一度も城から出た事はない。

出してくれない。

その為、遥か遠くの国の名物、冒険談、伝説には目を輝かせて聞いた。




だが、8歳になる少し前に人生が大きく変わった。

朝起きるといつもと少し違う風景だった。

視界はモノクロで使用人と部屋の隅に置かれた植物の周りだけ薄っすらと虹色の霧がかかっていた。

召使いが起きた事に気付き近寄るがいつもと違う行動をとった。

何時もだったら布団をめくりカーテンを開け暗く沈んだ部屋に朝の日光を入れる。

だが今日はこちらを見ると顔をしかめ小走りで部屋を出て行った。

私は視界がモノクロなのは寝ぼけてる所為だと思い布団をめくりベッドから足を下ろし座る。

暫くしても視界は戻らず着替えることにした。



お父様が扉をものすごい勢いで開けて入ってきた。

とても一国の王とは思えないほどに。


「「あ!」」


エルナは自分の姿を見た。

着替え途中でまだ下着姿。

気まずい空気になり数秒時間が止まったと思うほどピクリともせず固まった。


「国王様お待ちください」


召使いが黒い革靴の音をコツコツと鳴らし走ってくるのがわかる。


「キャーーーーッ」


ドアを勢いよく閉め急いでソファーの背もたれにかけてたドレスを手に取り今まででない以上の速度で着る。


「入っていいか?」

「えぇ、どうぞお父様」


今度はしっかりノックをし許可を求めた。

ドアを開けた時には乱れてた服装が直されていた。


「さっきは...すまん」

「別にもういいです」

「それでだな、その目」




魔眼持ちは教会によって裁かれる。

教会は世界中にあるが一国一国で別の神を崇拝する為、方針も大きく変わってくる。

クリスタル王国の教会では拷問後に正義の名の下に処刑される。

この国の神は魔眼に何の恨みがあるんだか。


もし城内で魔眼持ちを匿っていると言う噂が立てば王国に混乱を招くこととなる。

だから王は何度も切っ先を私に向けたが直接手を下すことはできなかった。

魔眼持ちとは言え彼女は唯一の娘でついこの前までは可愛がってきた。

王は国か娘か究極の選択を迫られた。

王は国か娘かを選ぶことができず、天秤は水平を保っている。

その状況が数ヶ月も続くこととなった。


だが城内の使用人達の間で魔眼の噂が広まり、ついに城外へ漏れてしまった。

ダムが決壊すると自由となった噂はあっと言う間に王都を浸水させた。

噂が広まってしまった今、王は早急に手を打たなければならない。


だが、王より聖教会は早く動いた。

司祭は聖騎士数名を引き連れ王城へ訪れたのだ。


「魔眼の件でロイス国王に謁見を賜りたい」


司祭達は控え室に案内され司祭はフカフカのソファーに深く腰かけ、甲冑を纏った聖騎士達は部屋の隅で人が入ってないのではないかと思うぐらい微動だもせず待機している。

物音を一つも立てず1時間ぐらいが経過した頃に、海底のように静まり返った玉座の間に案内された。


「教会の者が余に何の用だ」

「ハッ、今方王都で有名な魔眼の件についてお尋ねしたいことが」

「詳細を頼む」


王は魔眼の件など知らんと言わんばかりに白々しく聞き返した。

そのあと、王は司祭の話を一から十まで聞いた。


「ふむ、そんな誤情報が流れておるとは困ったものだ」

「では、城内に魔眼をお持ちの方はおられないのですね」

「あぁ、無論だ」

「では、エルナ女王を拝見なさっても」


司祭はそう言いながら不敵に笑った。




ーーーエルナ視点ーーー


動きやすい服装で薄暗く冷たい石でできた地下通路をランプ一つで駆け抜ける。

前方と後方にはお父様が最も信頼を寄せる2人が付いている。

1人はこの国の王国騎士団団長で、もう1人は長年王に仕えてきた執事だ。

執事は周辺諸国の地理を全て把握しているため、逃亡にはとても都合がいい。

駆け抜けるといっても日頃から運動してない私のせいでかなりゆっくりになってしまっている。


「お嬢様、そろそろ外に出ます」


しばらく進むとジメジメして苔の生えた螺旋階段についた。


「お嬢様、足元のお気をつけ」

「キャッ!」


前方を行く執事が『お気をつけください』と言おうとしたそばから足を滑らせたエルナは後方にいた聖騎士長に肩を支えられた。


「ご無事ですか」

「え、えぇ、ちょっと!」


騎士長はエルナの安否を確認するとお姫様抱っこをして階段を登り始めた。

数回転登ると行き止まりに差し当たった。


「な、何もないじゃないか」

「あ、これはスライド式のドアなんです」


よく見ると窪みがあり、執事がドアを開けてみせる。


「スライド式なんて珍しいですな」

「あ、もう大丈夫なんで」


騎士長はゆっくりエルナを下ろした。


ドアを抜けると書斎部屋みたいなところに出た。

机の上には本が積まれていたり、途中まで文章が書かれた紙が散らばっていたりしている。

しかも机の上にも本棚にも埃は全くなく綺麗な部屋だ。

ついさっきまで人が生活していたかのような部屋だが人の気配は全くしない。

執事は本棚のドアを閉めた。


「普通の家ですね」

「普通の家に見えるようにしてるんです」


そういう会話をしながら短い廊下を進む。


1階に降り、すぐの所にある玄関のノブに手をかける。


「お嬢様、ここからは顔を隠して下さい」


私は頷きフードを深くかぶった。


「それでは行きますよ」


執事はそう言い玄関を開けた瞬間光が差し込み、暗闇になれた目を照らした。


「眩しい」


咄嗟に手の甲で目を覆った。


「お嬢様、おさがり下さい」





え!前回の投稿から1ヶ月も経ってる。

やば!

俺はこの1ヶ月間何をやってたんだ。


毎日投稿してる人って本当に凄いですよね。

これからは1週間に1回の投稿を目指していきます。

ですが期待はしない事を推奨します。

なにせ1ヶ月も投稿をサボった人間ですからね。


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