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操糸魔術を極めし者  作者: 阿呆之仔猫
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エルナ

かなり急ぎ気味だったので誤字脱字などが多いかもしれません。

「なんで……」


屋上に逃げ込んだエルナは扉を乱暴に閉めながら叫ぶように言った。

おぼつかない足取りで壁に背中を預け崩れるように座り込んだ。


「なんで……」


エルナはさっきとは違い呟くようにもう一度自分に問いかけた。

左眼を隠している左手には力がこもり爪を立てていた。

その左手は左眼をほじくり出そうとでもしているのだろうか。

しかしエルナにそんなことをする勇気はない。

そもそもそんな勇気があったら今こんなことにはなっていない。

自分の魔眼への怒りか、勇気のない自分への嫌気か、言葉にできない感情が渦巻きモヤモヤが膨れ上がっていく。


膨張を続けるモヤモヤは器から勢いよく溢れ出ると吐き気に変わった。

しかし朝ごはんを食べてなかったエルナは胃が空っぽのため出すことは出来ず、モヤモヤと気持ち悪さだけが身体の中に溜まり続けた。

その苦しさに丸まったまま横に倒れ必死に気持ち悪さと闘った。

しかしそんな抵抗虚しく、モヤモヤは容赦なく増え続ける。


負けたエルナは抵抗を諦め、涙が横に流れていくのだけを感じ取っていた。




エルナが意識を取り戻したのは太陽が沈んだ後だった。

体内の全ての水分と引き換えにモヤモヤを放出したエルナは起き上がりカピカピに乾いた涙を拭いだ。

しかし、まだモヤモヤが残っているのか気持ち悪さは残っている。

左眼を隠していた手を下ろすと、魔法陣は消えており普通の眼に戻っていた。


その時腹の虫がぐうぐうと鳴いた。

思い返してみれば最後に何かを口にしたのは昨日の晩御飯だ。

つまり丸々1日何も食べていない。

そのせいか身体には力が入らない。

エルナはぼうと星空を眺めた。

しかし何の感情も湧いて来なかった。


その時扉が開いた。


「なんだ、こんな所にいたのか」


エルナは咄嗟に情けない顔を隠した。


「大丈夫か?」


レックスはエルナから少し離れた所に座った。


エルナは弱っていことを隠そうとしたのか強めに言おうとした。

しかし掠れた声しか出なかった。

魔法で作りだした水で喉を潤し言い直した。


「なんの用?」


レックスがその質問にが答える前にエルナのお腹が再びぐうぐうと鳴った。


「なんか買ってこようか?」と聞いておきながら答えを聞く前に柵を乗り越える校舎から飛び降りた。


再び1人になってしまった。


「なんで……」と小声で呟いた。




暫くするとレックスが糸を使い校舎を外から登って戻ってきた。


「遅かったわね」

「どこも閉まっててな」


もうそろそろ0時を回る頃だ。

逆にやってる店を見つけられたのは奇跡だろう。


エルナはレックスからパンを受け取り固まった。


「パン嫌いだったか?」


エルナは首を振ろうとしが、気付いたらパンに小さくかぶりついていた。

そのパンは何故か塩の味がした。

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